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問41 性行為感染症でないのはどれか。
1.後天性免疫不全症候群(AIDS)
2.破傷風
3.梅毒
4.淋病
答え.2
解説
1.〇 正しい。後天性免疫不全症候群(AIDS)は、性行為感染症である。後天性免疫不全症候群とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。
2.× 破傷風は、性行為感染症でない。破傷風とは、接触感染で、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。
3.〇 正しい。梅毒とは、性感染症の一種で、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することによって起こる。感染後3~6週間前後の潜伏期間後に性器、肛門、口などの感染部位にしこり、びらん、潰瘍などが現れるが、治療をしなくても一定期間が過ぎると最初の症状は消える。感染後数ヶ月すると手のひらや足の裏を含めた全身に赤い斑点(バラ疹)が広がる。
4.〇 正しい。淋病とは、淋菌の感染による性感染症である。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
【男性】2020年における感染者順位
1位:性器クラミジア感染症、2位:淋病感染症、3位:尖圭コンジローマ、4位:性器ヘルペスウイルス感染症
【女性】2020年における感染者順位
1位:性器クラミジア感染症、2位:性器ヘルペスウイルス感染症、3位:尖圭コンジローマ、4位:淋病感染症
(データ参照:「性感染症報告数(2004年~2020年)」厚生労働省HPより)
問42 50歳の女性。2か月前から四肢近位筋に対称性の筋力低下と筋肉痛があり、しゃがむと立ち上がることができない。両上眼瞼部に紫紅色の紅斑があり、手指関節、肘関節および膝関節の伸側に落屑を伴う紅斑を認める。関節腫脹はない。
考えられる疾患はどれか。
1.痛風
2.皮膚筋炎
3.関節リウマチ
4.変形性関節症
答え.2
解説
・50歳の女性。
・2か月前:四肢近位筋に対称性の筋力低下、筋肉痛あり。
・しゃがむと立ち上がることができない。
・両上眼瞼部に紫紅色の紅斑があり(ヘリオトロープ疹)。
・手指関節、肘関節、膝関節の伸側に落屑を伴う紅斑(ゴットロン徴候)。
・関節腫脹はない。
→本症例は、皮膚筋炎が考えられる。両上眼瞼部に紫紅色の紅斑(ヘリオトロープ疹)があることから、皮膚筋炎と搾れる。
1.× 痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
2.〇 正しい。皮膚筋炎が考えられる疾患である。多発性筋炎(皮膚筋炎)とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
3.× 関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。主な症状は、多関節の対称性の関節炎や関節腫脹、痛みなどである。
4.× 変形性関節症とは、軟骨下骨、関節裂隙、関節周囲構造の変化を伴う関節軟骨の異常に関連した疾患である。 手関節症、膝関節症、股関節症など、部位によって臨床症状が異なるが、一般的な症状として、圧痛、筋力低下、骨棘と呼ばれる突起があり、骨に当たってすれることなどがあげられる。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
問43 65歳の男性。3年前からの歩行障害を主訴に来院した。四肢の振戦、固縮、体の動きにくさ及び姿勢反射障害を認めた。
考えられる診断はどれか。
1.ハンチントン(Huntington)病
2.パーキンソン(Parkinson)病
3.アルツハイマー(Alzheimer)病
4.クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt-Jakob)病
答え.2
解説
・65歳の男性。
・主訴:3年前からの歩行障害。
・四肢の振戦、固縮、体の動きにくさ、姿勢反射障害。
→本症例は、パーキンソン病が疑われる。
1.× ハンチントン(Huntington)病とは、常染色体優性遺伝型式を示す遺伝性の神経変性疾患である。不随意運動(舞踏運動)や認知機能低下、精神症状が特徴である。発症して数年が経過すると、手先が不規則に勝手に動いたり顔をしかめたりする舞踏運動がみられることもある。
