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問題66 呼吸器感染症について正しいのはどれか。
1.上気道炎の治療は主に抗菌薬である。
2.65歳以上の高齢者には肺炎球菌ワクチンが推奨されている。
3.インターフェロン遊離試験は非結核性抗酸菌症で陽性となる。
4.日本の結核患者数は先進国の中では少ない。
解答2
解説
1.× 上気道炎の治療は、主に「抗菌薬」ではなく対症療法である。上気道炎の治療方法は、ほとんどがウイルス感染であるため原因ウイルスへの治療はない。しかし、対症療法として、解熱薬(アセトアミ ノフェン)、鼻汁やくしゃみに対して抗ヒスタミン薬、咳嗽に対して鎮咳薬(中枢性あるいは末梢性鎮咳薬)、およびうがい薬などが使用される。ちなみに、抗菌薬とは、細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことである。細菌による感染症の治療に使用される医薬品である。
2.〇 正しい。65歳以上の高齢者には、肺炎球菌ワクチンが推奨されている。肺炎球菌とは、肺炎の原因となる細菌である。肺炎球菌の主な感染経路は、飛沫感染である。 肺炎球菌は、主に、子どもがもっているが、咳やくしゃみで広がり、抵抗力の低下した高齢者に感染した場合には、肺炎を起こし、肺炎球菌感染症は重症化しやすい。
3.× インターフェロン遊離試験は、非結核性抗酸菌症で陽性「とはならない」。現在、結核の感染症診断には、BCG接種や大多数の非結核性抗酸菌感染の影響を受けないインターフェロンγ遊離試験(IGRA)が汎用されている。
4.× 日本の結核患者数は先進国の中では少ない「とはいえない」。むしろ、日本は、先進国の中では結核患者数が比較的多い国である。2021年の結核罹患率(人口10万対)は9.2であり、前年と比べ0.9減少し、結核低まん延国となった。 日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に年々近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある(※参考:「2021年 結核登録者情報調査年報集計結果について」厚生労働省HPより)。
非結核性抗酸菌とは、細菌の1グループである抗酸菌のうち、結核菌とらい菌以外の菌のことをいう。非結核性抗酸菌による肺感染症のことを肺非結核性抗酸菌症という。多くの人が日常的に菌を吸い込んでおり通常は病気になることはないが、一部の人で肺に定着して肺非結核性抗酸菌症を発症する。その原因は不明である。結核とは異なり、人から人への感染は基本的に起きない。症状は、長引く咳・痰・血痰・喀血・体重減少である。現在、日本は、増加傾向で、特に中高年のやせ型の女性に多くみられる。(※参考:「非結核性抗酸菌(NTM)症とは」近畿中央呼吸器センター 診療部様HPより)
問題67 狭心症について正しいのはどれか。
1.異型狭心症は日中に起こりやすい。
2.狭心痛は大動脈壁の内膜に生じた亀裂に血液が流入することで生じる。
3.心エコー検査で心臓の動きは正常である。
4.発作時の治療に抗血小板薬が用いられる。
解答3
解説
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
1.× 異型狭心症(冠攣縮性狭心症)は、「日中」ではなく深夜や早朝に起こりやすい。異型狭心症とは、深夜、早朝の就寝中や安静時の決まった時間帯に胸痛発作が起こりやすい特徴をもつ。早朝の運動時にも起こり、喫煙、過呼吸、ストレス、過労、不眠やアルコール過飲が発作の引き金となる。 胸痛に冷汗や嘔吐、失神を伴う時があり、また中には重症の不整脈や心筋梗塞を引き起こして突然死する方もいる。
2.× 大動脈壁の内膜に生じた亀裂に血液が流入することで生じるのは、「狭心痛」ではなく大動脈解離の痛みである。ちなみに、大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。ほとんどの場合、高血圧症を基礎に持つ患者に突如発生する。大動脈解離では、何の前触れもなく胸や背中に強い痛みが出る。痛み以外にも、病気の進行度合いや大動脈解離が起こる場所によってさまざまな症状が現れる。例えば、上肢の血圧に左右差が出たり、上肢に冷感が出たり、腸管への血流がさえぎられ、腹痛や腰痛、下血などが起こる。また、肝機能障害が起こる。
3.〇 正しい。心エコー検査で心臓の動きは正常である。心臓超音波検査(心エコー検査)とは、超音波を当てて心臓の大きさ、動き、弁の状態、血液の流れなどを観察し、ポンプが正常に働いているかどうかを判断する検査である。心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症、先天性疾患などが発見できる。
