この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問71 筋腱と骨摩擦部の組合せで正しいのはどれか。
1.棘上筋腱:小結節部
2.上腕二頭筋腱:関節下結節部
3.長母指伸筋腱:リスター結節部
4.長母指外転筋腱:尺骨茎状突起部
答え.3
解説
1.× 棘上筋腱は、「小結節部」ではなく大結節である。肩峰下インピンジメントとは、上腕骨大結節と棘上筋腱停止部が、烏口肩峰アーチを通過する際に生じる、棘上筋腱の機械的圧迫のことである。この機械的圧迫は棘上筋腱に集中して発生する。つまり、肩の近くの関節の細いところで、骨同士の隙間が、こすれがあっている状態である。 原因として、年齢や疲労、姿勢の影響で動きの連携がとれずに衝突するとされている。炎症や出血を起こす。
2.× 上腕二頭筋腱は、「関節下結節部」ではなく結節間溝部である。上腕二頭筋腱炎(上腕二頭筋長頭炎)は、上腕二頭筋長頭腱が、上腕骨の大結節と小結節の間の結節間溝を通過するところで炎症が起こっている状態のことである。腱炎・腱鞘炎・不全損傷などの状態で肩の運動時に痛みが生じる。Speedテスト(スピードテスト)・Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)で、上腕骨結節間溝部に疼痛が誘発される。治療は保存的治療やステロイド局所注射となる。
3.〇 正しい。長母指伸筋腱は、リスター結節部である。リスター結節とは、橈骨遠位端の背側にあり、橈側に長・短橈側手根伸筋腱、尺側に長母指伸筋腱が通過する。
4.× 長母指外転筋腱は、「尺骨茎状突起部」ではなく橈骨茎状突起部である。なぜなら、長母指外転筋の走行として、手首の橈側を通過する。長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近、【作用】母指外転(※手関節橈屈)である。
問72 足関節底屈強制で症状が誘発されるのはどれか。
1.第1ケーラー(Kohler)病
2.有痛性三角骨
3.アキレス腱断裂
4.足底腱膜炎
答え.2
解説
ケーラー病は、足の舟状骨への血液供給が途絶えるためにその部分が壊死する病気(無腐性壊死)である。ケーラー病は骨軟骨症の一種である。ケーラー病の原因は、足の舟状骨への血液供給不足であるが、なぜ血液の供給が不足するのかは分かっていない。この病気は通常、3~5歳の小児(男児に多い)の片足のみに起こる。足が腫れて痛み、足のアーチ部分に圧痛が生じる。体重支持と歩行によって不快感が増すため、歩き方(歩様)に異常がみられる。スポーツの中止やアーチ足底板の利用により、舟状骨へのストレスを低減させることで良好な予後が期待できる。レントゲンの特徴として、正常よりも小さな舟状骨が確認できる。
(※参考:「ケーラー病とは?」MSDマニュアル様HPより)
1.× 第1ケーラー(Kohler)病とは、足の中央分にある舟状骨が変形し、痛みを引き起こす疾患である。原因は、繰り返しの圧迫が与えられたことで血液の循環障害が生じ、舟状骨が壊死してしまうことである。
2.〇 正しい。有痛性三角骨は、足関節底屈強制で症状が誘発される。なぜなら、足関節底屈の際に、三角骨が周囲の組織に圧迫されることで痛みが生じるため。ちなみに、有痛性三角骨とは、外くるぶしの後方、アキレス腱前方に痛みがあり、足関節を底屈すると強い痛みを感じるものをさす。クラシックバレエやサッカーなど足関節を底屈するスポーツで多く見られ、繰り返す微小外傷により徐々に症状が出現する事が多い。三角骨は距骨後突起の後方に位置する過剰骨のひとつである。健常者での出現率は約10%で、約2/3が片側性である。
3.△ アキレス腱断裂より優先されるものが他にある。なぜなら、アキレス腱断裂は、①完全断裂と②部分断裂に分けられるため。①完全断裂の場合は、足関節の底・背屈はアキレス腱にストレスがかからず、痛みが出にくい。ただし、②部分断裂の場合、足関節底屈強制でアキレス腱に伸張ストレスが加わり、アキレス腱断裂の症状が誘発される可能性は高い。
4.× 足底腱膜炎炎とは、足のアーチ構造を支える足底腱膜が炎症を起こし、小さな断裂を繰り返している状態である。かかとや足底が地面に着地した際に、足底腱膜が伸ばされて痛みを感じる。
アキレス腱断裂は、完全断裂と部分断裂にわけられる。したがって、断裂の程度に応じて保存療法と手術療法のどちらかに選択される。
【保存療法の治療】最大6週間、アキレス腱にストレスが加わらないようにする。大腿中央から足MP関節手前まで副子固定を行い、膝関節:90°屈曲位、足関節:最大底屈位または自然下垂位にする。このときに、踵部は、アキレス腱断裂の固定において圧迫がかかりやすい部位である。固定装置が踵部に適切な圧力を与えることで、アキレス腱の治療に必要な安定性が確保されるが、その反面、皮膚障害が生じやすい。
問73 大腿四頭筋損傷の患者から主訴聴取後に行う身体所見評価で正しいのはどれか。
1.関節可動域や大腿周径の計測
2.腫脹や出血斑の確認
3.筋硬結や陥凹の確認
4.FNSテストによる確認
答え.2
解説
炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
1.× 関節可動域や大腿周径の計測より優先されるものが他にある。なぜなら、関節可動域の測定は、損傷した大腿四頭筋にさらなる負担をかけ、症状が増悪する可能性があるため。ただし、大腿周径の計測は、浮腫や腫脹の程度の評価としても用いられることがあるため、本症例の炎症期においても実施するべき項目である。
2.〇 正しい。腫脹や出血斑の確認が最も優先される。なぜなら、受傷部位の確認は、損傷の程度を把握できるため。ちなみに、腫脹とは、炎症によって毛細血管の透過性が亢進することである。炎症などが原因で、からだの組織や器官の一部に血液成分が溜まってはれ上がる。
3.× 筋硬結や陥凹の確認より優先されるものが他にある。なぜなら、筋硬結は慢性的に起こる症状で、陥凹は脱臼にみられる症状であるため。ちなみに、筋硬結とは、筋肉組織内に形成される硬く触れる結節やしこりのことで、筋肉が硬くなることを指す。筋肉の過度な使用や負荷、筋肉の保護反応としての収縮によって引き起こされる。
4.× FNSテストによる確認より優先されるものが他にある。なぜなら、椎間板ヘルニアの診断にて用いられるため。ちなみに、FNSテスト(大腿神経伸展テスト:Femoral Nerve Stretching Test)は、L3・L4の神経根障害(腰椎椎間板ヘルニア)で陽性となる。腹臥位になってもらい、膝を曲げて太ももを背中側に挙げる。ふとももの前に痛みが誘発された場合、陽性となる。第2/3腰椎間、第3/4腰椎間の椎間板ヘルニアに特徴的な検査である。
問74 直ちに医師の診察を要するのはどれか。
1.徒手整復前に末梢動脈の拍動を認めなかった。
2.蒼白だった顔色が徒手整復後に紅潮してきた。
3.包帯施行後に末梢部にしびれ感を訴えた。
4.固定除去後に関節可動域が制限されていた。
答え.1
解説
肺塞栓症とは、肺動脈に血栓が詰まる病気のこと。この血栓が9割以上は脚の静脈内にできる。この血栓を「深部静脈血栓症」といい、それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となる。肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる。深部静脈血栓症患者の約50%は潜在性の肺塞栓症を有し、肺塞栓症患者の30%以上は証明可能な深部静脈血栓症患者を有すると報告されている。
1.〇 正しい。徒手整復前に末梢動脈の拍動を認めなかった。なぜなら、末梢動脈の拍動が認められない場合、血行障害の可能性があるため。例えば、末梢動脈の拍動が認められない原因として、深部静脈に血栓ができていることが考えられる(深部静脈血栓症)。徒手整復後、その血栓が飛び、脳梗塞や肺塞栓となりかねない。
2.× 蒼白だった顔色が徒手整復後に紅潮してきた。これだけでは、直ちに医師の診察を要すると判断することはできない。なぜなら、交感神経が優位となり、紅潮している可能性があるため。顔面紅潮とは、皮膚内にある毛細血管が拡張して血液がうっ滞するために皮膚が赤くみえている状態である。毛細血管は、自律神経による支配を受けているため、運動や怒り、不安、興奮等で交感神経が刺激されると血管は収縮し顔面紅潮につながる。ただし、そのほかの症状が同時に起こっている場合は、診断が必要な場合がある。
3.× 包帯施行後に末梢部にしびれ感を訴えた。これだけでは、直ちに医師の診察を要すると判断することはできない。なぜなら、原因が「包帯施行後」と分かっているため。これは、過度な包帯の締め付けにより、神経や血管が圧迫されていることが示唆される。この場合は、直ちに包帯を緩めればよい。その後、再評価し、異常感覚が持続し、ほかの症状を併発するようなら、医師の診察を要する。
4.× 固定除去後に関節可動域が制限されていた。これだけでは、直ちに医師の診察を要すると判断することはできない。なぜなら、原因が「固定期間による関節の不動」と分かっているため。固定除去後、適切な運動療法が、関節可動域の拡大につながる。
問75 基本包帯法で正しい組合せはどれか。
1.肩部:扇状帯
2.母指:亀甲帯
3.膝部:人字帯
4.足部:麦穂帯
答え.4
解説
1~2.× 扇状帯(亀甲帯)は、「肩部」や「母指」ではなく肘関節や膝関節、足関節などで用いることが多い。8字帯固定は、亀甲帯や扇状帯ともいい、鎖骨骨折の治療でよく用いられる方法である。関節部を中心に8の字に交差させながら巻いていく方法で、屈曲・伸展がある程度可能なので、肘関節や膝関節、足関節などの被覆(保護)にも用いられる。
3.× 人字帯(麦穂帯、スパイカ巻)は、「膝部」ではなく手関節、足関節、股関節、肩を用いることが多い。
4.〇 正しい。麦穂帯は、足部を用いることが多い。麦穂帯は、手関節、足関節、股関節、肩といった屈曲する部位、下腿などの太さが一定でない部位に対して行われる方法である。8の字を描くように交差させながら巻く。関節部分をきれいに覆うことができるだけでなく、各関節の良肢位を保ったまま固定できる。