第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午前91~95】

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問題91 αアドレナリン受容体の活性化で生じる反射はどれか。

1.勃起
2.射精
3.排尿
4.排便

答え.2

解説

α1アドレナリン受容体とは?

α1アドレナリン受容体は、中枢神経系、心臓血管系や下部尿路などの組織に広く分布し、交感神経性の反応に関与している。さらに高血圧、心肥大、排尿障害などの病態に関与している。

1.3~4.× 勃起/排尿/排便
副交感神経が優位になり起こる。

2.〇 正しい。射精は、αアドレナリン受容体の活性化で生じる反射である。
射精は、交感神経が優位となり起こる。アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。

排便の仕組み

①内肛門括約筋は、平滑筋、外肛門括約筋は随意筋よりなる。

②便が肛門の近くまでくると内肛門括約筋が弛緩するが、便が漏れないように随意的に外肛門括約筋を収縮させる。

③腹圧をかけることにより中枢から陰部神経に指令が伝わり、随意筋の外肛門括約筋が弛緩し排便に至る。

 

 

 

 

 

問題92 妊娠初期で妊娠中期に比べ血中濃度が高いのはどれか。

1.エストロゲン
2.プロゲステロン
3.ヒト胎盤性ラクトーゲン
4.ヒト絨毛性ゴナドトロピン

答え.4

解説

妊娠週数

・妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
・妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
・妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)

1.× エストロゲンは、妊娠後期にかけ徐々に増加する。
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。

2.× プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠後期にかけ徐々に増加する。
黄体ホルモンとは、妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいから黄体ホルモン(プロゲステロン)は減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。

3.× ヒト胎盤性ラクトーゲンは、妊娠後期にかけ徐々に増加する。
hPL<ヒト胎盤性ラクトーゲン>は、卵胞刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモンと同様に、黄体を維持することにより排卵を抑制する。 卵巣はβ-hCGに刺激されることでエストロゲンおよびプロゲステロンを産生し続けるため、これらのホルモンの値は妊娠早期に上昇する。

4.〇 正しい。ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、妊娠初期で妊娠中期に比べ血中濃度が高い。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:human chorionic gonadotropin)とは、妊娠中にのみ測定可能量が著しく産生されるホルモンであり、妊娠の早期発見や自然流産や子宮外妊娠といった妊娠初期によくみられる異常妊娠の診断と管理のために使用される。主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。また、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用がある。絨毛性腫瘍の他に、子宮、卵巣、肺、消化管、膀胱の悪性腫瘍においても異所性発現している例もある。

月経周期

・卵胞期:1回の月経周期が始まると脳の底の方にある下垂体というところから、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌する時期。
・増殖期:女性ホルモン(エストロゲン)が新しい子宮内膜を成長させていく時期。卵胞期と増殖期とはだいたい同じ時期。
・黄体期:排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期。
・分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるよう準備をする時期。

 

 

 

 

 

問題93 免疫担当細胞で正しいのはどれか。

1.B細胞は胸腺で増殖する。
2.T細胞は形質細胞となる。
3.樹状細胞はマクロファージとなる。
4.好塩基球はアレルギー反応を誘導する。

答え.4

解説

免疫担当細胞とは?

免疫反応をつかさどる白血球などの細胞のこと。体外から侵入した異物や病原体、体内の悪性新生物などを認識し特異的に攻撃する免疫反応をおもに担当する細胞の総称である。白血球の一種でリンパ組織に多いリンパ系細胞のほか、マクロファージや、樹状突起をもつ樹状細胞などがある。

1.× B細胞は、「胸腺」ではなく骨髄で増殖する。
胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。

2.× 形質細胞となるのは、「T細胞」ではなくB細胞である。
T細胞は細胞性免疫応答を調節する役割がある。一方、形質細胞は、B細胞が抗原認識によって分化した抗体産生細胞である。形質細胞とは、B細胞が成熟したもので、抗体を作って自然免疫の働きを助ける。つまり、体に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する作用を持つ蛋白質(抗体)を産生する。ちなみに、メモリーB細胞とは、一度侵入した減病態の情報を記憶し、病気にかかりにくい状態を作る働きを持つ。

3.× 樹状細胞とマクロファージは、全く異なった抗原提示細胞である。
樹状細胞は抗原を取り込み活性化されるとリンパ管を通り、所属リンパ節に移行するが、マクロファージは局所に留まる。マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

4.〇 正しい。好塩基球はアレルギー反応を誘導する
好塩基球とは、Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)を引き起こす。末梢血白血球の0~2%を占める。

細胞性免疫とは?

アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellular immunity)と大別される。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題94 骨吸収を抑制するのはどれか。

1.エストロゲン
2.コルチゾール
3.甲状腺ホルモン
4.副甲状腺ホルモン

答え.1

解説

骨吸収とは?

骨吸収とは、その名の通り骨組織の吸収であり、つまり、破骨細胞が骨の組織を分解してミネラルを放出し、骨組織から血液にカルシウムが移動するプロセスである。

1.〇 正しい。エストロゲンは、骨吸収を抑制する。
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。エストロゲンが減少することで、骨吸収を抑制し骨粗鬆症につながる。

2.× コルチゾール
コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

3.× 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。

4.× 副甲状腺ホルモン
パラトルモン(副甲状腺ホルモン)は、副甲状腺から分泌され、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。

更年期障害とは?

更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題95 収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧70mmHgのときの平均血圧はどれか。

1.80mmHg
2.90mmHg
3.100mmHg
4.110mmHg

答え.2

解説

平均血圧とは?

平均血圧とは、収縮期血圧、拡張期血圧を1つの数値で表したものである。

平均血圧(mmHg)の計算方法は、(収縮期血圧 - 拡張期血圧)/3 + 拡張期血圧である。

①収縮期血圧:130mmHg
②拡張期血圧:70mmHg

平均血圧
= (130-70)/ 3+70
= 90mmHg

答えは選択肢2.90mmHgである。

 

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