4.× 発作時の治療には、「抗血小板薬」ではなく硝酸薬(血管を拡張させる薬)が用いられる。心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈を拡張させ、心臓の負担を軽減することで、胸痛や息苦しさなどの症状を改善する。治療は、抗血小板薬も用いられるが、抗血小板薬の作用は、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する。
問題68 僧帽弁狭窄症について正しいのはどれか。
1.男性に多い。
2.先天性が多い。
3.心拍出量が増加する。
4.心房細動の合併が多い。
解答4
解説
(※図引用:「僧帽弁閉鎖不全症の原因、症状—早期に診断し適切な治療を行うために」Medical Note様HPより)
僧帽弁狭窄症とは、僧帽弁の開口部が狭くなり、左心房から左心室への血流が妨害(閉塞)されている状態である。
1.× 「男性」ではなく女性に多い。男女比は1:2である。なぜなら、僧帽弁狭窄症は、通常はリウマチ熱が原因で発生することが多いため。
2.× 「先天性」ではなく後天性が多い。なぜなら、リウマチ熱や動脈硬化などの原因で発症で起こるため。したがって、成人期に多い。
3.× 心拍出量が「増加」ではなく減少する。なぜなら、僧帽弁狭窄症では、僧帽弁が狭くなるため。左心房から左心室への血流が制限され、心拍出量は減少する。
4.〇 正しい。心房細動の合併が多い。なぜなら、僧帽弁狭窄症では、左心房が血液を排出しにくくなるため。したがって、心房が拡張しやすいことが原因で、心房細動を合併することが多い。ちなみに、心房細動とは、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
心拍出量は、「一回心拍出量×心拍数」で示される。どちらが増加しても、心拍出量が増加する。心拍数の増加の刺激には、動脈血圧の下降、静脈還流量増加、吸息、精神運動興奮、激しい痛覚、交感神経活動高揚、カテコールアミン、筋活動、サイロキシン、体温上昇などがある。一回拍出量は、基礎収縮力、前負荷・後負荷の影響を受ける。運動開始から軽い運動中は、主に一回拍出量の増加に伴った心拍出量の増加が起こっている。
問題69 ホルネル症候群がみられやすいのはどれか。
1.食道癌
2.胃癌
3.大腸癌
4.肝臓癌
解答1
解説
ホルネル(ホルナー)症候群とは、交感神経遠心路の障害によって生じる。三大徴候:中等度縮瞳、眼瞼下垂(眼裂狭小)、眼球陥凹(眼球後退)とする症候群である。眼の徴候以外は、顔面の発汗低下と紅潮を特徴とする。
1.〇 正しい。食道癌は、ホルネル症候群がみられやすい。なぜなら、食道癌は、特に胸部の食道に腫瘍が発生した場合、近くを走行する交感神経に影響を与えるため。
2~4.× 胃癌/大腸癌/肝臓癌より、ホルネル症候群がみられやすいものが他にある。
食道癌は食道に発生した上皮性腫瘍のことである。組織学的に約90%が扁平上皮癌である。好発部位は、胸部中部食道、胸部下部食道の順で、胸部中部食道が約50%を占める。アルコール、喫煙、熱い食事、Barrett食道、アカラシアなどが誘因である。
問題70 させられ体験がみられるのはどれか。
1.統合失調症
2.単極性障害
3.双極性障害
4.広汎性発達障害
解答1
解説
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
1.〇 正しい。統合失調症は、させられ体験がみられる。作為体験(させられ体験)とは、自分が他者に操られ、他者の意のままに行動させられているという体験である。
2~3.× 単極性障害(うつ病)/双極性障害は、させられ体験がみられない。うつ状態だけが続くものを「うつ病」、躁状態とうつ状態をくり返すものを「双極性障害」などと分類される。気分障害におけるうつ病(単極性)と双極性障害について、双極性障害は障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。うつ病は、気分障害の一種であり、悲しみや無気力、興味喪失、自分に対する評価の低下などの症状が特徴的である。
4.× 広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
気分障害におけるうつ病(単極性)と双極性障害について、双極性障害は障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。
双極性障害とは、気分が高まったり(躁状態)、落ち込んだり(うつ状態)を繰り返す脳の病気である。激しい躁状態とうつ状態のある双極Ⅰ型と、軽い躁的な状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極Ⅱ型がある。躁状態では、気分が高ぶって誰かれかまわず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったりと、過活動的になる。ほかにも、ギャンブルに全財産をつぎ込んだり、高額のローンを組んで買い物をしたり、上司と大ゲンカして辞表を叩きつけたりするような社会的信用や財産、職を失ったりする激しい状態になることもある。