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問26 肘内障で正しいのはどれか。
1.肘関節屈曲位で手を強く引かれて発生する。
2.患肢前腕は回内位をとる。
3.上肢自動運動制限はみられない。
4.整復後は肘関節軽度屈曲位で固定する。
答え.2
解説
肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。
1.× 肘関節「屈曲位」ではなく伸展位で手を強く引かれて発生する。なぜなら、肘伸展位は、橈骨頭が輪状靱帯から脱臼する牽引力がかかりやすいため。
2.〇 正しい。患肢前腕は回内位をとる。なぜなら、強い引っ張りによる外力(前腕回内力)が加わり、受傷されるため。多くは、前腕回内位・肘関節軽度屈曲位で来院する。
3.× 上肢自動運動制限は「みられる」。一般的に、急に痛みを訴え、上肢を下垂したまま動かすことができない。疼痛や不安感があり、バネ様抵抗感を触知、上肢を動かせない。
4.× 整復後は肘関節軽度屈曲位で固定する必要はない。なぜなら、整復が成功すると、すぐに痛みがなくなり、自然に腕を動かすことができるため。
問27 動揺性肩関節の動揺性の主な方向はどれか。
1.前方
2.後方
3.外方
4.下方
答え.4
解説
動揺性肩関節とは、原因が外力や肩関節の軟部組織に異常がないにも関わらず、肩関節に動揺性を認める関節不安定症をいう。若年者や女性、投球やスパイクなどでオーバーアーム動作を行うスポーツ選手に多い。急性期は安静、ストレッチ、痛み止め・湿布の使用、物理療法などを行う。 回復期はリハビリテーション(筋力強化、ストレッチなど)の機能回復を行う。また、リハビリでは再発予防の指導も適宜行う。
1.× 前方は、反復性肩関節脱臼による脱臼の主な方向である。反復性肩関節脱臼とは、一度大きなけがをして肩を脱臼した方が、その後脱臼を繰り返してしまうことである。膝関節も反復性脱臼する可能性はあるが、特に肩関節が最も一般的である。
2.× 後方脱臼は、肩峰下脱臼や棘下脱臼に多い。
3.× 外方脱臼は、あまり肩関節脱臼には認められない。
4.〇 正しい。下方は、動揺性肩関節の動揺性の主な方向である。なぜなら、肩関節が異常に緩くなり、重力や腕を下に引っ張る力によって肩関節が下方に脱臼しやすくなるため。外傷歴がなく、肩の骨に異常もないのが特徴である。
問28 大腿骨頸部外側骨折の部位はどれか。
1.a
2.b
3.c
4.d
答え.3
解説
1.× aは、大腿骨頸部内側骨折(近位部aは、骨頭下骨折)の部位である。
2.× bは、大腿骨頸部内側骨折(遠位部bは、中間部骨折)の部位である。
3.〇 正しい。cは、大腿骨頸部外側骨折の部位である。大腿骨頸部外側骨折も、①近位部は転子間骨折、②遠位部は転子貫通骨折に分けられる。とはいえ、整形外科病院で働いても、そこまで厳密に診断されることなく、治療が変わることがない。
4.× dは、大腿骨頸部内側と外側を横断している。名称はない。※わかる方いらしたら、コメントにて教えてください。
問29 膝の嵌頓症状がみられないのはどれか。
1.離断性骨軟骨炎
2.滑膜ヒダ障害
3.半月板損傷
4.前十字靱帯断裂
答え.4
解説
嵌頓症状とは、膝に物がはさまり、曲げ伸ばしがしにくくなる状態である。(※読み:かんとん)膝半月板損傷でみられるいわゆる「膝ロッキング現象」である。
1.〇 離断性骨軟骨炎とは、血流が悪くなることによって軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、膝関節の軟骨の一部が骨ごと剥がれてしまう病気である。これを、関節遊離体といい(関節ねずみともいい)、肘や膝などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ち、関節内を動き回る物をいう。これが膝関節内に浮遊すると、嵌頓症状を引き起こす可能性があり、ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。
2.〇 滑膜ヒダ障害とは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある症状である。つまり、滑膜ヒダが膝関節内で引っかかり、嵌頓症状を引き起こす。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側課との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼びます。
3.〇 半月板損傷は、膝の嵌頓症状がみられる。McMurrayテスト(マックマリーテスト)の陽性は、半月板損傷を疑う。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
4.× 前十字靱帯断裂は、膝の嵌頓症状がみられない。前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある板で、内側・外側にそれぞれがある。役割として衝撃吸収と安定化をはたす。損傷した場合、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりが起こる。重度の場合は、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる「ロッキング」が起こり、歩けなくなるほど痛みが生じる。
問30 肋骨骨折でみられないのはどれか。
1.圧迫骨折
2.脆弱性骨折
3.疲労骨折
4.多発骨折
答え.1
解説
選択肢1は、椎骨に起こった場合に使う病名。
選択肢2~4は、骨折の原因(種類)である。
1.× 圧迫骨折は、肋骨骨折でみられない。圧迫骨折とは、背骨の椎体(椎骨)と言う部分が潰されるように骨折した状態である。尻もちなどの外力による受傷が多く見られる。女性の高齢者に多く見られる代表的な骨折である。椎体骨折(圧迫骨折)の場合は、画像所見で①膨張した椎間板、②魚椎変形(楔状変形)、③骨陰影の減少などがみられる。
2.〇 脆弱性骨折とは、骨量の減少や骨質の劣化によって骨強度が低下し、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折である。 軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒かそれ以下の外力をさす。転んで手をついた、重いものを持ち上げた、尻もちをついた、など健康な方では折れないような外力による骨折のことをさす。【高齢者の4大骨折】骨粗鬆症は閉経後の女性に多く、骨の変形や痛み、易骨折性の原因となる。高齢者に多い骨折は①大腿骨頸部骨折、②脊椎圧迫骨折、③橈骨遠位端骨折、④上腕骨頸部骨折などがあり、これらは「高齢者の4大骨折」と呼ばれている。
3.〇 疲労骨折とは、1回の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいう。好発部位は、腰椎が半数以上を占める。次に、中足骨35%、脛骨27%、肋骨12%、腓骨9%、尺骨・大腿骨・足関節の内側がそれぞれ3%である。
4.〇 多発骨折とは、二本以上の骨が同時に骨折した場合を指す。強い外力(例えば、交通事故や高所からの転落など)が原因である。