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問題96 男性より女性に多い疾患はどれか。
1.血友病
2.甲状腺癌
3.心筋梗塞
4.肺癌
答え.2
解説
1.× 血友病
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。伴性劣性遺伝(男児に多い)で、生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。治療として、凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーションが行われる。
2.〇 正しい。甲状腺癌は、男性より女性に多い疾患である。
比率として、女性11.5人:男性4.5人である。生理や出産歴など女性特有の何らかの因子が関連している可能性が考えられている。動物実験では、女性ホルモンであるエストロゲンが、甲状腺がんの増殖を促がすことが報告されている。
3.× 心筋梗塞の男女比は約2:1である。
なぜなら、男性は女性よりも、暴飲暴食、喫煙に走り易い、職場では中心的な役割を担うことが多くストレスも多いため。また、肉体労働、特に脱水となって血管が詰まり易い暑い夏や、急激な温度差で血管に負荷のかかる寒い冬の外仕事に従事する機会も多いなど、心筋梗塞になり易い要因を圧倒的に多く持っている。
4.× 肺癌の男女比は約2.5:1である。
なぜなら、男性は女性よりも、喫煙が多いためである。喫煙は、男性と女性の両方で最も重要なリスク因子である。
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。
【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下
【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。
【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション
(※参考:「血友病」Medical Note様HP)
問題97 内因と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.乳幼児期:肝細胞癌
2.女性:全身性エリテマトーデス
3.日本人:前立腺癌
4.成長ホルモンの異常分泌:クッシング(Cushing)病
答え.2
解説
1.× 肝細胞癌は、「乳幼児期」ではなく一般的に成人(特に中高年)である。
肝細胞癌とは、肝臓の細胞ががん化したものである。肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響している。肝臓は、肝動脈と門脈の二重血流支配を受けており、肝細胞癌は主に肝動脈からの血流支配を受けている。そのため、肝細胞癌を支配する肝動脈を塞栓物質で血流遮断することで治療する。
2.〇 正しい。女性:全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。診断基準として、顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍、抗核抗体陽性など4項目以上満たすと全身性エリテマトーデス(SLE)を疑う。
3.× 前立腺癌は、特に日本人に限ったことではない。
ただし、欧米の食文化に関連性があるとされ、前立腺がんは元々欧米に多く、米国では男性のがん1位である。日本の発症率は欧米と比べて約10分の1と言われていたが、近年は日本でも増加しており、現在は男性のがん死亡数第4位である。
4.× クッシング(Cushing)病は、「成長ホルモン」ではなくコルチゾールの異常分泌である。
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌により起こる内分泌系疾患である。満月様顔貌や中心性肥満などの特徴的な症状を呈する。主に、副腎腺腫、副腎癌、副腎過形成、ACTH産生下垂体腺腫などによりコルチゾールの過剰分泌が起こる。一方、成長ホルモンの過剰分泌では、先端巨大症が起こる。身長には影響が出ず、5~10年かけてゆっくり進行する。アクロメガリーとも呼ばれ、額、鼻、唇や下あごが大きくなる特徴的な顔貌と、手足など体の先端が肥大する病気である。
問題98 真菌感染症はどれか。
1.梅毒
2.アメーバ赤痢
3.ツツガムシ病
4.ニューモシスチス肺炎
答え.4
解説
1.× 梅毒
梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じて死に至ることもある。
2.× アメーバ赤痢
赤痢とは、赤痢菌(細菌)に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は、通常1~3日であり、症状は、発熱とともに腹痛や下痢が初発し、その後しぶり腹(テネスムス)、頻回の膿粘血便、膿性下痢便などがみられる。近年では重症例は少なく、数回の下痢や軽度の発熱で経過する事例が多い。
3.× ツツガムシ病
ツツガムシ病とは、病原体はつつが虫病リケッチア(細菌)で、つつが虫病リケッチアを保有するツツガムシに刺されて感染する感染症である。全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症する。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達する。刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多い。刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹する。第3~4病日より不定型の発疹が出現するが、発疹は顔面、体幹に多く四肢には少ない。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられる。重症になると肺炎や脳炎症状を来す。北海道を除く全国で発生がみられる。
4.〇 正しい。ニューモシスチス肺炎は、真菌感染症である。
ニューモシスチス肺炎とは、細胞性免疫不全により引き起こされる日和見感染症である。つまり、免疫が低下している際に原因菌が体の中に入ることによって生じる。病原菌は、Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)という真菌である。リスク因子として、HIV 感染、ステロイド投与、免疫抑制剤、生物学的製剤、悪性腫瘍、抗癌剤による化学療法、血液透析などがある。3主徴は発熱、乾性咳嗽、呼吸困難である。
問題99 アルコール性肝障害でみられる病変はどれか。
1.アミロイド変性
2.フィブリノイド変性
3.脂肪変性
4.糖原変性
答え.3
解説
アルコール性肝障害とは、アルコールの飲みすぎによって肝臓に負担がかかり、肝細胞に中性脂肪が蓄積することによって風船状に肥大化し肝機能が障害されてしまう病気である。初期には肝臓全体が腫れてアルコール性脂肪肝の状態となる。
1.× アミロイド変性
アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常蛋白質が脳、心臓、腎臓、消化管、神経など全身の様々な臓器に沈着し、機能障害を起こす病気の総称である。複数の臓器にアミロイドが沈着するものを、全身性アミロイドーシスといい、一つの限局した臓器にアミロイドが沈着するものを、限局性アミロイドーシスという。
2.× フィブリノイド変性
フィブリノイド変性とは、アレルギー性疾患や膠原病の特徴的病変である。フィブリノイド変性を認める膠原病として代表的なものは全身性エリテマトーデスである。全身性エリテマトーデスではフィブリノイド変性を伴う小動脈血管炎を認める。
3.〇 正しい。脂肪変性は、アルコール性肝障害でみられる病変である。
脂肪変性とは、脂肪化ともいい、細胞質内に形態学的に観察可能な脂肪滴が出現している状態である。脂肪変性は中性脂肪の異常蓄積により出現する。アルコール性肝障害の初期症状としてよく見られ、肝細胞内に異常に脂肪が蓄積することを指す。
4.× 糖原変性
糖原変性とは、体内の糖原(グリコーゲン)の異常な蓄積を指す。特定の遺伝性代謝疾患(糖原病)で主に見られる。
全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。
問題100 死の判定基準のうち脳死の基準のみに含まれるのはどれか。
1.呼吸の停止
2.心音の停止
3.瞳孔反射の消失
4.平坦脳波
答え.4
解説
死の三徴候とは、①自発呼吸の停止、②心臓の停止、③瞳孔散大(対光反射の消失)である。
脳死とは、脳幹を含む全脳の機能が停止した状態である。
①深い昏睡にあること
②瞳孔が固定し一定以上開いていること(4mm以上)
③刺激に対する脳幹の反射がないこと
④脳波が平坦であること
⑤自分の力で呼吸ができないこと
の5項目を行い、6時間以上経過した後に同じ一連の検査(2回目)をすることで、状態が変化せず、不可逆的であることの確認できた場合。
1.3.× 呼吸の停止/瞳孔反射の消失
これは、死・脳死の判定基準の両方に含まれる。
2.× 心音の停止
これは、死の判定基準のみ含まれる。
4.〇 正しい。平坦脳波は、死の判定基準のうち脳死の基準のみに含まれる。