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問題66 大腿骨顆部骨壊死で正しいのはどれか。
1.若年男性に多い。
2.外側に発症することが多い。
3.関節裂隙に石灰化がみられる。
4.突然の強い痛みで発症することが多い。
解答4
解説
大腿骨内顆骨壊死とは、大腿骨の内側の一部(内顆)に、血液が届かなくなり骨に壊死がみられる病気である。特に60歳以上の女性に多く、突然膝の内側に激しい痛みが生じる。原因は不明なことが多いが、ステロイド使用や外傷、半月板損傷などが関連することもある。進行すると変形性膝関節症へ移行し、歩行が困難になることもある。
1.× 「若年男性」ではなく高齢女性(特に60歳以降)に多い。原因は不明なことが多いが、ステロイド使用や外傷、半月板損傷などが関連することもある。
2.× 「外側」ではなく内側に発症することが多い。なぜなら、大腿骨の内顆は、外側より体重がかかる際の負荷が大きいため。
3.× 関節裂隙に、「石灰化」ではなく狭小化がみられる。なぜなら、進行すると変形性膝関節症へ移行するため。
・関節裂隙の石灰化は、主に偽痛風にみられる。偽痛風とは、関節軟骨や周囲組織にピロリン酸カルシウム二水和物が沈着することで起こる関節炎の総称である。
4.〇 正しい。突然の強い痛みで発症することが多い。なぜなら、骨壊死巣の形成に伴う骨髄内の圧上昇や微細骨折などが原因だと考えられるため。特に、歩行時や体重がかかる際に痛みが強くなることが多い。
問題67 76歳の女性。重い段ボールを持ったあとから右示指が屈曲しにくいことを主訴に来院した。手指屈曲時の写真を下に示す。
考えられるのはどれか。
1.側索損傷
2.伸筋腱損傷
3.浅指屈筋腱損傷
4.深指屈筋腱損傷
解答4
解説
・76歳の女性。
・主訴:重い段ボールを持ったあとから右示指が屈曲しにくい。
・手指屈曲時の写真:示指のDIP関節の屈曲が不能。
1.× 側索損傷より考えられるものが他にある。本症例は、示指のDIP関節の屈曲が不能である。
・指における側索とは、DIP関節伸展に寄与する腱のことである。
2.× 伸筋腱損傷より考えられるものが他にある。本症例は、示指のDIP関節の屈曲が不能である。
・伸筋腱は指を伸ばす(伸展させる)役割を担っている。
3.× 浅指屈筋腱損傷より考えられるものが他にある。本症例は、示指のDIP関節の屈曲が不能である。
・浅指屈筋の【起始】上腕尺骨頭:上腕骨内側上顆・尺骨粗面の内側、橈骨頭:橈骨の上部前面【停止】第2~第5中節骨底である、【作用】第2~5指の中手指節関節と近位指節間関節の屈曲、【神経】正中神経:C7~T1である。
4.〇 正しい。深指屈筋腱損傷が考えられる。本症例は、示指のDIP関節の屈曲が不能である。深指屈筋の【起始】尺骨の内側面と前面、前腕骨間膜の一部、【停止】第2~5指末節骨底、【作用】第2~5指の両指節間関節の屈曲、【神経】橈側部は正中神経、尺骨部は尺骨神経である。
問題68 患者への説明と同意で正しいのはどれか。
1.対話によって行う。
2.観血療法は説明しない。
3.日常生活上の指導はしない。
4.認知機能の低下が著しい高齢者には理解できるまで説明する。
解答1
解説
インフォームド・コンセントは、各国の法律や規則の規制を受けるため義務として実施しているが、それに対してインフォームド・アセントは、法規制上の義務が無いにも関わらず、自発的に医師及び治験スタッフが患者に対して治療に関する説明及び同意取得を行うことをいう。
1.〇 正しい。対話によって行う。なぜなら、一方的な説明や説得は、患者の疑問や不安を抱かせかねないため。
・インフォームド・コンセント(説明と同意)は、医療従事者が患者に対し、疾患の状態、診断、治療法(メリット、デメリット、代替案など)、予後に関する十分な情報を提供し、患者がその情報を理解した上で、自らの意思で治療法を選択し同意するプロセスを指す。これは
