第24回(H28年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後116~120】

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116.変形性膝関節症の患者に対するSOAP方式による経過記録でPに相当するのはどれか。

1.階段昇降時の膝の痛み
2.膝関節の屈曲拘縮
3.内側広筋の萎縮
4.大腿四頭筋訓練

解答

解説

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは?

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。

S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)

で、経過を記録する。

1.× 階段昇降時の膝の痛みは、「S:subjective」に該当する。

2.× 膝関節の屈曲拘縮は、「O:objective」に該当する。

3.× 内側広筋の萎縮は、「A:assessment」に該当する。

4.〇 正しい。「大腿四頭筋訓練」は、「P:plan」に該当する。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。

 

 

 

 

 

117.四診法で得られた所見で予後が最も悪いのはどれか。

1.仮神
2.少気
3.畏寒
4.濇脈

解答

解説
1.〇 正しい。仮神は、四診法で得られた所見で予後が最も悪い。仮神とは、無神だが病状が突如好転したようになるものである。臨終の兆し

2.× 少気とは、呼吸が浅く微弱で音に力のないものである。慢性的な虚証などをいう。

3.× 畏寒とは、いわゆる寒がりのことで、寒気があるが暖をとれば寛解するものである。陽虚(虚寒証)などでみられる。

4.× 濇脈(渋脈)は、血瘀でみられ、脈の流れが悪く、ざらざらとして渋滞したようなものである。

 

 

 

 

 

118.機能性月経困難症の患者の治療でデルマトームを考慮して選穴する場合、適切でないのはどれか。

1.関元
2.脾兪
3.三焦兪
4.大腸兪

解答

解説

月経困難症とは?

月経困難症とは、月経時に多くの女性は生理痛(月経痛)をはじめとする何らかの症状を伴うが、その症状が日常生活に支障をきたすほどの状態のことをさす。月経困難症には主に2種類あげられる。①器質性月経困難症:子宮内膜症、チョコレート嚢胞、子宮腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患を伴う。30歳以降の女性に多くみられる。②機能性月経困難症:器質的疾患を伴わないものをいう。思春期~20歳台前半の発症が多い。原因として、月経の血液を排出するために子宮を収縮させる物質(プロスタグランジン)の分泌が多すぎて子宮が収縮しすぎることや、頸管(子宮の出口)が狭いことが痛みの主な原因とされている。大部分の月経困難症がこれにあたり、初経を迎えた2~3年後から起こることが多い。

1.〇 関元(※読み:かんげん)は、下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸に位置する。

2.〇 脾兪(※読み:ひゆ)は、上背部、第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

3.〇 三焦兪(※読み:さんしょうゆ)は、腰部、第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

4.× 大腸兪は、機能性月経困難症の患者の治療でデルマトームを考慮して選穴する場合、適切でない。
・大腸兪(※読み:だいちょうゆ)は、腰部、第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

 

 

 

 

 

119.異常歩行とその原因となる筋に対する局所治療穴との組合せで正しいのはどれか。

1.鶏歩:三陰交
2.はさみ脚歩行:陽陵泉
3.分回し歩行:足三里
4.トレンデレンブルグ歩行:居髎

解答

解説
1.× 鶏歩は、「三陰交」ではなく足三里である。
・下垂足(鶏歩)は、腓骨神経麻痺などで足関節が背屈不能になり、下垂足が生じるためにみられる。鶏歩の特徴として、垂れ足 (drop foot)になっているために下肢を高く上げ、つま先から投げ出すように歩く。
・三陰交(※読み:さんいんこう)は、下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸に位置する。後脛骨筋や長指伸筋の治療穴である。

2.× はさみ脚歩行は、「陽陵泉」ではない。なぜなら、はさみ脚歩行は、特定の筋が問題というわけではないため。
・はさみ脚歩行とは、両足をはさみのように組み合わせて歩く痙性対麻痺歩行のことをいう。要因として、痙直型両麻痺児などでみられる。
・陽陵泉(※読み:ようりょうせん)は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部に位置する。長腓骨筋の治療穴である。

3.× 分回し歩行は、「足三里」ではない。なぜなら、分回し歩行は、特定の筋が問題というわけではないため。
・分回し歩行は、錐体路障害や上位運動ニューロン障害で生じる。
・足三里(※読み:あしさんり)は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。前脛骨筋の治療穴である。

4.〇 正しい。トレンデレンブルグ歩行:居髎
・動揺歩行(トレンデレンブルグ歩行やアヒル歩行)は、肢帯筋の筋力低下中殿筋の筋力低下やDuchenne型筋ジストロフィー)で起こる。
・居髎(※読み:きょりょう)は、殿部、上前腸骨棘と大転子頂点の中点に位置する。大腿筋膜張筋、中殿筋の治療穴である。

 

 

 

 

 

120.末梢神経麻痺と罹患筋への低周波鍼通電療法で用いる経穴との組合せで正しいのはどれか。

1.筋皮神経麻痺:外関・陽池
2.橈骨神経麻痺:曲池・合谷
3.正中神経麻痺:支正・小海
4.尺骨神経麻痺:郄門・内関

解答

解説
1.× 外関・陽池は、「筋皮神経麻痺」ではなく橈骨神経麻痺である。
・筋皮神経とは、頚から出た腕神経の束から枝分かれした神経である。主に、上腕二頭筋と前腕外側の感覚を司る。
・外関(※読み:がいかん)は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横敏の上方2寸に位置する。
・陽池(※読み:ようち)は、手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上に位置する。

2.〇 正しい。橈骨神経麻痺:曲池・合谷
・曲池(※読み:きょくち)は、肘外側、尺沢と上腕骨外側上顆を結ぶ線上の中点に位置する。
・合谷(※読み:ごうこく)は、手背、第2中手骨中点の橈側に位置する。
橈骨神経麻痺は、下垂手がみられる。手関節・手指の伸筋群と、長母指外転筋・短母指伸筋の麻痺により、手関節背屈、示指から小指のMP関節伸展、母指伸展・外転が困難となる。

3.× 支正・小海は、「正中神経麻痺」ではなく尺骨神経麻痺である。
・支正(※読み:しせい)は、前腕後内側、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。
・小海(※読み:しょうかい)は、肘後内側、肘頭と上腕骨内側上顆の間の陥凹部に位置する。
正中神経麻痺とは、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる麻痺である。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。

4.× 郄門・内関は、「尺骨神経麻痺」ではなく正中神経麻痺である。
・郄門(※読み:げきもん)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸に位置する。
・内関(※読み:ないかん)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸に位置する。
尺骨神経麻痺とは、尺骨神経損傷により手掌・背の尺側に感覚障害やFroment徴候陽性、鷲手がみられる麻痺である。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。ちなみに、Phalenテスト(ファレンテスト)は、手根管症候群の診断に用いられ、正中神経障害によって陽性となる。

鍼通電装置とは?

特殊鍼法である鍼通電は、鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的である。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。また、通電装置の出力に影響を及ぼすため、通電装置と超短波治療器あるいはマイクロ波治療器を近接して使用すべきではない。20号鍼(3番鍼)以上の太さが推奨される。病的共同運動には高Hz(100HZ)で行うとよい。

 

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