第21回(H25年)柔道整復師国家試験 解説【午後81~85】

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問題81.足第1指が直角に屈曲していて他動的にも動かせないとき原因となるのはどれか。

1.足根管部の神経絞扼
2.距骨体部の後方転位
3.有痛性の外脛骨障害
4.中足骨頭の骨端症

解答

解説
1.× 足根管部の神経絞扼(脛骨神経障害)とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。坐骨神経の枝である後脛骨神経は、内くるぶしを回り、内側足底神経、外側足底神経に分かれる。内くるぶしの部分では、これらの神経が屈筋支帯で覆われたトンネル「足根管」を通過する。足根管症候群では足根管が何らかの原因で狭くなり、内側・外側足底神経が障害を受けることにより、足底から足の指にかけてのしびれや痛みが生じる。また、内側足底神経が障害されることにより、支配されている母指外転筋が筋萎縮を起こすこともある。
・足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。

2.〇 正しい。距骨体部の後方転位は、足第1指が直角に屈曲していて他動的にも動かせないとき原因となる。なぜなら、距骨体部の後方転位により、長母趾屈筋が伸長されるため。長母趾屈筋は、ふくらはぎ(下腿後部)から始まり、距骨体部の後方を通って足底に入り、母趾の先端(末節骨)に停止する筋肉である。
・長母趾屈筋の【起始】腓骨体後面(内側稜と後縁との間)、後下腿筋間中隔の下半、【停止】母趾の末節骨底、【作用】足関節底屈、母趾屈曲、【支配神経】脛骨神経(L5~S2)である。

3.× 有痛性の外脛骨障害とは、外脛骨が痛みを起こしている状態をいう。スポーツ活動や捻挫などの外傷をきっかけに痛みを起こすことがあり、小児、特に女性での発症が多く、成長期を終えると痛みが治まることが多い。主な症状として、①疼痛(圧痛、運動時痛)、②腫脹(うちくるぶしの下方の腫れ)があげられる。他にも、炎症が強い場合には、熱感も引き起こすことがある。治療として、①薬物療法(鎮痛)、②運動療法、③物理療法(温熱や電気刺激による鎮痛)、④装具療法などがあげられる。
・外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。正常な人の15%程度にみられる足の内側にある余分な骨である。

4.× 中足骨頭の骨端症(Freiberg病)は、中足骨頭に阻血性骨壊死が起こる疾患である。骨幹端および成長板の微小外傷によって生じる。阻血性骨壊死により中足骨頭が扁平化する。第2中足骨頭が侵されることが最も多い。痛みは荷重負荷で最も顕著となる。診断はX線により確定する。治療法としては、コルチコステロイド注射、固定、矯正器具などがある。

 

 

 

 

 

問題82.足部の外転と回内作用を持つ筋に対し同作用の求心性収縮を行っているのはどれか。写真を下に示す。
 矢印はゴムチューブに対抗する運動方向を示している。

1.a
2.b
3.c
4.d

解答

解説
1.× aは、足関節底屈の求心性収縮である。

2.× bは、足関節背屈の求心性収縮である。

3.× cは、足関節内返し(回外+内転+底屈)の求心性収縮である。

4.〇 正しい。dは、足部の外転と回内作用を持つ筋に対し同作用の求心性収縮を行っている。
足関節外返しとは、外転+回内+背屈運動である。

 

 

 

 

 

問題83.ラウゲ・ハンセン分類の回内・外転損傷で正しいのはどれか。

1.足部は内転する。
2.足関節は背屈する。
3.距骨は外側へ脱臼する。
4.腓骨は頸部で骨折する。

解答

解説

ラウゲ・ハンセン分類とは?

Lauge-Hansenの分類とは、足部の肢位と距骨の動きにより、足関節果部骨折(脱臼骨折)の病態をまとめたものである。一つ目の用語が「足部の肢位」、二つ目が「下腿に対する距骨の動き」を示す。

①回外・外旋損傷:高頻度に見られ、前脛腓靱帯損傷に次いで外果のらせん骨折がおこる。重症になれば後果骨折、内果骨折も伴うことがある(三果骨折、Cotton骨折)。
②回内・外旋損傷:内果の横骨折が生じる。重症になれば、前脛腓靱帯損傷に次いで外果より高位の腓骨らせん骨折が生じ、後果骨折も生じることがある。
③回外・内転損傷:外果の横骨折が生じ、次いで内果の垂直方向に骨折線が入る骨折を生じる。
回内・外転損傷:内果の横骨折が生じ、次いで外果の短い斜骨折が生じる

