第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午前1~5】

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問題1 インフォームド・コンセントを示すのはどれか。

1.誓いと義務
2.個人と守秘
3.保護と権利
4.説明と同意

解答

解説

インフォームド・コンセントとは?

インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

1.× 誓いと義務は、主に医療従事者が負うべき倫理的責任や職務上の務めを指す。

2.× 個人と守秘は、患者さんのプライバシーや尊厳を守るための重要な医療倫理の原則である。

3.× 保護と権利は、自己決定権を行使するための手段の一つである。

4.〇 正しい。説明と同意は、インフォームド・コンセントを示す。
・インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

 

 

 

 

 

問題2 人為的なインシデントでないのはどれか。

1.欠陥
2.錯覚
3.遵守
4.不足

解答

解説

インシデントとは?

インシデントとは、適切な対処がなされなかった場合に事故となる可能性を含んだ事象を示し、ヒヤリ・ハットともいう。インシデントは当事者だけでなく「皆でなぜ起こったのか?」などを共有し話し合うことで、同じインシデントの防止のための対策を立てることができる。インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できる。

1.〇 欠陥は、人為的なインシデントの原因となりうる要素である。例えば、医療機器の操作における手順の「欠陥」や、記録の記載漏れなどの「欠陥」は、人間の不注意や知識不足といった人為的な要因によって生じやすく、その結果としてインシデントにつながる可能性がある。

2.〇 錯覚は、人為的なインシデントの原因となりうる要素である。例えば、名前が似ている患者さんを別の患者さんと「錯覚」して誤った医療行為を行ってしまう、見た目が似ている薬剤を「錯覚」して取り間違えてしまうといったケースが挙げられる。
・「錯覚」とは、人間の認知機能の限界や思い込みによって生じる誤りである。

3.× 遵守は、人為的なインシデントでない。なぜなら、遵守により、人為的なミスやエラーを未然に防ぎ、医療の安全性を確保することができるため。したがって、インシデントを防ぐための、安全に向けた前向きな行動である。
・「遵守」とは、定められた規則、手順、プロトコルなどを正しく守る行為である。

4.〇 不足は、人為的なインシデントの原因となりうる要素である。例えば、新しい薬剤に関する知識が「不足」していたために、誤った方法で投与してしまう、患者さんからの重要な情報の聞き取りが「不足」していたために、禁忌薬を投与してしまうといったケースが考えられる。

 

 

 

 

 

問題3 定型的鎖骨骨折で正しいのはどれか。

1.転位は軽度なことが多い。
2.皮下出血斑は生じにくい。
3.直達外力による発生が多い。
4.肩関節運動で疼痛が強くなる。

解答

解説

定型的鎖骨骨折とは?

定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。

1.× 転位は、「軽度」ではなく重度なことが多い。なぜなら、定型的鎖骨骨折では、鎖骨に付着する筋に引っ張られたり、腕の重みで下にずれたりするため。

2.× 皮下出血斑は、「生じにくい」ではなく生じやすい。なぜなら、鎖骨の周りには、血管が多く通っており、骨折する際にこれらの血管が損傷されるため。

3.× 「直達外力」ではなく介達外力による発生が多い。なぜなら、スキーや自転車で転倒して肩や手を地面について骨折するケースが多いため。
・介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。

4.〇 正しい。肩関節運動で疼痛が強くなる。なぜなら、鎖骨が骨折すると、肩関節を動かそうとするたびに、骨折した部分が刺激されたり、周囲の筋肉が引っ張られたりするため。ちなみに、鎖骨に三角筋(肩関節外転)、大胸筋(肩甲骨屈曲)、僧帽筋が付着する。

 

 

 

 

 

問題4 定型的鎖骨骨折の坐位整復法で第1助手が行う肩部の牽引方向はどれか。

1.前上方
2.上内方
3.後外方
4.後下方

解答

解説

定型的鎖骨骨折とは?

定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。

【坐位整復法】
・患者:坐位または椅子に腰かけさせる(肘関節90度屈曲位)。
第1助手:患者の後方に位置して背柱部に膝頭を当てがい両脇に手を入れて両肩を外後方へ引き、短縮転位を取り除く。
・第2助手:患肢の上腕および前腕を把握して上腕と肩甲骨を上外方に持ち上げて下方転位の遠位骨片を近位骨片に近づける。
・術者:術者は前方(やや患側)に位置し、骨折部を前下向へ圧迫し整復する。

1~2.4.× 前上方/上内方/後下方は、第1助手が行う肩部の牽引方向とはいえない(※上参照)。

3.〇 正しい。後外方に、定型的鎖骨骨折の坐位整復法で第1助手が行う肩部の牽引方向である。
第1助手:患者の後方に位置して背柱部に膝頭を当てがい両脇に手を入れて両肩を外後方へ引き、短縮転位を取り除く。

 

 

 

 

 

問題5 定型的鎖骨骨折の固定肢位はどれか。

1.肩甲骨下垂位
2.肩甲骨内転位
3.肩関節外旋位
4.肩関節外転位

解答

解説
1.3~4.× 肩甲骨下垂位/肩関節外旋位/肩関節外転位/は、定型的鎖骨骨折の固定肢位とはいえない。

2.〇 正しい。肩甲骨内転位は、定型的鎖骨骨折の固定肢位である。
胸を張った姿勢(肩甲骨内転位)は、鎖骨にかかる負担を減らし、骨折部を安定させることができる。

 

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