第20回(H24年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後116~120】

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116.脾経の合水穴の取穴部位はどれか。

1.肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さ。
2.膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端。
3.下腿内側、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部。
4.膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上。

解答

解説
1.× 肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さ。
これは、少海である。少海は、心経の合水穴である。

2.× 膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端。
これは、曲泉である。曲泉は、肝経の合水穴である。

3.〇 正しい。下腿内側、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部
これは、陰陵泉である。陰陵泉は、脾経の合水穴である。

4.× 膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上。
これは、陰谷である。陰谷は、腎経の合水穴である。

 

 

 

 

 

117.八会穴のうち取穴部位が最も高い位置にあるのはどれか。

1.血会
2.髄会
3.気会
4.骨会

解答

解説

八会穴

腑会-中脘【任】、血会-膈兪【膀】、臟会-章門【肝】、骨会-大杼【膀】、筋会-陽陵泉【胆】、脈会-太淵【肺】、髄会-懸鍾【胆】、気会-膻中【任】

1.× 血会は、膈兪である。膈兪は、上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

2.× 髄会は、懸鍾である。懸鍾は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方3寸に位置する。跗陽(膀胱経)の前方に位置する。

3.× 気会は、膻中である。膻中は、前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さに位置する。

4.〇 正しい。骨会は、八会穴のうち取穴部位が最も高い位置にある。骨会は、大杼である。大杼は、上背部、第1胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

 

 

 

 

 

118.中風七穴と脚気八処の穴に共通する経穴はどれか。

1.百会
2.曲池
3.足三里
4.上巨虚

解答

解説

MEMO

中風七穴
第1説は、百会【督】、肩井【胆】、足三里【胃】、曲池【大】、曲鬢【胆】、風市【胆】、懸鍾【胆】が含まれる。
第2説は、百会【督】、肩井【胆】、足三里【胃】、曲池【大】、風池【胆】、大椎【督】、間使【包】

脚気八処の穴は、風市【胆】、伏兎【胃】、外膝眼【奇】、犢鼻【胃】、足三里【胃】、上巨虚【胃】、下巨虚【胃】、懸鍾【胆】

1.× 百会は、中風七穴のみである。百会は、頭部、前正中線上、前髪際の後方5寸に位置する。

2.× 曲池は、中風七穴のみである。曲池は、肘外側、尺沢と上腕骨外側上顆を結ぶ線上の中点に位置する。

3.〇 正しい。足三里は、中風七穴と脚気八処の穴に共通する経穴である。足三里は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。

4.× 上巨虚は、脚気八処の穴のみである。上巨虚は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸に位置する。

 

 

 

 

 

119.次の文で示す患者の病証に対する治療で、改善が期待されるのはどれか。
 「32歳の女性。主訴は肩こり。触診では肋骨弓下縁に張りがあり、指を入れると痛む。また、イライラしやすく、月経不順もみられる。脈は弦。舌質は暗紅。」

1.統血作用
2.疏泄作用
3.宣発作用
4.蔵精作用

解答

解説

本症例のポイント

・32歳の女性(主訴:肩こり)。
・触診:肋骨弓下縁に張りがあり、指を入れると痛む
・イライラしやすく、月経不順もみられる。
・脈は弦。舌質は暗紅。
→本症例は、胸脇苦満が疑われる。胸脇苦満とは、季肋下部に苦満感、圧痛などがあるもの。肝・胆の病変に多い。

1.× 統血作用は、脾の生理である。統血作用低下で、内出血、月経周期が短くなるなどがみられる。ちなみに、統血は、血が脈中から漏れ出るのを防ぐ(気の固摂作用)をもつ。

2.〇 正しい。疏泄作用は、この患者の病証に対する治療で、改善が期待される。疏泄作用は、肝の生理である。肝の生理は、①疏泄(情志・気機・月経の調節、脾胃の補助、②蔵血(血の貯蔵、血液量の貯節)である。また、特性は、①昇発(上昇·発散)②条達(隅々まで行き渡らせる)である。ちなみに、胆の生理として、疏泄精汁(小腸に胆汁を分泌して消化を助ける)などである。

3.× 宣発作用は、の生理である。肺の生理は、①宣粛(宣発(宣布・発散)、粛降(清肅・下降。通調水道、水の上源))、②主気(呼吸を主る(治節)、一身の気を主る)肺は百脈を朝ず。また、特性は①華蓋(外邪の侵襲を防ぐ)、②嬌臓(機能が失調しやすい)である。

4.× 蔵精作用は、の生理である。腎の生理は、①蔵精(精を貯蔵し、生命活動を調節する)、②主水(水を主り、水液代謝を調節する)、③納気(吸気を補助し、呼吸のバランスを保つ)。また、特性は、①封蔵(漏れ出るのを防ぐ)、②陰陽の根本(気・血・精・津液の化生に関わり、供給・補充する)である。

 

 

 

 

 

120.次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
 「35歳の男性。夏バテしたためか、ここ数日食欲がない。空腹感や口渇感はあるが、実際に食べようとする時に食が進まない。腹痛や悪心はないが唇が乾燥している。舌質は紅、舌苔は少、脈は細数。」

1.胃陰を補う。
2.腎陰を補う。
3.痰濁を除く。
4.気滞を除く。

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の男性。
・夏バテしたためか、ここ数日食欲がない
空腹感や口渇感はあるが、実際に食べようとする時に食が進まない。
・腹痛や悪心はないが唇が乾燥している。
・舌質は紅、舌苔は少、脈は細数。
→本症例は、胃陰虚が疑われる。胃陰虚は、食少、乾嘔、舌質紅絳、舌苔無などがあげられる。また、陰虚・内熱・気逆なども。陰虚に対し、陰を補う必要がある。

1.〇 正しい。胃陰を補う。なぜなら、本症例は、胃陰虚が疑われるため。

2.× 腎陰を補う。
これは、腎陰虚に対して行う。ちなみに、腎陰虚は、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などがあげられる。

3.× 痰濁を除く。
これは、痰濁(メニエール病など)に対して行う。痰濁とは、水と脂質の代謝障害によって体内に生じた病理産物で、体液の停滞を指す。

4.× 気滞を除く。
これは、肝鬱気滞や肝火上炎などに対して行う。肝の不調(肝鬱気滞)には、肝気を疏通させ、気滞を除く必要がある。

メニエール病とは?

メニエール病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

 

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