この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問81 ソルター・ハリス分類で上腕骨外顆骨折が該当するのはどれか。
1.Ⅰ型
2.Ⅱ型
3.Ⅲ型
4.IV型
答え.4
解説
上腕骨外顆骨折とは、①pull off型(肘伸展位で手掌を衝いて転倒し、肘に内転力が働き、前腕伸筋群の牽引作用により発生)と②push off型(肘伸展位または軽度屈曲位、前腕回内位で手を衝き転倒して発生)するタイプがある。症状は、疼痛や腫脹、異常可動性、運動障害がみられる。固定は、肘関節80~90°屈曲位、手関節軽度伸展、前腕回外位である。
1.× Ⅰ型は、骨折線が成長板をまっすぐ通って進むものをさす。骨端線の完全分離である。
2.× Ⅱ型は、骨折線が成長板の上方へ伸びる、または成長板から離れて伸びるものをさす。骨端線の完全分離と骨幹端の三角骨片である。
3.× Ⅲ型は、骨折線が成長板の下方へ伸びるものをさす。骨端線の分離と骨端の骨片である。
4.〇 正しい。Ⅳ型は、上腕骨外顆骨折が該当する。Ⅳ型は、骨折線が骨幹端、成長板、および骨端を通過して伸びるものをさす。骨幹端から関節軟骨にわたり縦断されたものである。
ソルター・ハリス分類(Salter-Harris分類)とは、成長板(骨端線)の骨折を評価するための一般的な分類法である。小児は大人と違って骨端に軟骨が挟まっており、そこから骨が成長する。タイプⅡは最も一般的なタイプで、成長板と骨端の一部が関与するが、多くの場合、完全に治癒し、長期的な成長障害を引き起こすことは少ない。Salter-Harris法では異なる型に分類される。骨折がⅠ型からⅤ型に進むに従い、成長障害のリスクが高まる。
タイプⅠ:骨折線が成長板をまっすぐ通って進む。骨端線の完全分離である。
タイプⅡ:骨折線が成長板の上方へ伸びる、または成長板から離れて伸びる。骨端線の完全分離と骨幹端の三角骨片である。
タイプⅢ:骨折線が成長板の下方へ伸びる。骨端線の分離と骨端の骨片である。
タイプⅣ:骨折線が骨幹端、成長板、および骨端を通過して伸びる。骨幹端から関節軟骨にわたり縦断されたものである。
タイプⅤ:成長板が押しつぶされている。骨端軟骨が圧挫されたものである。
成長板だけでなく骨端も含む損傷(タイプⅢ~Ⅳ)または成長板を圧縮する損傷(タイプⅤ)は、予後不良である。
問82 橈骨近位端骨折に合併しにくいのはどれか。
1.上腕骨内顆骨折
2.上腕骨小頭骨折
3.肘頭骨折
4.前腕両骨後方脱臼
答え.1
解説
1.× 上腕骨内顆骨折は、存在しない。上腕骨において、内顆は存在せず、内側上顆がある。
2~4.〇 上腕骨小頭骨折/肘頭骨折/前腕両骨後方脱臼(肘関節脱臼)/は、橈骨近位端骨折に合併しやすい。橈骨近位端骨折の合併症として、ほかにも上腕骨内側上顆骨折、肘頭骨折、関節内遊離体、外反肘変形などがあげられる。
橈骨頭骨折は成人に、橈骨頭部骨折は小児に多い。原因として、前腕回内位で手掌を衝き転倒した際の介達外力が多い。上腕骨遠位端部骨折、尺骨骨折、
問83 正しい組み合わせはどれか。
1.尺骨骨幹部骨折:過外反肘形成
2.橈骨遠位端骨折:過内反肘形成
3.中手骨頚部骨折:ナックルパート変化
4.末節骨骨折:ロッキングフィンガー変化
答え.3
解説
中手骨頸部骨折とは、ボクサー骨折と呼ばれ、通常第4~5中手骨の頸部に発生する。外力と骨格筋・虫様筋の作用により背側凸の変形がみられる。手を握ると患指骨頭が欠損して見える。中手骨の骨折は日常で良く発生し、骨折しても腫れや変形が目立ちにくいという特徴がある。
【整復】
手関節軽度伸展、MP関節直角位で中手骨上に牽引しながら基節骨を介して遠位骨片を突き上げ、近位骨片を背側より圧迫する。
1.× 尺骨骨幹部骨折は、過「外反」ではなく内反肘形成である。なぜなら、尺骨骨幹部骨折では、前腕の回旋バランスが崩れ、橈骨が相対的に外側へ偏位しやすくなるため。
2.× 橈骨遠位端骨折は、過「内反」ではなく外反肘形成である。なぜなら、橈骨遠位端骨折により橈骨の長さが短縮すると、尺骨が相対的に長くなるため。
3.〇 正しい。中手骨頚部骨折:ナックルパート変化
・中手骨頚部骨折では、骨頭が掌側へ転位しやすく、ナックルパート(拳を握った際の突出部)が低くなる
4.× 「末節骨」ではなく中手骨骨折(中手指節関節)にて、ロッキングフィンガー変化がみられる。
ロッキングフィンガーとは、骨に靭帯が引っかかり、指が伸ばせない状態である。すべての手指に起こりえる。ただし、中手指節関節(MP関節)で発生することが多く発生し、2〜5指では中手骨骨頭の掌橈側にできた骨棘に副靭帯が引っ掛かり発生することが多いとされている。また、20〜40歳代の女性の右手に好発するともいわれている。
問84 第3中手骨長軸に沿った軸圧痛をみるのはどれか。
1.月状骨骨折
2.三角骨骨折
3.小菱形骨骨折
4.有鉤骨鉤骨折
答え.1
解説
(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
1.〇 正しい。月状骨骨折は、第3中手骨長軸に沿った軸圧痛をみる。なぜなら、月状骨は手根骨の中央に位置し、周囲の骨との接触が多いため。したがって、圧迫による痛みが出やすい。
2~4.× 三角骨骨折/小菱形骨骨折/有鉤骨鉤骨折
これらは、手根骨の位置が、第3中手骨の長軸上にない。
問85 骨片転位で正しい組み合わせはどれか。
1.肩甲骨上角骨折:上内方
2.上腕骨内顆骨折:後上方
3.腸骨翼単独骨折:下後方
4.脛骨外顆骨折:上前方
答え.1
解説
1.〇 正しい。肩甲骨上角骨折:上内方
肩甲骨の転位は、骨体部は筋の保護により転位が少ない。下角骨折では、大円筋・前鋸筋により前外上方へ転位する。上角骨折では、肩甲挙筋により近位骨片が上内方へ転位する。症状は、患肢内転、限局性圧痛、皮下出血斑、深呼吸による局所痛などが起こる。
2.× 上腕骨内顆骨折は、存在しない。上腕骨において、内顆は存在せず、内側上顆がある。
3.× 腸骨翼単独骨折は、「下後方」ではなく上外方へ転位する。なぜなら、腸骨翼が腰方形筋により上方へ転位しやすいため。デュベルニー(Duverney)骨折とは、腸骨翼単独骨折のことである。腸骨の上部から外側にかけた骨折である。
4.× 脛骨外顆骨折は、「上前方」ではなく後下方へ転位する。なぜなら、重力による影響が大きい。脛骨外顆骨折は外反膝、脛骨内顆骨折は内反膝が合併しやすい。