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問11 リハビリテーションの意味で誤っているのはどれか。
1.復職
2.名誉回復
3.復権
4.収容
答え.4
解説
リハビリテーションとは、医療保険・介護保険でのサービスのひとつであるとともに、技術であり,ひとつの思想でもある。WHO(World Health Organization)は,リハビリテーションを「医学的,社会的,教育的,職業的手段を組み合わせ,かつ相互に調整して,訓練あるいは再訓練することによって,障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめることである」と定義している。この定義によって,リハビリテーションは,医学,社会,教育,職業の4つの分野に区分され,それらが組み合わさって総合的に提供されるものであることが明確にされた。(※引用:「リハビリテーション」日本医療・病院管理学会様HPより)
1.〇 正しい。復職/名誉回復/復権は、リハビリテーションの意味に含まれる。リハビリテーションの目的には、個人の権利や能力の回復を含め、社会的な地位や権利の回復も含まれる。
4.× 収容は、リハビリテーションの意味で誤っている。収容とは、施設などに閉じ込めることである。障害者や患者を施設に収容し地域から隔離・分離することを、プロテクショニズム(収容保護主義)という。
問12 関節強直の原因で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.骨
2.軟骨
3.筋肉
4.皮膚
答え.1・2
解説
関節強直とは、徒手的には改善困難な関節可動域制限の状態で、関節が破壊されて変形を起こし、機能しなくなった状態である。原因は先天性、骨折による関節面の破壊や感染、後天性があり、強直を有する病名には顎関節強直症、強直性脊椎炎、関節リウマチなどがある。
つまり、関節強直の主要な原因は関節構造そのものに関係することが多い。
1.〇 正しい。骨/軟骨は、関節強直の原因である。関節軟骨とは、関節の相対する骨端の表面にある厚さ2~4 mmの組織(硝子軟骨)で、血管、神経、リンパ管に乏しいという組織学的特徴がある。つまり、関節軟骨は、関節の動きによって栄養素や酸素が適切に供給される。軟骨の損傷や変性により、例えば、変形性関節症が起こる。変形性関節症とは、軟骨がすり減ることで起こる関節の病気で、関節硬直が生じる。
3.× 筋肉による関節可動域制限は、筋性拘縮という。特に、長期臥床により筋筋長が短縮し関節可動域制限をきたす。
4.× 皮膚による関節可動域制限の原因は、皮膚の硬化や癒着、伸張性低下などである。特に、熱傷の場合、皮膚が瘢痕化し拘縮しやすい。
軟骨は気質の成分により、主に3種類の①硝子軟骨、②線維軟骨、③弾性軟骨に分類される。
①硝子軟骨:骨端部分を覆う関節や、気管、咽頭などに存在する。
②線維軟骨:脊椎など動きの少ない関節に存在し、骨と骨の間でクッションの役割をする。
③弾性軟骨:耳や鼻などを形づくる軟骨である。
問13 末梢神経麻痺で正しいのはどれか。
1.筋トーヌスの増強
2.軽微な筋萎縮
3.腱反射消失
4.病的反射出現
答え.3
解説
上位運動ニューロンとは、大脳皮質から内包、脳幹、脊髄を経て脊髄前角細胞に至る経路のことである。
下位運動ニューロンとは、脊髄前角細胞から末梢部で筋に至るまでの経路のことである。
1.× 筋トーヌスの増強は、上位運動ニューロン病変(中枢神経系の障害)である。末梢神経麻痺では筋トーヌス(筋緊張)は通常低下する。
2.× 「軽微」ではなく著明な筋萎縮がみられる。なぜなら、末梢神経麻痺では、筋肉に対する神経支配が失われるため。したがって、支配される筋肉が正常に収縮できなくなり、萎縮が顕著になる。
3.〇 正しい。腱反射消失は、末梢神経麻痺である。なぜなら、末梢神経麻痺では、障害された神経が反射経路に含まれている場合、腱反射が消失することがあるため。他にも、末梢神経麻痺の症状には、運動障害、感覚障害、自律神経障害などがあげられる。
4.× 病的反射出現は、上位運動ニューロン病変(中枢神経系の障害)である。病的反射とは、原始的な反応への退行であり、大脳皮質からの抑制が消失していることを意味する。例えば、バビンスキー反射の出現などである。中枢側にある上位運動ニューロンが傷害され、その下位運動ニューロンに対する抑制が消失し、正常では認められないような反射である。
問14 国際障害分類(ICIDH)で能力低下はどれか。
1.心臓の大動脈弁閉鎖不全のため心拍出量が落ちている。
2.変形性股関節症のため500mの歩行ができない。
3.廃用のため独居の自宅へ退院できない。
4.認知機能低下のため発症前の仕事に復帰できない。
答え.2
解説
ICIDHとは、一方向に「疾病変調→機能障害→能力障害→社会的不利」とマイナス面のみを評価するものである。ICIDH(国際障害分類)に対する批判から、医療福祉の専門家と障害者団体が関わって、その結果を結集してICFの改訂へと至っている。
機能障害:病気やけがによる一次的な生物学的障害
能力低下:けがによって歩けないといった個人レベルの障害
社会的不利:けがによって就職できないといった社会レベルの障害
1.× 心臓の大動脈弁閉鎖不全のため心拍出量が落ちているのは、「機能障害」に該当する。
2.〇 正しい。変形性股関節症のため500mの歩行ができない。これは「能力低下」に該当する。
3~4.× 廃用のため独居の自宅へ退院できない。認知機能低下のため発症前の仕事に復帰できない。
これは、「社会的不利」に該当する。
問15 下肢筋力増強のための仰臥位での膝伸展位下肢挙上訓練で大腿広筋群の筋収縮はどれか。
1.等尺性筋収縮
2.等張性筋収縮
3.遠心性筋収縮
4.求心性筋収縮
答え.1
解説
大腿広筋群とは、太ももの前面にある大腿四頭筋の4つの筋群のうち、内側広筋、外側広筋、中間広筋の3つの筋群を指す。これらの作用は、膝関節伸展である。
仰臥位での膝伸展位下肢挙上訓練(SLR運動)
①膝関節伸展位(等尺性)のまま
②股関節屈曲運動(求心性)である。
1.〇 正しい。等尺性筋収縮は、仰臥位での膝伸展位下肢挙上訓練(SLR運動)で大腿広筋群の筋収縮である。等尺性筋収縮とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
2.× 等張性筋収縮とは、①求心性等張性筋収縮、②遠心性等張性筋収縮がある。①求心性等張性筋収縮とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。②遠心性等張性筋収縮とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。
3.× 遠心性筋収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。
4.× 求心性筋収縮とは、筋肉の長さが短縮しながら収縮する動的収縮の一種である。仰臥位で膝を伸展位にしたまま下肢を挙上する際、大腿四頭筋(股関節屈曲筋群)は、求心性筋収縮を行う。