1.× 足部は、「内転」ではなく外転する。

2.× 足関節は、「背屈」ではなく中間位(または軽度底屈位)する。回内・外転骨折は、後果骨折、内果骨折も伴うことがある(三果骨折、Cotton骨折)。

3.〇 正しい。距骨は外側へ脱臼する

4.× 腓骨は、「頸部」ではなく下1/3(遠位端部)で骨折する。

 

 

 

 

 

問題84.病態と原因となる筋との組合せで正しいのはどれか。

1.スラップ損傷:上腕三頭筋
2.ベネット損傷:烏口腕筋
3.リトルリーガー肘:円回内筋
4.リトルリーガー肩:上腕筋

解答

解説
1.× スラップ損傷は、「上腕三頭筋」ではなく上腕二頭筋である。
・SLAP損傷(Superior Labrum Anterior and Posterior lesion)とは、上方関節唇損傷のことをさす。野球やバレーボールなどのオーバーヘッドスポーツにおける投球動作やアタック動作などを反復することによって上腕二頭筋長頭腱に負荷がかかり、関節唇の付着部が剥がれてしまう状態を指す。また、腕を伸ばした状態で転倒した際に上腕骨頭の亜脱臼に合併してSLAP損傷が生じることや、交通事故などの外傷性機序で発症することがある。スポーツでは、スライディングで手をついたり、肩を捻った時に発症することがある。

2.× ベネット損傷は、「烏口腕筋」ではなく上腕三頭筋である。
・Bennett損傷(ベネット損傷)とは、軟部組織損傷ともいい、投球動作により上腕三頭筋長頭や肩関節後方関節包に繰り返しの牽引力がかかり起こる骨膜反応である。野球暦の長い選手、特に投手に多く、上腕三頭筋長頭や後方下関節包の拘縮を合併する。炎症を伴うため、疼痛があるときは投球を中止し、初期は、冷罨法、固定、提肘により運動を制限する。疼痛軽減後は、ストレッチ運動や筋力強化訓練を行う。

3.〇 正しい。リトルリーガー肘:円回内筋
・リトルリーガー肘とは、野球肘ともいい、成長期にボールを投げすぎることによって、円回内筋や尺側手根屈筋などが起始する上腕骨内側上顆に牽引力がかかることで生じる成長期障害である。肘関節の外反ストレスにより、内側側副靭帯が損傷しやすい。内側側副靭帯は、3つ靭帯(前斜走靭帯、後斜走靭帯、横走靭帯)で、肘の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ。内側上顆から起始しており、靭帯の走行と比較的似ている筋を強化することによって靭帯の運動制限作用を補助することができる。

4.× リトルリーガー肩は、「上腕筋」ではなく成長線(骨端成長軟骨板)である。
・リトルリーガー肩とは、成長過程にある少年、中学生前後では腕の骨の付け根に骨が伸びるための成長線が残っており、繰り返しの投球による牽引と回旋の力がかかることで、成長線(骨端成長軟骨板)を損傷することをいう。症状は、投球時の肩付近の痛みで発症する。痛みは投げるたびに徐々に強くなり、じっとしていても痛みを感じることがある。肩全体の痛みを訴えることが多いが、診察すると腕の付け根の外側に押すと痛い場所がある。ちなみに、野球肩は、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)など多くが含まれる。

 

 

 

 

 

問題85.下肢損傷の身体観察で正しいのはどれか。

1.ズボンを履かせたままで観察する。
2.動的評価では痛みを我慢させる。
3.大腿周囲径は膝蓋骨の上縁から10cm上部で計測する。
4.下腿周囲径は下腿三頭筋の筋腱移行部で計測する。

解答

解説
1.× 必ずしも、ズボンを履かせたままで観察する必要はない。むしろ、ズボンを脱いでもらったほうが、皮膚の色調変化(発赤・チアノーゼ・血腫・腫脹・変形)などの重要な所見が確認できる。

2.× 必ずしも、動的評価では痛みを我慢させる必要はない。むしろ、動的評価では痛みを我慢させると、二次損傷や出血、断裂の拡大を引き起こすおそれがある。

3.〇 正しい。大腿周囲径は、膝蓋骨の上縁から10cm上部で計測する
・大腿周径は、膝蓋骨上縁(または膝関節裂隙)から中枢10cm(または5、10、15、20cmと複数)で測定する。ちなみに、膝関節伸展位(股関節屈曲・外転位)で測定する。

4.× 下腿周囲径は、「下腿三頭筋の筋腱移行部」ではなく下腿の最も太い部位で測定する。下肢全体をリラックスさせたうえで膝を軽度屈曲させ、下腿三頭筋がベッドに接触しないようにする。

 

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