第33回(R7年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

 

問題6 我が国の2021年度の学校管理下における死亡で最も多いのはどれか。

1.突然死
2.溺死以外の窒息死
3.全身打撲
4.頭部外傷

解答

解説

(※表引用:「学校の管理下の災害 [令和3年版]」独立行政法人日本スポーツ振興センターホームページ様HPより)

1.〇 正しい。突然死は、我が国の2021年度の学校管理下における死亡で最も多い。19件となっている。

2.× 溺死以外の窒息死は、6件(第3位)となっている。

3.× 全身打撲は、10件(第2位)となっている。

4.× 頭部外傷は、5件(第4位)となっている。

 

 

 

 

 

問題7 現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけはどれか。

1.5類感染症
2.新型インフルエンザ等感染症
3.指定感染症
4.新感染症

解答

解説
1.〇 正しい。5類感染症は、現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけである。2023年5月8日から、それまでの「新型インフルエンザ等感染症」としての位置づけが見直され、季節性インフルエンザなどと同じ5類感染症に変更されている。なぜなら、、オミクロン株の流行による病原性の変化(弱毒化)、有効なワクチンの普及、治療法の確立などにより、多くの国民にとって感染症法上の位置づけが変更可能な状況になったと判断されたため。

2.× 新型インフルエンザ等感染症は、2023年5月8日以前に位置づけられていた。なぜなら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し始めた初期の段階では、その病原性や感染力、まん延の恐れなどが未知数であったため。

3.× 指定感染症は、一時的に指定感染症にも位置づけられていた。
・指定感染症とは、未知の感染症や、既に知られていても流行時に限り、感染拡大を防ぐため国が緊急に指定するものである。感染症法において、既に知られている感染症(一類~四類)や新型インフルエンザ等感染症に当てはまらないものの、これらの感染症と同等の国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症として、政令で定められた期間に限り、特定の一類~三類感染症に準じた措置が可能となる分類である。

4.× 新感染症は、直接的に位置づけられていない。
・新感染症とは、人から人への感染が認められ、「既に知られている感染症」のいずれにも該当しない、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病として政令で定めるものを指す。新感染症の定義そのものは、未知の危険な感染症への迅速な対応を可能にするための包括的な概念である。

感染症発生動向調査事業とは

感染症発生動向調査は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく施策として位置づけられた調査で、感染症の発生情報の正確な把握と分析、その結果の国民や医療機関への迅速な提供・公開により、感染症に対する有効かつ的確な予防・診断・治療に係る対策を図り、多様な感染症の発生及びまん延を防止することを目的としている。

【感染症発生動向調査による全数把握対象疾患】
全数把握対象疾患を診断したすべての医師が、患者の発生について届け出なければならない。
①新感染症の疑い
②新型インフルエンザ等感染症
③指定感染症
④1~4類までの全疾患と5類の一部疾患

定点把握対象疾患とは、5類感染症の定点把握対象疾患を指す。都道府県知事により指定された医療機関(指定届出機関)のみ、医療機関の管理者が患者の発生について届け出なければならない。主な疾患として、インフルエンザ(鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等感染症を除く)、性器クラミジア感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、その他の感染症(各省で指定)である。

(※参考:「感染症発生動向調査について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題8 産業衛生管理のうち作業管理はどれか。

1.作業場の換気
2.作業環境測定の実施
3.定期健康診断の実施
4.呼吸用保護具の仕様

解答

解説

労働衛生の3管理

①作業環境管理:作業環境中の有機溶剤や粉じんなど有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理していくこと。
②作業管理:作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくすること。
③健康管理:作業者の健康状態を健康診断で把握して、その結果に基づいて適切な措置や保健指導などを実施し、作業者の健康障害を未然に防ぐこと。

(※参考「労働衛生の3管理」厚生労働省HPより)

1~2.× 作業場の換気/作業環境測定の実施は、作業環境管理である。

3.× 定期健康診断の実施は、健康管理である。なぜなら定期健康診断は、労働者の健康状態を定期的にチェックし、病気の早期発見や健康状態の維持・管理を行うことを目的としているため。

4.〇 正しい。呼吸用保護具の仕様は、作業管理である。なぜなら、呼吸用保護具(防じんマスク、防毒マスクなど)は、作業環境中に有害物質が存在する場合に、それが作業者の呼吸器に入るのを防ぐため。
・作業管理:作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくすること。

 

 

 

 

 

問題9 分母が出生数である疫学指標はどれか。

1.死産率
2.乳児死亡率
3.周産期死亡率
4.妊産婦死亡率

解答

解説

MEMO

・出生数とは、1年間に実際に生まれた赤ちゃんの数を指す。
・出産数とは、1年間に母体が出産した回数を指す。
例えば、双子を出産した場合は、出産数は1回、出生数は2人となる。

1.× 死産率
・(自然)死産率とは、各年の出産1,000人に対して自然死産が何件あったかを示す。つまり、死産率の分母は、「出産数(出生数と死産数を合わせた数)」である。一般的に、自然死産は、主に母体の健康状態に影響を受けるといわれている。

2.〇 正しい。乳児死亡率は、分母が出生数である疫学指標である。
・乳児死亡率とは、生後1年未満に死亡した乳児の死亡率のことである。

3.× 周産期死亡率
・周産期死亡率とは、妊娠満22週以後の死産数と早期新生児死亡数を合計したものを出生数と妊娠満22週以後の死産数を加えたもので除したものである。
【求め方】周産期死亡率 = 年間周産期死亡数 ÷(年間出生数 + 年間の妊娠満22週以降の死産数)× 1000

4.× 妊産婦死亡率
・妊産婦死亡率とは、妊産婦10万人中の死亡数のことである。
【求め方】妊産婦死亡率=(妊産婦死亡数)÷(出産数または妊娠数)× 10万 です(通常、10万対で表される)。
※出産数は、出生数と死産数を合わせた数である。

 

 

 

 

 

問題10 洗剤を配合した消毒液をよく泡立てて流水で流す手指消毒方法はどれか。

1.スワブ法
2.ベースン法
3.スクラブ法
4.ラビング法

解答

解説
1.× スワブ法とは、拭き取り法ともいい、物体表面の付着微生物を拭き取って捕捉する方法である。

2.× ベースン法とは、浸漬法ともいい、消毒液をベースン(容器)に入れて手指を浸漬する消毒法である

3.〇 正しい。スクラブ法は、洗剤を配合した消毒液をよく泡立てて流水で流す手指消毒方法である。
・スクラブ法とは、石鹸や洗剤を配合した消毒液を用いて、ブラシやスポンジなどで手指や腕を物理的にこすり洗いし、汚れや皮膚の常在菌を除去・殺菌する方法である。この方法は、石鹸(洗剤)を泡立てて、ブラシなどでこすり洗いし、最後に流水で洗い流すという手順を含む。

4.× ラビング法とは、擦式法ともいい、アルコール擦式製剤を手掌にとり、乾燥するまで擦り込んで消毒する方法である。特別な手洗い設備を必要としないため、簡便に手洗いができる。

歯ブラシのブラッシング方法

①スクラッピング法:毛先を直角(90°)に当て、1・2本10回を目安にして磨く。
②ローリング法:毛先を歯の根元に垂直に当て、歯の先端に向けて回転させる。
③フォーンズ法:毛先を直角(90°)に当て、くるくると回転させながら磨く。
④バス法:毛先を45°に歯茎にあて小刻みに動かしながら、一本ずつ横に移動させて磨く。

 

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