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問題41 奇異塞栓がみられるのはどれか。
1.心室性期外収縮
2.心房中隔欠損症
3.大動脈弁狭窄症
4.感染性心内膜炎
解答2
解説
奇異塞栓とは、体の静脈系で発生した血栓が、本来であれば肺に流れて肺塞栓を引き起こすはずが、何らかの異常経路を通って体の動脈系に移動し、脳梗塞などの動脈塞栓症を引き起こす現象である。
奇異性脳塞栓症とは、静脈系で形成された血栓が右左シャントを介して左心系に流入し、脳血管を閉塞して脳梗塞を引き起こす病態である。右左シャント疾患には、卵円孔開存、心房中隔欠損、肺動静脈瘻などがある。
1.× 心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。
2.〇 正しい。心房中隔欠損症は、奇異塞栓がみられる。心房中隔欠損症とは、左心房と右心房を仕切る心房中隔に欠損孔と呼ばれる穴が開いている疾患である。この異常により、静脈系の血液が右心房から左心房に流れ込み、奇異塞栓が発生する可能性がある。血栓が右心系から左心系に移動し、動脈系に入る。
3.× 大動脈弁狭窄症とは、心臓の左心室と大動脈を隔てている弁の動きが悪くなり、全身に血液を送り出しにくくなる状態になる疾患である。近年、原因は加齢や動脈硬化が原因である割合が増えてきている。
4.× 感染性心内膜炎とは、体内の細菌が心臓弁や心内膜で増殖する疾患である。増殖した細菌がかたまり血流に乗って脳や他臓器で塞栓症(脳塞栓症)を引き起こすことがある。
問題42 急性炎症の局所で最初に起こるのはどれか。
1.滲出
2.充血
3.線維化
4.白血球遊走
解答2
解説
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。
1.× 滲出よりも最初に起こることが他にある。滲出は、細胞傷害により、血管の変化が生じた後に毛細血管の透過性亢進が起こる。炎症による血管透過性の亢進の結果、 出現する血液成分の血管外移動を滲出といい、その体液を滲出液という。
2.〇 正しい。充血は、急性炎症の局所で最初に起こる。炎症が発生すると、まず血管が拡張して血流が増加し、その結果、炎症部位に血液が集まる状態が生じる。これが充血である。組織が赤くなる(発赤)のは、この作用によるものである。ちなみに、炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
3.× 線維化よりも最初に起こることが他にある。線維化は、「細胞傷害直後」ではなく慢性炎症にみられる反応である。線維化とは、実際には線維芽細胞の増殖と過剰な細胞外基質の貯蓄のことである。線維化は、多くの慢性炎症性疾患に共通する所見であり、臓器の機能障害の重要な原因である。
4.× 白血球遊走よりも最初に起こることが他にある。白血球遊走とは、炎症部位に白血球が集まる現象である。急性炎症では、「好中球」が血管外に遊出し、遅れて「リンパ球」が遊出する。好中球は最初の24時間に炎症部位に集まり貪食、その後、単球やマクロファージ、リンパ球が続いて遊出する。ちなみに、好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。細菌感染による急性炎症で最初に反応する。
慢性炎症の背景は、自己免疫、急性炎症からの移行、微生物の細胞内持続感染がある。
【特徴】
①大食細胞やリンパ球および形質細胞などの浸潤
②炎症細胞の浸潤による組織破壊
③新生血管の増生を含む修復と線維化・瘢痕形成
線維化とは、実際には線維芽細胞の増殖と過剰な細胞外基質の貯蓄のことである。
線維化は、多くの慢性炎症性疾患に共通する所見であり、臓器の機能障害の重要な原因である。
問題43 ヒト免疫不全ウイルスが主に感染する免疫担当細胞はどれか。
1.B細胞
2.ヘルパーT細胞
3.細胞傷害性T細胞
4.NK細胞
解答2
解説
ヒト免疫不全ウイルスは、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することで後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。後天性免疫不全症候群(AIDS)の状態にあると判断できる疾患(エイズ指標疾患)は、23種類ある。AIDS指標疾患としてもっとも頻度が高いのは、ニューモシスチス肺炎(39.3%)、ついでサイトメガロウイルス感染症(13.4%)、カンジダ症(13.1%)、活動性結核(7.1%)、カポジ肉腫(4.5%)、非結核性抗酸菌症(3.8%)の順であった。
1.× B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。
2.〇 正しい。ヘルパーT細胞は、ヒト免疫不全ウイルスが主に感染する免疫担当細胞である。AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIV感染によって生じる。HIVは、CD4陽性Tリンパ球をはじめとする細胞に感染し、破壊・減少させることで、細胞性免疫不全を主体とするAIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こす。
3.× 細胞傷害性T細胞とは、細胞表面にCD8という分子を持つT細胞の一種で、ヘルパーT細胞からの指示を受け、宿主(患者)にとって異物になる異常細胞(がん細胞、ウイルス感染細胞など)を認識し、たんぱく質の1種であるパーフォリンを放出して破壊する細胞である。ちなみに、T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
4.× NK細胞は、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の傷害に働く。ナチュラルキラー細胞は、抗原を認識するための受容体をもたず、標的細胞を直接攻撃する。また、免疫グロブリンすなわち抗体は、B細胞により作られる。
問題44 生命予後が良好なのはどれか。
1.線維腫
2.中皮腫
3.膠芽腫
4.白血病
解答1
解説
腫瘍とは、体の中にできた細胞のかたまりのことである。悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいう。一方、良性腫瘍とは、浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと増える腫瘍のことをいう。
1.〇 正しい。線維腫は、生命予後が良好である。なぜなら、線維腫は、一般的に良性腫瘍であるため。増殖は緩やかで、周囲の組織に浸潤することもなく、転移のリスクも低い。
2.× 中皮腫とは、胸膜や腹膜などの中皮から発生する悪性腫瘍である。アスベスト(石棉)の長期曝露によって引き起こされることが多いが、他にも遺伝子変異や環境因子、慢性的な感染などが考えられる。症状として、胸水、胸痛、呼吸器系の症状、疲れなどがあり、進行性に重症で、治療は困難であることが多い。早期発見と、アスベスト露出を減らすことが重要である。
3.× 膠芽腫とは、脳に発生する悪性腫瘍である。神経膠腫(グリオーマ)の中で成人に最も多く認められる。進行が早く、治療が難しい。手術後の平均余命は、1~2年といわれている。悪性度Ⅳである。
4.× 白血病とは、血液のがんである。そのタイプによって予後は異なる。急性白血病は進行が早く、治療が難しい場合がある。一方、慢性白血病では長期的な治療により予後が比較的良好な場合もある。
2種類ある。
①脳内実質に発生するもの(グリオーマ:星状細胞腫、乏突起膠腫、膠芽腫など)
②実質外に発生するもの(膜腫、頭蓋咽頭腫、聴神経鞘腫など)
問題45 脊髄分節と体表知覚の組合せで正しいのはどれか。
1.第4頸神経:後頭部
2.第4胸神経:肩甲骨下角
3.第4腰神経:下腿外側
4.第4仙骨神経:肛門周囲
解答4
解説
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
1.× 後頭部は、「第4頸神経」ではなく第2頸神経である。
2.× 肩甲骨下角は、「第4胸神経」ではなく第6~7胸神経である。
3.× 下腿外側は、「第4腰神経」ではなく第5腰神経である。
4.〇 正しい。肛門周囲は、第4仙骨神経である。