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問題86 脳幹を介するのはどれか。
1.筋性防御
2.屈曲反射
3.伸張反射
4.立ち直り反射
解答4
解説
1.× 筋性防御とは、腹部を触診した際、腹壁の筋肉が緊張して硬くなる内臓体性反射である。壁側腹膜の炎症を示唆し、腹膜炎や腹腔内出血などで見られる。筋性防御が起こる範囲によって、炎症部位を判断する。
・体性内臓反射とは、【求心路】が体性感覚神経、【遠心路】が自律神経系からそれぞれ構成される反射機構である。これは、皮膚に侵害性刺激(いわゆる痛み刺激)を加えると交感神経系の機能が亢進し、心拍数の増大、血圧の増加等が生じる反射である。
2.× 屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。
3.× 伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。
4.〇 正しい。立ち直り反射は、脳幹を介する。立ち直り反射とは、姿勢反射の一つで、姿勢を保持するときに働く機能系である。例えば、①頸の立ち直り反射や②視性立ち直り反射などがあげられる。頸筋性や視覚性のほかにも、迷路性、体性があげられる。
①頸の立ち直り反応とは、背臥位の子どもの頭を一方に向けると、頸筋群の固有感覚受容器が刺激されて、肩・体幹・腰部がその方向に丸太様に全体的に回転する。4~6 ヵ月に出現し、5歳までに消失する。
②視性立ち直り反射とは、視覚刺激の誘発により、頭部の位置を正常に保持する反射のことで、例えば座位の場合、を座らせて左右に傾けると頭を垂直にしようとする。視性の刺激が立ち直りに関与する。腹臥位:3ヵ月、座位・立位:5~6ヵ月に出現し生涯継続する。
問題87 協調した滑らかな動作や運動を学習するのに重要なのはどれか。
1.大脳辺縁系
2.大脳基底核
3.脳幹
4.脊髄
解答2
解説
(※図引用:「脳(矢状断)」illustAC様HPより)
1.× 大脳辺縁系とは、脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあげられる。
2.〇 正しい。大脳基底核は、協調した滑らかな動作や運動を学習するのに重要である。大脳基底核とは、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。小脳とともにからだの運動をスムーズにする役割がある。
3.× 脳幹とは、中枢神経系を構成する部位が集まっている器官で、中脳、橋、延髄から構成されている。この脳幹は視床下部と通信をすることで覚醒と睡眠間の移行を制御する。
4.× 脊髄とは、脳から連続する中枢神経であり、運動や感覚の伝導路として寄与する。
問題88 特殊感覚でないのはどれか。
1.嗅覚
2.視覚
3.触覚
4.聴覚
解答3
解説
体性感覚とは、①表在感覚(触覚、温度感覚、痛覚の皮膚感覚)と、②深部感覚(筋や腱、関節など)から成り、内臓感覚は含まない。皮膚感覚が皮膚表面における感覚であるのに対し、深部感覚とは、身体内部の感覚を意味する。後者は固有感覚または自己受容感覚とも呼ばれ、筋受容器からの伸縮の情報により、身体部位の位置の情報が得られる。
1.〇 嗅覚/視覚/聴覚は特殊感覚である。特殊感覚とは、顔面や頭部にある非常に繊細な器官の感覚情報で、脳神経が大脳皮質へと伝達するのが特徴である。
3.× 触覚は、体性感覚である。
問題89 視覚で正しいのはどれか。
1.黄斑部には視覚がない。
2.明順応には数十分を必要とする。
3.近視では網膜の後方で焦点を結ぶ。
4.杆体の視物質はロドプシンである。
解答4
解説
(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)
1.× 視覚がないのは、「黄斑部」ではなく視神経乳頭(視神経円板)である。視神経乳頭(視神経円板)とは、視神経が網膜を貫通する部分である。ここには視覚受容器(錐体細胞と桿体細胞)が存在しない。したがって、視神経乳頭は盲点と呼ばれることがある。
2.× 「明順応」ではなく暗順応には数十分を必要とする。視覚は、明るさに慣れていく明順応と、暗さに慣れていく暗順応がある。これを明暗順応という。明所から暗所に移動した際、暗順応により完全に見えるようになるのには、30分ほどかかる。逆に、暗所から明所に移動した際、まぶしさに慣れる明順応は数分で完了する。
3.× 近視では網膜の「後方」ではなく前方で焦点を結ぶ。近視とは、網膜の前方に焦点が結ばれるため、遠くのものがぼやけて見えることをいう。一方、遠視とは、網膜の後方に焦点が結ばれるため、近くのものがぼやけて見えることをいう。
4.〇 正しい。杆体の視物質はロドプシンである。明順応は、暗順応より速やかに行われる。つまり、明順応の方が速く行われる。明順応では杆体細胞のロドプシンが分解され、暗順応では合成される。ロドプシンは合成の方が分解に比べて長い時間を要する。
・錐体細胞とは、色覚に関与し、黄斑に集中している。
・杆体細胞とは、明るさに関与し、網膜全体に分布している。
問題90 ステロイドホルモンに分類されるのはどれか。
1.アドレナリン
2.アンドロゲン
3.サイロキシン
4.バゾプレッシン
解答2
解説
ホルモンとは、①ペプチドホルモン、②ステロイドホルモン、③アミン・アミノホルモン、④糖タンパクホルモン、⑤その他の5つ分類される。①ペプチドホルモンは、成長ホルモン・インスリンなど大部分のホルモンが含まれる。②ステロイドホルモンは、副腎皮質ホルモンの他に性腺ホルモンも含まれる。コレステロールを原料として作られたステロイド骨格を盛るホルモンである。③アミン・アミノホルモンは、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモンがある。
1.× アドレナリンは、アミン・アミノホルモンに分類される。
・アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎髄質で合成・分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。
2.〇 正しい。アンドロゲンは、ステロイドホルモンに分類される。
・アンドロゲンとは、ステロイドの一種で、生体内で働いているステロイドホルモンのひとつである。アンドロゲンにはテストステロンとジヒドロテストステロン (dihydrotestosterone;DHT)があり、精巣の分化、機能、組織形成、さらに内性器・外性器の形成に重要な役割を果たす。
3.× サイロキシンは、アミン・アミノホルモンに分類される。
・サイロキシンとは、甲状腺ホルモンのひとつである。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。
4.× バゾプレッシンは、ペプチドホルモンに分類される。
・バゾプレッシンとは、下垂体後葉から分泌される水溶性ホルモンで、役割として、抗利尿作用がある。バソプレッシンは、集合管の受容体に作用し、水の透過性を亢進する。水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。