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71.疾患と検査結果との組合せで適切なのはどれか。
1.関節リウマチ:CRP値上昇
2.悪性リンパ腫:フィラデルフィア染色体陽性
3.全身性硬化症:HLA-B51陽性
4.悪性貧血:ビタミンB6欠乏
解答1
解説
1.〇 正しい。関節リウマチ:CRP値上昇
・関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。
・血中CRPとは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
2.× 悪性リンパ腫:フィラデルフィア染色体陽性
・悪性リンパ腫とは、血液細胞(血液中に存在する細胞)の中のリンパ球ががん化する病気である。一般的に、首や腋(わき)の下、脚の付け根などにあるリンパ節にしこりが生じる。進行した場合の症状として、発熱、体重減少、寝汗をかきやすくなるなどである。悪性リンパ腫はがん細胞の形や性質などによって70以上もの種類に分類されており、それぞれ症状や進行の仕方などの特徴が異なる。そのため、治療方針もさまざまである。治療では、放射線治療や薬物療法、造血幹細胞移植などが行われる。
・慢性骨髄性白血病の95%以上は、フィラデルフィア染色体という特殊な遺伝体が原因である。臓血管細胞に染色体転座が生じ発症する骨髄増殖性疾患である。
3.× 全身性硬化症:HLA-B51陽性
・全身性硬化症とは、強皮症ともいい、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。
・HLA-B51とは、ヒト白血球抗原(HLA)のB抗原の1つの型である。ベーチェット病に関連している。ちなみに、ベーチェット病とは、自己免疫疾患で、四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。
4.× 悪性貧血は、「ビタミンB6」ではなくビタミンB12欠乏である。
・悪性貧血とは、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって生じる巨赤芽球性貧血の中である。最も発生頻度が高いビタミンB12欠乏性の貧血が悪性貧血である。ビタミンB12は胃液中の内因子との結合によって小腸下部で吸収され、葉酸とともに骨髄内での赤血球生成に利用される。悪性貧血は、高度の萎縮性胃炎による内因子分泌の欠乏が一次的原因である。その結果、回腸末端部からのビタミンB12の吸収障害をおこす。欠乏症状として①動悸、②めまい、③耳鳴り、④全身倦怠感、⑤舌炎、⑥悪心、⑦嘔吐、⑧下痢、⑨神経症状として四肢の知覚異常、⑩歩行困難、⑪視力障害などがおこる。時には興奮,軽い意識混濁などの精神障害をきたすこともある。
・ビタミンB6欠乏は、末梢神経障害やヘモグロビン合成障害、脂漏性皮膚炎に関連する。
72.鉄欠乏性貧血について正しい記述はどれか。
1.男性に多くみられる。
2.ハンター舌炎がみられる。
3.フェリチンが減少する。
4.総鉄結合能が減少する。
解答3
解説
鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
1.× 「男性」ではなく女性に多くみられる。なぜなら、主な原因は、月経、妊娠・授乳による鉄の喪失、消化管出血などであるため。
2.× ハンター舌炎がみられるのは、「ビタミンB12欠乏(巨赤芽球性貧血)」である。巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。また、ビタミンB12欠乏症において、手足のしびれ、思考力の低下、性格変化などの神経症状もみられる。
3.〇 正しい。フェリチンが減少する。血清フェリチンは、体内の貯蔵鉄量を最も敏感に反映する指標である。鉄欠乏性貧血と診断として、血清フェリチン値が12ng/mL未満、ヘモグロビン値が12g/dL未満、総鉄結合能が360μg/dL以上があげられる。
4.× 総鉄結合能は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、鉄不足を補うため。総鉄結合能とは、血液中のトランスフェリンがどれだけ鉄を結合できるかを示す。
73.慢性腎不全でみられるのはどれか。
1.多血症
2.血清尿素窒素低値
3.低リン血症
4.高血圧症
解答4
解説
慢性腎不全(慢性腎臓病とも)は、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
慢性腎不全(CKD)に対する治療は、①生活習慣の改善、②食事療法が重要である。
①生活習慣の改善:禁煙・大量飲酒の回避・定期的な運動・ワクチン接種による感染症の予防・癌スクリーニングなど。
②食事療法:十分なエネルギー摂取量を確保しつつ、蛋白質・塩分・リンの制限。
1.× 多血症ではなく貧血が起きる。なぜなら、腎臓でのエリスロポエチン産生の低下(腎性貧血)が起こるため。腎性貧血とは、腎臓病が原因で起こる貧血のことである。主にエリスロポエチンの欠乏または、エリスロポエチンに対する反応性の低下より、赤血球を産生能力が低下する。
