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問題86 頭が直立位にあるときに頭部の水平回転の開始に応答するのはどれか。
1.球形嚢
2.卵形嚢
3.半規管
4.コルチ器
解答3
解説
(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)
耳石器とは、卵形嚢と球形嚢に存在し、頭部の傾きや乗り物やエレベーターに乗った場合に生じる直線加速度を受容する(頭部の傾きの検出も、重力方向、すなわち直線加速度を感知することである)。
1.× 球形嚢は、垂直方向の頭部の傾きを感知する器官である。球形嚢は、耳石器の一つで、内壁には平衡覚を受ける平衡斑がある。
2.× 卵形嚢は、水平方向の頭部の傾きを感知する器官である。卵形囊とは、耳石器の一つで、内壁には平衡覚を受ける平衡斑がある。卵形嚢は、球形嚢と連携し、重力(垂直加速度)に反応する。
3.〇 正しい。半規管は、頭が直立位にあるときに頭部の水平回転の開始に応答する。半規管は、平衡感覚(頭部の回転加速度)を受容する。三半規管とは、①外側半規管、②前半規管、③後半規管の3つの半規管の総称である。すべての半規管は、頭が回転するときの方向と速さを感知する役割があり、外側半規管は水平回転(左右、 横方向の回転)、前半規管と後半規管は垂直回転 (上下、縦方向の回転)を感じ取る。
4.× コルチ器は、内耳の蝸牛にあり、聴覚に関与する。コルチ器の有毛細胞は、音の振動に対して有毛細胞が動くことで音を感知する。コルチ器官は、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。ちなみに、蝸牛とは、中耳から伝えられた音波を感じとり、それがどのような音であったかを分析して、聴神経(蝸牛神経)を通して脳へ伝える役割を持つ。
(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)
問題87 下行性痛覚抑制系に含まれるのはどれか。
1.後索核
2.内側毛帯
3.脊髄視床路
4.中脳水道灰白質
解答4
解説
下行性疼痛抑制系とは、脳幹部から神経線維が脊髄後角に下行し、そこで痛みの伝達を遮断するシステムである。下行性疼痛抑制線維は、主にノルアドレナリンやセロトニンなどである。
1~2.× 後索核/内側毛帯は、深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路である。後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野をたどる。
3.× 脊髄視床路は、温痛覚や粗大な触覚・圧覚の伝導路である。
・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
4.〇 正しい。中脳水道灰白質は、下行性痛覚抑制系に含まれる。中脳水道灰白質とは、中脳水道の周囲に広がる細胞集団で、大脳辺縁系や視床下部などから情動やそれに伴う自律神経性の入力を、脳幹や脊髄からは感覚性入力を受け、これらの情報を統合して、適切な行動や自律神経系活動の発現に関与する。中脳水道灰白質の主な機能は、①痛覚抑制作用、②情動行動、③自律神経系(血圧、心拍)の変動、④体温調節、⑤呼吸・発声、⑥性行動、⑦排尿、⑧睡眠・覚醒に関与する。
問題88 甲状腺ホルモンの作用で低下するのはどれか。
1.心拍数
2.熱産生
3.酸素消費量
4.血中コレステロール値
解答4
解説
甲状腺から分泌されるホルモンは、①カルシトニン、②甲状腺ホルモンがあげられる。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
1~3.× 心拍数/熱産生/酸素消費量は、増加させる。なぜなら、甲状腺ホルモンは基礎代謝率を上昇させ、エネルギー代謝を促進するため。したがって、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。
4.〇 正しい。血中コレステロール値は、甲状腺ホルモンの作用で低下する。甲状腺ホルモンは、コレステロールを胆汁酸へ変える働きがある。したがって、甲状腺機能低下症によりLDLコレステロールが高くなる傾向にある。ちなみに、胆汁酸とは、脂肪を乳化し、消化・吸収させやすい形に変化させ、脂肪を分解吸収しやすくする物質である。さらに水に溶けない脂溶性ビタミンの吸収を助ける。
総コレステロールとは、 LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称で、脂質の一種でコレステロール骨格をもつ化合物である。脂質異常症において上昇し、動脈硬化の危険因子となる。特に、LDLコレステロールが心血管疾患リスクとの相関度が高い。
問題89 インスリンに依存してグルコースの取り組みが促進するのはどれか。
1.赤血球
2.脂肪細胞
3.腸上皮細胞
4.腎尿細管細胞
解答2
解説
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
1.× 赤血球とは、その内部にヘモグロビンを有しており、全身の組織へ酸素を運搬する機能を持つ。
2.〇 正しい。脂肪細胞は、インスリンに依存してグルコースの取り組みが促進する。インスリンに依存する主要な細胞は筋肉細胞と脂肪細胞である。インスリンは、血中を流れるブドウ糖が、肝臓、脂肪細胞、骨格筋細胞に取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する。
3.× 腸上皮細胞とは、管腔面に接する単層立方上皮を構成する細胞である。主な働きは、栄養と水分の消化吸収、ならびに体内への異物の侵入を防ぐバリア、内分泌機能による消化液の分泌と腸管運動の調節などである。
4.× 腎尿細管細胞とは、原尿中からNa+やCl-を再吸収し、原尿中にH+やK+を分泌する細胞のことを指す。形態的特徴は、大きさが10~35μm前後で扁平上皮細胞や移行上皮細胞の深層型とほぼ同大あるが、細胞辺縁はケバケバ、ギザギザして凹凸していることが多い。
・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)
・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)
・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など
・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。
・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)
・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)
問題90 ステロイドホルモンはどれか。
1.エストロゲン
2.甲状腺ホルモン
3.副腎皮質刺激ホルモン
4.ヒト絨毛性ゴナドトロピン
解答1
解説
ホルモンとは、①ペプチドホルモン、②ステロイドホルモン、③アミン・アミノホルモン、④糖タンパクホルモン、⑤その他の5つ分類される。①ペプチドホルモンは、成長ホルモン・インスリンなど大部分のホルモンが含まれる。②ステロイドホルモンは、副腎皮質ホルモンの他に性腺ホルモンも含まれる。コレステロールを原料として作られたステロイド骨格を盛るホルモンである。③アミン・アミノホルモンは、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモンがある。
1.〇 正しい。エストロゲンは、ステロイドホルモンに含まれる。ステロイドホルモンは、副腎皮質ホルモンの他に性腺ホルモンも含まれる。つまり、性腺ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなど)、副腎皮質ホルモン(①アルドステロン、②コルチゾール、③アンドロゲン)である。
2.× 甲状腺ホルモンは、アミン・アミノホルモンである。アミン・アミノホルモンは、アミノ酸由来のホルモンを意味する。
3.× 副腎皮質刺激ホルモンは、ペプチドホルモンである。副腎皮質刺激ホルモンとは、下垂体前葉から分泌され、副腎皮質に働きかけてコルチゾールなどのステロイドホルモンの分泌を促進する。
4.× ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、ペプチドホルモンである。hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>は、主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしているほか、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用も報告されている。