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問題26.体表から触れないのはどれか。
1.肩峰
2.烏口突起
3.坐骨結節
4.小転子
解答4
解説

1.〇 肩峰は、体表から触れることができる。なぜなら、肩峰は肩甲骨の外側端に位置し、皮下直下に突出しているため。
2.〇 烏口突起は、体表から触れることができる。なぜなら、烏口突起は肩甲骨前面に突出して位置しており、皮下直下に突出しているため。
3.〇 坐骨結節は、体表から触れることができる。なぜなら、坐骨結節は、坐骨の後下方に位置しており、座位姿勢では体重を支える部位として、皮下直下に突出しているため。
4.× 小転子は、体表から触れない。なぜなら、小転子は大腿骨近位内側後方にあり、深部に位置するため。
問題27.疾患と所見との組合せで正しいのはどれか。
1.甲状腺機能亢進症:女性化乳房
2.くる病:扁平胸
3.肺気腫:樽状胸
4.マルファン(Marfan)症候群:翼状頸
解答3
解説
1.× 女性化乳房は、「甲状腺機能亢進症」ではなく肝硬変にみられる。
・肝硬変の合併症の1つに女性化乳房がある。女性化乳房とは、男性の乳腺が発達して乳房が肥大化する病気である。肝硬変では、肝機能が低下して女性ホルモンを分解できなくなるため、乳腺が発達して女性化乳房になる。ちなみに、肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。放射線性ヨウ素内用療法は、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺がんに対して行われる治療のひとつである。甲状腺機能亢進症では、放射性ヨウ素から放出されるベーター線で正常な甲状腺細胞を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善させる。
2.× くる病は、「扁平胸」ではなく鳩胸がみられる。
・くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
・鳩胸とは、鳩胸は前胸部の骨が突出した状態で、漏斗胸の5%以下の頻度でみられる。漏斗胸とは、胸板を形成する胸骨と肋軟骨の一部が、背中側の脊柱に向かって漏斗状に陥没している状態のことで、発生頻度は1000人に1人程度で、男子に多い特徴がある。
・扁平胸とは、胸部が扁平(平ら)な状態を指す。胸郭(特に、肋軟骨)の成長過程に、なんらかの異常が起こり、多くの場合、成長とともに症状が顕著になりやすい。主な原因は遺伝的要素とされているが、具体的な遺伝メカニズムは完全には理解されていない。
3.〇 正しい。肺気腫:樽状胸
・肺気腫とは、終末細気管支より末梢の気腔が、肺胞壁の破壊を伴いながら異常に拡大し、明らかな線維化は認められない病変を指す。主な原因は喫煙である。
・樽状胸とは、肺に空気がたまり続け、膨張して胸が樽のように大きくなった状態である(※読み:たるじょうきょう)。樽状胸は、慢性閉塞性肺疾患に特徴的なもので、慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
4.× 翼状頸は、「マルファン症候群」ではなくターナー症候群にみられる。
・ターナー症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみ(翼状頸)があり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。女性特有の染色体異常である。
・マルファン症候群とは、遺伝性疾患で、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。つまり、全身の結合組織がもろくなるため、大動脈癌や大動脈解離を生じやすい。
問題28.虫垂炎の圧痛点でないのはどれか。
1.ボアス点
2.ランツ点
3.ムンロー点
4.マックバーネー点
解答1
解説
1.× ボアス点は、虫垂炎の圧痛点でない。
・ボアス点とは、第12胸椎の左側の圧痛点である。この部位を指で押したときに痛みを生じる場合、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を示唆する。ちなみに、胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
2.〇 ランツ点とは、急性虫垂炎に認められ、圧迫した際に強い痛みを感じる部位(圧痛点)の一つである。 左上前腸骨棘と右上前腸骨棘を結ぶ線を3等分し、3等分したうち右から1つ目の点周辺に存在する。
3.〇 ムンロー点とは、急性虫垂炎にみられる、右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。
4.〇 マックバーネー点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。
※急性虫垂炎には、マックバーネー点、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。
問題29.複合感覚はどれか。
1.温度覚
2.位置覚
3.立体覚
4.振動覚
解答3
解説
感覚の分類は主に3つに分けられる。
①表在感覚とは、皮触覚・痛覚・温度覚である。
②深部感覚とは、関節覚(位置覚、運動覚)・振動覚・及び深部痛覚である。
③複合感覚とは、立体覚、皮膚書字感覚、二点識別覚、部位覚、重量覚などである。
1.× 温度覚は、表在感覚である。
2.× 位置覚は、深部感覚である。
3.〇 正しい。立体覚は、複合感覚である。
・立体覚とは、「目を閉じた状態で物体を触って形状や性質を識別する能力」である。
4.× 振動覚は、深部感覚である。
問題30.尺骨神経の固有感覚支配域に含まれるのはどれか。
1.母指
2.示指
3.中指
4.小指
解答4
解説
尺骨神経とは、上腕の内側から前腕の内側を通る。小指側の感覚と手指・手首の運動を支配する。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。
・鷲手とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
1.× 母指は、正中神経(掌側)・橈骨神経(背側)の支配領域である。
2.× 示指は、正中神経(掌側)・橈骨神経(背側)の支配領域である。
3.× 中指は、正中神経(掌側)・橈骨神経(背側)の支配領域である。
4.〇 正しい。小指は、尺骨神経の固有感覚支配域に含まれる。
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