第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後41~45】

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問題41.後天性免疫不全症候群(AIDS)で正しいのはどれか。

1.レトロウイルスによって起こる疾患である。
2.感染経路は主として空気感染である。
3.Bリンパ球が減少する。
4.予防対策としてワクチンが用いられる。

解答

解説

後天性免疫不全症候群とは?

後天性免疫不全症候群とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫機能の低下により様々な障害が発現する。

1.〇 正しい。レトロウイルスによって起こる疾患である。後天性免疫不全症候の原因ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)であり、これはレトロウイルス科に属するRNAウイルスである。

2.× 感染経路は主として、「空気感染」ではなく血液・性行為・母子感染である。なぜなら、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は体外環境に弱く、空気中で長く生存できないため。

3.× 「Bリンパ球」ではなくCD4陽性T細胞が減少する。なぜなら、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、CD4分子を標的として感染・破壊を行うため。

4.× 予防対策としてのワクチンは存在しない。なぜなら、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は遺伝子変異が非常に多く、抗原構造が頻繁に変化するため。

 

 

 

 

 

問題42.23歳の女性。突然、下腹部に排尿時痛が現れ、排尿後もすっきりせず尿が残っている感じがするため来院した。頻尿であるが尿量は少なく発熱はみられない。検尿により尿の混濁がみられた。
 最も考えられるのはどれか。

1.急性腎盂腎炎
2.子宮筋腫
3.急性膀胱炎
4.腎結石

解答

解説

本症例のポイント

・23歳の女性(突然、下腹部に排尿時痛)。
・排尿後もすっきりせず尿が残っている感じ(残尿感)。
頻尿であるが尿量は少なく発熱はみられない。
・検尿により尿の混濁がみられた。
→ほかの選択肢が消去できる理由もあげられるようにしよう。

1.× 急性腎盂腎炎より優先されるものが他にある。なぜなら、急性腎盂腎炎では、膀胱炎と異なり発熱(全身性炎症反応)や腰背部の叩打痛を伴うことが特徴であるため。
・急性腎盂腎炎とは、細菌が腎臓の中に入って、炎症が起きている状態である。 20~40歳代では、男女比は1対30である。なぜなら、膀胱炎からの逆行性感染によって生じることが多いため。したがって、解剖学的に尿道が短く膀胱炎になりやすい女性に多い。また、女性は男性よりも尿道が短く尿道口と肛門が近いため、細菌が膀胱へ侵入しやすいことが原因の一つとして挙げられる。症状が急に現れるが、治療が早くできると症状は3日~5日で落ち着く。 しかし、症状が悪くなれば入院する必要があるため、注意する必要がある。

2.× 子宮筋腫より優先されるものが他にある。なぜなら、子宮筋腫では排尿痛は起こりにくいため。
・子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。

3.〇 正しい。急性膀胱炎は、最も考えられる。
・急性膀胱炎とは、機能的・形態的に尿路に異常のない人の膀胱炎である。 原因として、女性では尿意を我慢したり、冷えや月経が原因で起こることがある。また、妊娠や便秘、性交渉などが誘因となって起こる。三大症状として、①排尿時痛、②頻尿、③残尿感である。

4.× 腎結石より優先されるものが他にある。なぜなら、腎結石では、尿流が阻害されることで強い疝痛(尿管疝痛)や血尿を生じる疾患であるため。
・腎結石とは、尿管から膀胱に向かって徐々に下降し、結石が膀胱に近づくと、膀胱を刺激し、頻尿や残尿感、腰背部に激しい痛みなどの症状が現れる。

尿路感染症

尿路感染症は、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。それら病態を見極めるための検査として、画像診断(超音波断層、静脈性腎盂造影、X線CTなど)が必要となる。感染症としての診断には、適切な採尿法による検尿で膿尿を証明すること、尿培養にて原因菌を同定し薬剤感受性を検査することが基本である。

【疑うべき臨床症状】
尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。

(※引用:「尿路感染症」より)

 

 

 

 

 

問題43.64歳の男性。4年前に早期胃癌で胃全摘術を受けた。3か月前から舌炎が現れ、白髪が増えてきたため来院した。初診時の検査所見では大球性貧血をみとめた。ビタミンBL2を投与後、症状の改善がみられた。
 疑われるのはどれか。

1.溶血性貧血
2.再生不良性貧血
3.鉄欠乏性貧血
4.悪性貧血

解答

解説

本症例のポイント

・64歳の男性。
・4年前:早期胃癌で胃全摘術を受けた。
・3か月前:舌炎、白髪が増えた。
・初診時の検査所見:大球性貧血
・ビタミンBL2を投与後、症状の改善がみられた。
→ほかの選択肢が消去できる理由も上げられるようにしよう。

1.× 溶血性貧血より優先されるものが他にある。なぜなら、溶血性貧血では大球性貧血や舌炎はみられないため。
・溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。溶血性貧血では黄疸、脾腫、尿中ウロビリノーゲン上昇を認め、貧血は正球性である。

2.× 再生不良性貧血より優先されるものが他にある。なぜなら、再生不良性貧血では、ビタミンB₁₂投与では改善しないため。
・再生不良性貧血とは、骨髄の造血幹細胞の減少と、それによる末梢血の汎血球減少を主徴とする症候群で、骨髄で血液が造られないために血液中 の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気である。白血球(Tリンパ球)の働きが何らかの原因で異常をきたし、自分自身の造血幹細胞を攻撃して壊してしまうことが原因と考えられている。

3.× 鉄欠乏性貧血より優先されるものが他にある。なぜなら、鉄欠乏性貧血では、小球性低色素性貧血となるため。
・鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。

