第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後171~175】

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問題171 透熱灸に用いる艾の品質で最も適切なのはどれか。

1.湿気を帯びている。
2.夾雑物が多い。
3.淡黄白色である。
4.灰分が多い。

解答

解説

透熱灸とは?

有痕灸である透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。

良質艾とは、不純物が少なく、点火しやすく、熱感がやわらかい、香りがよい、煙や灰が少ない艾のことである。

1.× 湿気を帯びて「いない」。なぜなら、点火しやすいため。

2.× 夾雑物は、「少ない」。(※読み:きょうざつぶつ、ざんさぶつ)
夾雑物とは、その物の中に異質な物が入り混じることである。

3.〇 正しい。淡黄白色である。一方、粗悪艾は、黒褐色である。

4.× 灰分は、「少ない」。(※読み:かいぶん)
灰分とは、物がもえたあとに残るかすである。良質艾は、煙と灰が少ないことが特徴である。

艾の良否鑑別

良質艾:芳香、手触り良く柔らかい、線維が細かい、夾雑物が少ない、淡黄白色、煙と灰が少ない、熱感が緩和(燃焼温度が低い)、燃焼時間が短い、よく乾燥している、など

粗悪艾:青臭い、手触りが悪く固い、線維が粗い、夾雑物が多い、黒褐色、煙と灰が多い、熱感が強い(燃焼温度が高い)、燃焼時間が長い、湿気を帯びている、など

 

 

 

 

 

問題172 焦灼灸について正しいのはどれか。

1.一局所に多壮施灸する。
2.患者が気持ち良いところで消火する。
3.免疫機能低下者に適した灸法である。
4.輻射熱による温熱刺激を与えることを目的とする。

解答

解説

焦灼灸とは?

有痕灸である焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。

1.〇 正しい。一局所に多壮施灸する。多壮灸とは、慢性疾患に対応しツボにすえる方法である。

2.× 患者が気持ち良いところで消火するものは、知熱灸である。
無痕灸である知熱灸は、半米粒~米粒大の艾炷に点火し、患者の気持ちの良い所で消火もしくは取り除く方法である。8割燃焼を八分灸ということもある。

3.× 免疫機能低下者に適した灸法であるのは、打膿灸(弘法の灸)である。
有痕灸である打膿灸は、小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法である。小児や虚弱者には不適である。

4.× 輻射熱による温熱刺激を与えることを目的とするものは、温灸である。
無痕灸である温灸は、艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法。棒灸、温灸器、温筒灸、艾条灸などがある。

 

 

 

 

 

問題173 輻射熱を用いるのはどれか。

1.押灸
2.箱灸
3.塩灸
4.紅灸

解答

解説

熱伝導形態

熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。

1.3.× 押灸/塩灸は、隔物灸のひとつであり、艾炷と皮膚の間に物を置いて施灸する方法である。塩灸、韮灸、墨灸、ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、ビワの葉灸、押灸などがあげられる。

2.〇 正しい。箱灸は、輻射熱を用いる。箱灸とは、箱内の細かなステンレスネットの上にもぐさを乗せて、皮膚に直接触れないように約5センチの空間を空けてお灸を行う治療法である。輻射熱を用いるのは、箱灸のほかにも棒灸、温筒灸、台座灸があげられる。

4.× 紅灸は、薬物灸のひとつで、艾を使用せず、薬物を塗布して刺激を皮膚に加える方法ある。紅灸、うるし灸、水灸、油灸、硫黄灸など。

(図引用:「輻射熱(放射熱)とは?」サーモバリア様HPより)

 

 

 

 

 

問題174 小児に対して最も適した灸法はどれか。

1.透熱灸
2.焦灼灸
3.打膿灸
4.艾条灸

解答

解説
1.× 透熱灸
有痕灸である透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。

2.× 焦灼灸
有痕灸である焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。

3.× 打膿灸
有痕灸である打膿灸(弘法の灸)は、小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法である。小児や虚弱者には不適である。

4.〇 正しい。艾条灸は、小児に対して最も適した灸法である。なぜなら、皮膚と直接接触しないため。艾条灸は、温灸のひとつである。温灸は、艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える方法で、棒灸、温灸器、温筒灸、艾条灸などがある。

 

 

 

 

 

問題175 温熱刺激情報を二次ニューロンへ伝達するのはどれか。

1.グルタミン酸
2.ノルアドレナリン
3.アセチルコリン
4.ドパミン

解答

解説
1.〇 正しい。グルタミン酸は、温熱刺激情報を二次ニューロンへ伝達する。グルタミン酸は、非必須アミノ酸の1つで、体内ではアラニン、アスパラギン酸、セリンをつくる際に必要なアミノ酸である。また、グルタミン酸はグルタチオンやガンマアミノ酪酸(GABA)の原料となる。脳内ではアンモニアと結合し、グルタミンとしてアンモニアを無毒化する。

2.× ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まり、その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態となる。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらす。副腎髄質から分泌されるホルモンは、①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

3.× アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。

4.× ドパミンとは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。 統合失調症の治療薬は、ドパミンD2受容体に結合して不活性化させる。

 

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