第23回(H27年)柔道整復師国家試験 解説【午前111~115】

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問題111.母子保健の指標で正しいのはどれか。

1.生後半年以内の死亡を乳児死亡という。
2.妊娠満12週以後の死児の出産を死産という。
3.妊娠20週以後の死産と早期新生児死亡を合わせたものを周産期死亡という。
4.母親が妊娠中あるいは出産後8週未満に死亡した場合を妊産婦死亡という。

解答

解説
1.× 「生後半年」ではなく生後1年以内の死亡を乳児死亡という。
・乳児死亡とは、生後1年未満の死亡のことをさす。新生児死亡とは、生後4週(28日)未満の死亡のことをさす。早期新生児死亡とは、生後1週(7日)未満の死亡のことをさす(※用語参照:「厚生労働統計に用いる主な比率及び用語の解説」厚生労働省HPより)。

2.〇 正しい。妊娠満12週以後の死児の出産を死産という
・死産とは、「妊娠4か月(妊娠12週)以後における死児の出産」である。

3.× 「妊娠20週以後」ではなく妊娠満 22週(154日)以後の死産と早期新生児死亡を合わせたものを周産期死亡という。
・周産期死亡とは、妊娠満 22週(154日)以後の死産と新生児死亡数(生後1週未満の早期新生児死亡)を合わせたものである。

4.× 母親が妊娠中あるいは出産後「8週未満」ではなく6週(満42日)未満に死亡した場合を妊産婦死亡という。
・妊産婦死亡とは、妊娠中又は妊娠終了後「満42日未満」の女性の死亡をいう。

 

 

 

 

 

問題112.学校保健安全法における風疹の出席停止期間の基準はどれか。

1.発疹が消失するまで
2.解熱した後3日を経過するまで
3.すべての発疹が痂皮化するまで
4.耳下腺の腫脹が消失するまで

解答

解説

学校保健安全法とは?

学校保健安全法は、主に①学校保健、②学校安全の体制、③健康診断などを定めている。

1.〇 正しい。「発疹が消失するまで」が学校保健安全法(第19条2項)における風疹の出席停止期間の基準である。
・第十九条(出席停止の期間の基準)において、「風しんにあつては、発しんが消失するまで」と記載されている(※引用:「学校保健安全法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)。

2.× 「解熱した後3日を経過するまで」と記載されているのは、麻しんである。

3.× 「すべての発疹が痂皮化するまで」と記載されているのは、水痘である。

4.× 「耳下腺の腫脹が消失するまで」と記載されているのは、流行性耳下腺炎である。

詳しく知りたい方はこちら(※参考:「学校保健安全法施行規則」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

問題113.局所振動障害を起こす作業はどれか。

1.チェーンソーを用いる作業
2.高温作業
3.VDT作業
4.潜函作業

解答

解説
1.〇 正しい。チェーンソーを用いる作業は、局所振動障害を起こす作業である。
・振動障害とは、チェーンソー、グラインダー、刈払機などの振動工具の使用により発生する①手指等の末梢循環障害、②末梢神経障害、③運動器(骨、関節系)障害の3つの障害の総称である。

2.× 高温作業は、熱中症、脱水などの発症に関連する。

3.× VDT作業(パソコン業務など)は、眼精疲労・頸肩腕症候群などの発症に関連する(※詳しくは下参照)。

4.× 潜函作業は、減圧症の発症に関連する。
・潜函病とは、スキューバダイビングや潜水作業等に関連して生じる圧力の変動によって引き起こされる健康被害のことを指す。急性減圧症候群や潜水病などとも呼ばれる。発症初期には潜水中に息切れを感じる。重篤化すると、呼吸困難や血圧の低下などを認める。

VDT作業とは?

