第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後71~75】

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問題71.施術録で誤っているのはどれか。

1.施術日に記載する。
2.損傷部の経過を記載する。
3.骨折・脱臼では医師の同意を得た旨を記載する。
4.保存期間は3年間である。

解答

解説
1.〇 正しい。施術日に記載する。なぜなら、患者のケアに関する全ての重要な情報は、施術録に記録されるべきであるため。施術録には施術年月日のほか、施術の内容・経過等を正確に記載する必要がある。

2.〇 正しい。損傷部の経過を記載する。なぜなら、施術録は療養費支給申請の根拠となるため。受領委任で療養費を請求する際、施術者は施術録を提出する必要がある。

3.〇 正しい。骨折・脱臼では、医師の同意を得た旨を記載する。なぜなら、柔道整復師が骨折・脱臼を施術する際は、原則として医師の同意を得る必要があり、その旨を施術録に記載するため。
・柔道整復師の第十七条(施術の制限)において、「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼きゆう又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない」と記載されている(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)。

4.× 保存期間は、「3年間」ではなく5年間である。施術録の保存期間は「施術完結日」から5年間である。

 

 

 

 

 

問題72.ギプス固定などで下肢を長時間動かさないことが原因で発症するのはどれか。

1.深部静脈血栓症
2.過剰仮骨形成
3.骨化性筋炎
4.脂肪塞栓

解答

解説

静脈血栓塞栓症とは?

静脈血栓塞栓症とは、手足の静脈に血栓ができて血管が詰まる深部静脈血栓症(DVT)と、その血栓が血流に乗って運ばれ肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症を合わせた総称である。深部静脈血栓症とは、長時間の安静や手術などの血流低下により下肢の静脈に血栓が詰まってしまう病気である。下肢の疼痛、圧痛、熱感などの症状がみられる。ほかのリスク因子として、脱水や肥満、化学療法などがあげられる。

1.〇 正しい。深部静脈血栓症は、ギプス固定などで下肢を長時間動かさないことが原因で発症する。なぜなら、下肢を動かさないことで筋ポンプ作用が低下し、静脈還流が滞る(静脈うっ滞)ため。

2.× 過剰仮骨形成とは、粉砕骨折、大血腫の存在、骨膜の広範な剥離、早期かつ過剰に行われた後療法などの仮骨形成を刺激する状態が持続した場合に発生する。血腫が消失した場合は仮骨形成を遷延させる原因となり遷延仮骨や偽関節の原因となる。

3.× 骨化性筋炎とは、打撲などの外傷によって、筋肉の中に骨と同じような組織ができてしまう疾患のことである。外傷性骨化性筋炎、骨化性筋炎とも言う。 損傷を受けた筋肉が出血して血腫ができたところに、カルシウムが沈着し、石灰化しておこる。大腿部前面に強い打撲を受けた後によくみられる。

4.× 脂肪塞栓とは、脂肪細胞に血管を塞栓された臓器が虚血による不全を起こす事が本症の病態である。塞栓される臓器によって様々な臓器不全を起こす。外傷時に脂質代謝が変化し血液内の脂肪が脂肪滴になるため、あるいは外傷部分の血管から骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられている。 全身性の脂肪塞栓症の原因としては、骨折の他に、皮下脂肪組織の挫滅、脂肪肝による障害、急性膵炎、減圧症、広範囲の火傷、糖尿病、骨髄炎などがある。

 

 

 

 

 

問題73.通電療法でないのはどれか。

1.中周波
2.干渉波
3.超音波
4.低周波

解答

解説
1.〇 中周波は、通電療法である。中周波とは、1,000〜10,000Hz程度の電流のことを指し、皮膚抵抗が少なく深部組織まで効率的に電気刺激を届けることができる。

2.〇 干渉波は、通電療法である

干渉波とは、4,000〜5,000Hzを用い、2つの電流の周波数差(例:4000Hzと4100Hz → 差の100Hz)が体内で干渉して、低周波刺激を生じさせる治療である。皮膚抵抗が少ない中周波を利用しながら、深部に低周波的刺激を与えることができる。筋緊張の緩和や血流促進、鎮痛効果が得られる。