2.× 観血療法「は説明しない」のではなく説明が必要である。なぜなら、観血療法は、患者の身体に直接的な侵襲を加える治療法であり、合併症やリスクが伴う可能性があるため。物理療法も運動療法なども含め、治療は詳細かつ分かりやすく説明し、患者の質問にも答える必要がある。
3.× 日常生活上の指導はする。なぜなら、治療の効果を最大限に引き出し、再発予防や症状の悪化を防ぐため。したがって、患者が日常生活で注意すべき点や、自己管理の方法を理解することが不可欠である。
4.× 必ずしも、認知機能の低下が著しい高齢者には、「理解できるまで」説明する必要はない。なぜなら、「理解できるまで」というのは、あいまいな基準であるため。また、患者本人に過度な負担をかけたり、現実的でない場合がある。したがって、理解度に応じた配慮や、家族・代理人との連携が必要である。
問題69 骨折の修復過程で反応強度が最も強いのはどれか。
1.炎症期
2.仮骨形成期
3.仮骨硬化期
4.リモデリング期
解答1
解説
骨折の治癒過程において、「①炎症期→②仮骨形成期→③仮骨硬化期→④リモデリング期」となる。
①炎症期:骨折後2〜3日で活動のピークを迎える。骨折した人が経験する初期の痛みのほとんどがこの炎症によるものである。
②仮骨形成期:骨折後1週間が過ぎると骨芽細胞が活動し、1週間目から14週目ぐらいに仮骨が形成する時期である。仮骨とは、骨折した場合に折れたり欠損したりした骨の代わりに、新たにできる不完全な骨組織のことである。
③仮骨硬化期:8週間目から36週間目ぐらいにあたる。
④リモデリング期:硬化仮骨が患部の機能とともに回復に、本体の骨に吸収、添加作用していく時期である。これが20週目から52週目ぐらいにあたる。
1.〇 正しい。炎症期は、骨折の修復過程で反応強度が最も強い。
・骨折の修復過程における「反応強度」とは、骨が損傷に対してどれだけ速く・強く修復反応を起こすかを示す指標である。骨折後、炎症、細胞増殖、骨形成といった段階を経て治癒が進むが、反応強度が高いほどこれらの反応が活発に行われ、早期の回復が期待される。
2~4.× 仮骨形成期/仮骨硬化期/リモデリング期より反応強度が強い時期が他にある(※それぞれの時期の詳細は上参照)。
問題70 関節軟骨損傷で正しいのはどれか。
1.初期の段階で病態を把握しやすい。
2.直達外力による損傷が多い。
3.自己修復能が乏しい。
4.関節血症がみられる。
解答3
解説
・関節軟骨とは、関節の相対する骨端の表面にある厚さ2~4 mmの組織(硝子軟骨)で、血管、神経、リンパ管に乏しいという組織学的特徴がある。つまり、関節軟骨は、関節の動きによって栄養素や酸素が適切に供給される。
関節軟骨損傷とは、関節軟骨がすり減ったり、裂けたりする状態である。血流が少ないため一度損傷すると自然治癒しにくい特徴がある。進行すると痛みや腫れ、関節の動かしにくさを引き起こし、放置すると変形性関節症につながることもある。
1.× 必ずしも、初期の段階で病態を把握しやすい「とはいえない」。なぜなら、関節軟骨には血管や神経がないため。損傷しても初期には明確な痛みや腫れなどの症状が出にくい傾向がある。また、X線検査では軟骨自体が写らないため、初期の軟骨損傷を見つけることは困難である。
2.× 「直達外力」ではなく長期的な機械的刺激による損傷が多い。つまり、捻挫や繰り返しの負荷など、間接的な外力による損傷が多い。これは、関節軟骨が、衝撃を吸収し、関節の動きを滑らかにする役割を担っているためである。
3.〇 正しい。自己修復能が乏しい。なぜなら、関節軟骨には血管や神経がないため。したがって、損傷しても必要な栄養供給や修復細胞の動員が困難である。
4.× 必ずしも、関節血症がみられるとはいえない。なぜなら、関節軟骨には血管や神経がないため。関節血症がみられるのは、骨折、靭帯損傷、半月板損傷など、血管がある組織が損傷した場合である。
膝関節血症とは、関節を構成する骨、靱帯、半月板などからの出血のことをさす。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。この靱帯が損傷すると、膝関節内に血が溜まり、膝関節内血症(関節内血腫)、激しい痛み、腫れを伴う。