4.〇 正しい。悪性貧血が最も疑われる。
・悪性貧血とは、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって生じる巨赤芽球性貧血の中である。最も発生頻度が高いビタミンB12欠乏性の貧血が悪性貧血である。ビタミンB12は胃液中の内因子との結合によって小腸下部で吸収され、葉酸とともに骨髄内での赤血球生成に利用される。悪性貧血は、高度の萎縮性胃炎による内因子分泌の欠乏が一次的原因である。その結果、回腸末端部からのビタミンB12の吸収障害をおこす。欠乏症状として①動悸、②めまい、③耳鳴り、④全身倦怠感、⑤舌炎、⑥悪心、⑦嘔吐、⑧下痢、⑨神経症状として四肢の知覚異常、⑩歩行困難、⑪視力障害などがおこる。時には興奮,軽い意識混濁な

貧血の種類

①小球性低色素性貧血:鉄欠乏性血・鉄芽球性血・サラセミア・異常へモグロビン症・慢性炎症による貧血など。
②正球性正色素性貧血:再生不良性貧血・溶血性貧血・遺伝性球状赤血球症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間血色素尿症など。
③大球性貧血(大球性正色素性貧血)
巨赤芽球性貧血:悪性貧血・胃切除後貧血・葉酸欠乏性貧血・ビタミンB12欠乏性貧血など。
非巨赤芽球性貧血:溶血性貧血・出血性血・肝障害・甲状腺機能低下症・骨髄異形成症候群など。

 

 

 

 

 

問題44.外傷と合併症との組合せで誤っているのはどれか。

1.多発性肋骨骨折:胸壁動揺
2.ハンドル外傷:膵断裂
3.熱傷:カーリング(Curling)潰瘍
4.頭部外傷:マロリーワイス(Mallory-Weiss)症候群

解答

解説
1.〇 正しい。多発性肋骨骨折:胸壁動揺
・胸壁動揺とは、複数の肋骨が骨折することで正常な胸壁運動が障害され、換気が困難になることである。 フレイルチェスト、胸郭動揺ともいう。 重篤な胸部外傷である。

2.〇 正しい。ハンドル外傷:膵断裂
なぜなら、交通事故などでハンドル(またはシートベルト)により上腹部が強く圧迫されると、膵臓が背後の脊椎に押し付けられて膵体部断裂を起こしやすいため。膵臓は、後腹膜に固定されており、圧力の逃げ場が少ないことで起こる。

3.〇 正しい。熱傷:カーリング(Curling)潰瘍
・カーリング潰瘍とは、広範囲熱傷に合併するストレス性潰瘍病変のことである。ショックや脱水で胃・十二指腸の血流が低下し、粘膜虚血によるびらんや潰瘍形成を生じる。受傷後一週間以内に起こることが多く、初期の症状は食欲不振、重度になると、突然の吐血や下血など、胃・十二指腸潰瘍と同じ症状が見られる。

4.× 「頭部外傷」とマロリーワイス症候群は無関係である
・Mallory-Weiss症候群とは、繰り返す激しい嘔吐のために食道に圧が加わり、食道胃接合部付近の粘膜が破れ出血する疾患である。激しい嘔吐を繰り返すと、急激に上昇した腹腔内圧が食道に加わり、食道胃接合部付近(食道下部から胃の入り口=噴門部)の粘膜に裂傷が起こる。つまり、嘔吐を繰り返すことで腹圧が上がり、食道下部から胃の入り口付近にかけての粘膜に強い圧力がかかり、嘔吐後に下部食道の裂創が生じ、吐血・下血をきたす。

 

 

 

 

 

問題45.蜂巣炎で正しいのはどれか。

1.起炎菌は嫌気性菌である。
2.皮下の疎性結合織に好発する。
3.境界は明瞭である。
4.早期に切開する。

解答

解説

蜂窩織炎とは?

蜂窩織炎とは、皮膚とその下にある皮下脂肪にかけて、細菌が入り込んで、感染する皮膚の感染症である。スキンケアが重要である。また、浮腫が出現した時の対処として、①スキンケア、②マッサージによるリンパドレナージ、③圧迫療法、④浮腫減退運動療法を総合的に行う。一般的に、 ブドウ球菌とレンサ球菌が原因となる。接触感染の感染経路をとり、個室隔離の必要はない。

1.× 起炎菌は、「嫌気性菌」ではなく好気性菌である。なぜなら、蜂巣炎は、皮膚の表面から侵入した細菌によって起こる感染症であり、酸素が存在する環境(皮下組織)で発症するため(好気性菌が関与)。一方、嫌気性菌が関与するのは、壊死性筋膜炎やガス壊疽など、より深部で酸素が乏しい環境での感染。
・蜂窩織炎の最も一般的な原因菌は、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌(特にA群β溶血性レンサ球菌)などである。

2.〇 正しい。皮下の疎性結合織に好発する。なぜなら、疎性結合織は細胞間質が粗く、細菌が広がりやすい構造をしているため。感染が広範に及びやすい特徴がある。
・疎性結合織とは、細胞の間に多くのすき間があり、ゼラチン状の基質や少量の繊維で満たされている結合組織である。主に皮膚の下や内臓の間にあり、器官を支えたり、栄養や酸素を運んだりする役割を担う。

3.× 境界は、「明瞭」ではなく不明瞭である。なぜなら、蜂巣炎は、炎症が皮下組織で広範に及ぶため。したがって、蜂巣炎では、皮膚の赤みや腫れが周囲の正常な皮膚との境目がはっきりせず、グラデーションのように広がっているように見える。

4.× 早期に切開する「必要はない」。蜂巣炎は、膿瘍(膿が袋状に貯留したもの)とは異なり、組織内に細菌が拡散している状態である。したがって、主な治療は、基本的には抗菌薬の内服や点滴などである。

 

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