2.〇 正しい。パーキンソン(Parkinson)病が考えられる疾患である。パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
3.× アルツハイマー(Alzheimer)病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
4.× クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt-Jakob)病は、異常なプリオン蛋白が脳に蓄積する致死性神経感染症である。初期には精神症状(健忘症、抑うつなど)、視覚障害、歩行障害、運動失調などで発症し、進行すると精神症状が急速に悪化し、高度の認知症に発展する。会話、自発語不能となり、四肢のミオクローヌスも特徴的所見である。様々な症状を呈して、多くは数ヶ月から半年以内、長くとも2年以内で死亡する。
問44 熱傷で正しいのはどれか。
1.Ⅰ度は瘢痕を形成する。
2.Ⅱ度は痛みを感じない。
3.Ⅱ度は水疱を形成しやすい。
4.Ⅲ度は植皮の抵抗とならない。
答え.3
解説
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化、水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。
1.× 瘢痕を形成するのは、「Ⅰ度」ではなくⅡ度である。瘢痕とは、傷跡のことである。擦り傷や切り傷、火傷(やけど)、手術の傷跡など様々な原因で瘢痕ができ、一般的に傷が深いほど目立つ傷になり、浅い傷であっても範囲が広いと気になる状態となる。
2.× 痛みを感じないのは、「Ⅱ度」ではなくⅢ度である。Ⅱ度は、知覚は鈍麻である。
3.〇 正しい。Ⅱ度は、水疱を形成しやすい。
4.× 植皮の抵抗とならないのは、「Ⅲ度」ではなく深さが浅いほうが良い。ただ、形成外科の進歩によって植皮の技術も進歩したため、通常の植皮でつかないということは少ない。とはいえ、一般的にうすい皮の方がつきやすく、皮膚を採ったところも治りやすく痕もほとんど残らない(※参考:「形成外科Q&A」日本赤十字社様HPより)。
問45 治療で誤っている組み合わせはどれか。
1.梅毒:ペニシリン
2.破傷風:抗ウイルス薬
3.蜂刺傷:抗ヒスタミン薬
4.ガス壊疽:テトラサイクリン
答え.2
解説
1.〇 正しい。梅毒は、「ペニシリン」を用いる。梅毒とは、性感染症の一種で、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することによって起こる。感染後3~6週間前後の潜伏期間後に性器、肛門、口などの感染部位にしこり、びらん、潰瘍などが現れるが、治療をしなくても一定期間が過ぎると最初の症状は消える。感染後数ヶ月すると手のひらや足の裏を含めた全身に赤い斑点(バラ疹)が広がる。本症例のように、梅毒血清反応、梅毒トレポネーマ抗体血清検査<TPHA>がいずれも陽性であれば、早期に母体にペニシリン系抗菌薬の投与を開始する。期間は4~6週間である。
2.× 破傷風は、「抗ウイルス薬」ではなくメトロニダゾール(抗菌薬)を用いる。破傷風とは、接触感染で、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。
3.〇 正しい。蜂刺傷は、「抗ヒスタミン薬」を用いる。蜂刺傷に対しては、アレルギー反応を抑えるために抗ヒスタミン薬がよく用いられる。抗ヒスタミン薬とは、体内でアレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」という化学伝達物質の作用を抑えることにより、症状を改善する薬である。花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎の他、医療機関では食べ物によるアレルギー、じんま疹、気管支ぜんそくなどの治療にも使用される。
4.〇 正しい。ガス壊疽は、「テトラサイクリン」を用いる。テトラサイクリン系抗菌薬は、細菌の生命維持や増殖に必要なタンパク質合成を阻害することで抗菌作用を発揮する。ガス壊疽とは、ガス産生菌が傷口から侵入して感染し、筋肉が壊死に陥り、全身に中毒症を起こす致死性の感染症である。筋肉を中心としてメタンや二酸化炭素などのガスが発生することにより、感染が広がる。クロストリジウム属(ウェルシュ菌など)の菌により起こるクロストリジウム性ガス壊疽と、他の細菌で起こる非クロストリジウム性ガス壊疽の2つに大別される。深刻な感染症で、急速に進行し、強い痛みを伴い、皮膚の下にある組織が壊死し、ガスを生じることからこの名前が付けられている。