VDT作業とは、ディスプレイを持つ画面表示装置(VDT:Visual Display Terminals) を用いた作業のこと。コンピュータや監視カメラを用いた作業を指す。 VDT作業はVDT症候群のように、心身の負担を感じさせることにつながるため、厚生労働省においても「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」を定めている。

【作業環境管理】
(1)照明及び採光
①室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。
②ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。
③ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

(2)一連続作業時間及び作業休止時間
一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること。

(3)その他
換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等について事務所
衛生基準規則に定める措置等を講じること。

(※一部引用:「VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドライン」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題114.精神保健で誤っているのはどれか。

1.入院受療率は悪性新生物より精神障害が高い。
2.緊急措置入院は保護者の同意を必要とする。
3.半数以上の労働者が職場生活において強い不安やストレスを感じている。
4.デイケア、リワークなどが三次予防として行われる。

解答

解説

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」

二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」

三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。(※健康日本21において)

1.〇 正しい。入院受療率は、悪性新生物より精神障害が高い。なぜなら、精神疾患は長期入院となるケースが多く、悪性新生物は外来対応が可能なことが多いため。
・入院受療率では、1位:統合失調症、2,3位同率:気分障害、認知症である。

2.× 保護者の同意を必要とするのは、「緊急措置入院」ではなく医療保護入院である(※下参照)。
・医療保護入院は、患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者
・緊急措置入院は、患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事

3.〇 正しい。半数以上の労働者が職場生活において強い不安やストレスを感じている。現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレス(以下「ストレス」という。) となっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.7%[令和4年調査82.2%]となっている。 ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみる と、「仕事の失敗、責任の発生等」が39.7%[同35.9%]と最も多く、次いで「仕事の量」が39.4%[同 36.3%]、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が29.6%[同26.2%]となっている(※引用:「仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項」厚生労働省様HPより)。

4.〇 正しい。デイケア、リワークなどが三次予防として行われる。なぜなら、デイケアやリワーク(職場復帰支援プログラム)は、精神疾患の再発防止・社会復帰促進を目的とするものであり、これは、三次予防(再発防止・社会復帰)に分類されるため。
・復職支援プログラムとは、リワークプログラムや職場復帰支援プログラムともいう。リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。

入院の形態

①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。

②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者

③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者

④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事

⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事

 

 

 

 

 

問題115.WHOの主要な業務として適切でないのはどれか。

1.母子の健康と福祉の増進
2.疾病、死因に関する国際用語表の作成および改正
3.伝染病、風土病などの撲滅事業の奨励および促進
4.労働条件の向上のための国際的な政策や計画の策定

解答

解説

WHOとは?

世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。

設置年:昭和23(1948)年
本部:ジュネーブ(スイス)
協力形態:多国間交流
事業内容:発展途上国への国際保健協力、感染症およびその他の疾病(エイズ・結核・マラリア等)の撲滅事業、国際疾病分類(ICD)の作成
備考:①WHOの構成組織である地域的機関は、6つ(アフリカ、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパ、東地中海、西太平洋)あり、日本は西太平洋に所属している。②194か国加盟 (2018年4月時点)、③たばこ規制枠組み条約:たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について規定。

(※参考:「日本とWHO」厚生労働省HPより)

1.〇 母子の健康と福祉の増進は、WHOの主要な業務である。これは、WHO憲章の第一章第一条(目的)において「世界保健機関の目的は、すべての人民が可能な最高の健康水準に到達することにある」と記載されている(※引用:「世界保健機関憲章」厚生労働省HPより)

2.〇 疾病、死因に関する国際用語表の作成および改正は、WHOの主要な業務である。なぜなら、WHOは国際疾病分類(ICD: International Classification of Diseases)を策定・改訂する責任を持つため。

3.〇 伝染病、風土病などの撲滅事業の奨励および促進は、WHOの主要な業務である。なぜなら、WHOは設立当初から感染症対策(特にマラリア、天然痘、ポリオなどの撲滅)を国際的に主導している。

4.× 「労働条件」の向上のための国際的な政策や計画の策定は、WHOの主要な業務ではない。なぜなら、ILO(国際労働機関:International Labour Organization)の役割であるため。
・国際労働機関とは、世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連の専門機関である。

 

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