3.× 超音波は、通電療法でない。
・超音波とは、超音波を用いた機械的振動によるエネルギーを摩擦熱に変換することによって特定の部位を温める療法の1つである。1MHzは深部組織、3MHZは皮膚表面に近い組織に照射できる。

4.〇 低周波は、通電療法である
・低周波とは、1〜1000Hzの低周波電流を皮膚に通電し、筋収縮を起こして鎮痛や血流改善を目的とする通電療法である。例えば、鍼通電療法である。鍼通電療法は、鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的である。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。

 

 

 

 

 

問題74.受傷後2週で前腕近位からの固定に変更した右コーレス(Colles)骨折患者が、職場復帰するにあたり、誤っている指導はどれか。

1.組み立て作業から管理業務への変更を指導した。
2.職場内では右手指を使用しないように指導した。
3.自家用車通勤をしないように指導した。
4.休憩時間に右肩関節の振り子運動をするように指導した。

解答

解説
1.〇 正しい。組み立て作業から管理業務への変更を指導した。なぜなら、受傷後2週の段階では、まだ骨癒合が十分でないため。したがって、手関節に負荷をかける作業は避けるべきである。

2.× 職場内では、「右手指を使用しない」ように指導する必要はない。なぜなら、コーレス骨折において、「右手指の自動運動」は患部外トレーニングに該当するため。患部外トレーニングは、循環障害・腫脹遷延・拘縮(特に手指屈筋腱周囲の癒着)の予防につながる。

3.〇 正しい。自家用車通勤をしないように指導した。なぜなら、固定中の右上肢では、運転操作に支障があり危険が生じる可能性が高いため。

4.〇 正しい。休憩時間に右肩関節の振り子運動をするように指導した。なぜなら、右上肢のギプス固定による肩関節拘縮の予防として期待できるため。※ただし、一般的に振り子運動は、肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動として取り上げられていることが多い。
・Codman体操(振り子運動)は、肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。肩甲骨と上腕骨の間に関節の遊びを作ることで、痛みや障害を予防する。

 

 

 

 

 

問題75.脊椎骨折と好発部位との組合せで正しいのはどれか。

1.頸椎棘突起骨折:下位頸椎
2.肋骨突起骨折:上位胸椎
3.胸椎棘突起骨折:下位胸稚
4.椎体圧迫骨折:下位腰椎

解答

解説
1.〇 正しい。頸椎棘突起骨折:下位頸椎
・棘突起とは、椎体の背中側に突き出した突起のことである。棘突起骨折は首の根元近く(第7頸椎)で起きやすい。 横突起の単独骨折は、ほとんど首の根元辺りで起こる。棘突起を骨折した場合はだるさや痛みを感じ、軋轢音を聞く。頸椎の場合はカラー、腰椎ならコルセットをして、長くても4週間から5週間で完治する。

2.× 肋骨突起骨折は、「上位胸椎」ではなく腰椎(特にL2〜L3)で起きやすい。
・腰椎肋骨突起骨折とは、腰の骨(腰椎)から横に出ている細い骨の突起(肋骨突起)が折れるけがである。転倒や交通事故、スポーツでの強い衝撃、あるいは腰に直接力が加わったときに起こる。多くは強い腰の痛みが出るが、神経の障害は少ないことが多いである。

3.× 胸椎棘突起骨折は、「下位胸稚」ではなく上位胸椎(T1〜T3)で起きやすい。なぜなら、上位胸椎の棘突起は、頸椎からの力学的ストレスを受けやすい位置にあり、体幹過伸展(重たいものを持った時に骨を引っ張ったり)や直接打撃(転倒や交通事故)によって受傷するため。

4.× 椎体圧迫骨折は、「下位腰椎」ではなく胸腰移行部(T12〜L1)で起きやすい。なぜなら、胸腰椎移行部が脊椎のカーブに位置し、骨の強度と比較してストレスが集中するため。

圧迫骨折とは?

圧迫骨折とは、背骨の椎体と言う部分が潰されるように骨折した状態である。尻もちなどの外力による受傷が多く見られる。女性の高齢者に多く見られる代表的な骨折である。椎体骨折(圧迫骨折)の場合は、画像所見で①膨張した椎間板、②魚椎変形(楔状変形)、③骨陰影の減少などがみられる。

 

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