・多血症とは、血液の中の赤血球やヘモグロビンの量が基準値よりも多くなる病気のことをいう。多血症には、①肥満、高血圧、緊張によるストレス多血症、②アルコール多飲や脱水による循環血症量の減少による相対的多血症、③喫煙や肺疾患による低酸素血症による多血症、④JAK2遺伝子の後天的変異による真性多血症や造血ホルモン産生腫瘍による2次性多血症があげられる。
2.× 血清尿素窒素は、「低値」ではなく上昇する。なぜなら、腎機能が低下するため。尿素窒素とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことで、蛋白質が利用された後にできる残りかすである。通常は、腎臓で濾過されて尿中へ排出されるが、腎臓の機能低下で、ろ過しきれない分が血液のなかに残る。つまり、尿素窒素の数値が高くなるほど、腎臓の機能が低下していることを表している。腎臓の機能を見る場合には、この尿素窒素の値だけでなく、尿に蛋白が出ているかどうかの検査の結果も合わせて判断する。両方に異常が見られる場合は要注意である。
3.× 「低」ではなく高リン血症が起こる。なぜなら、腎機能低下により、腎臓でのリンの排泄が障害されるため。ちなみに、高リン血症とは,血清リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回った状態である。原因には,慢性腎臓病,副甲状腺機能低下症,代謝性または呼吸性のアシドーシスがある。臨床的特徴は随伴する低カルシウム血症によるものと考えられ,テタニーが含まれる。診断は血清リン濃度の測定による。治療には,リンの摂取制限,および炭酸カルシウムなどのリン酸結合性制酸薬の投与がある(※引用:「高リン血症」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)。
4.〇 正しい。高血圧症は、慢性腎不全でみられる。なぜなら、腎機能低下により、動脈硬化や水分と塩分の貯留が生じるため。
74.大動脈弁狭窄症でみられるのはどれか。
1.収縮中期のクリック音
2.オープニングスナップ
3.遅脈
4.大脈
解答3
解説
大動脈弁狭窄症とは、心臓の左心室と大動脈を隔てている弁の動きが悪くなり、全身に血液を送り出しにくくなる状態になる疾患である。近年、原因は加齢や動脈硬化が原因である割合が増えてきている。
1.× 収縮中期のクリック音は、僧帽弁逸脱症でみられる。僧帽弁逸脱症とは、左心室が収縮するときに僧帽弁の弁尖が左心房内に突き出る病気である。
2.× オープニングスナップは、僧帽弁狭窄症でみられる。オープニングスナップは、僧帽弁開放音のことである。僧帽弁狭窄症とは、僧帽弁の開口部が狭くなり、左心房から左心室への血流が妨害(閉塞)されている状態である。
3.〇 正しい。遅脈は、大動脈弁狭窄症でみられる。なぜなら、狭窄により心拍出量が制限されるため。したがって、脈拍が弱く、遅れる(立ち上がりが遅い)ように感じられる。ちなみに、遅脈とは、緩やかに立ち上がる脈波である。
4.× 大脈は、大動脈弁閉鎖不全症でみられる。なぜなら、血液が逆流するため。大脈とは、収縮期に拍出量が増加し、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が大きいことをいう。ちなみに、大動脈弁閉鎖不全症とは、心臓の出口である大動脈弁の閉まりが悪くなり、心臓から大動脈に押し出された血液が再び心臓内に逆流する病気である。
75.ビタミンB2欠乏による症状はどれか。
1.皮膚炎
2.精神障害
3.神経炎
4.貧血
解答1
解説
1.〇 正しい。皮膚炎は、ビタミンB2欠乏による症状である。ビタミンB2は水溶性のビタミンで、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わる酸化還元酵素の補酵素として働く。欠乏すると、皮膚炎や粘膜障害がよく見られる。例えば、口角炎、舌炎、口唇炎などである。
2~3.× 精神障害/神経炎は、主にビタミンB1欠乏(チアミン欠乏)でみられる。ビタミンB1欠乏は、乳児脚気やWernicke脳症(成人)である。脚気とは、炭水化物の代謝に関わる大切な栄養素(ビタミンB1)が不足するし、末梢神経障害や心不全、全身の倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみなどの症状が出る病気である。ちなみに、18トリソミー(エドワーズ症候群)とは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種である。通常は知的障害と出生時低身長のほか、重度の小頭症、心奇形、後頭部突出、変形を伴う耳介低位、やつれたような特徴的顔貌などの様々な先天奇形で構成される。
4.× 貧血(巨赤芽球性貧血)は、ビタミンB12や葉酸の欠乏でみられる。巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。また、ビタミンB12欠乏症において、手足のしびれ、思考力の低下、性格変化などの神経症状もみられる。