第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午前106~110】

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問題106.良性非上皮性腫瘍はどれか。

1.カルチノイド
2.乳頭腺腫
3.神経線維腫
4.黒色腫

解答

解説

上皮性腫瘍とは?

上皮性腫瘍とは、皮膚の表皮のように、表面をおおう細胞(上皮)に発生する腫瘍をいう。乳房にできる上皮性腫瘍としては、乳管のなかにできる良性の乳管内乳頭腫や乳管に分泌液が溜まり袋状になった囊胞内にできる嚢胞内乳頭腫などがある。これらは、超音波画像診断などでは腫瘤性の病変として認識されるが、乳頭状型の非浸潤性乳管がんとの鑑別診断をすることは時に非常に難しいことがあり、針生検で乳管内乳頭腫とされた場合でも、画像診断で非浸潤性乳管がんを疑う場合には切開生検を行い、診断を確定する必要がある。

腫瘍の分類

腫瘍には、 良性と②悪性、③上皮性と④非上皮性に分けられる。
①良性:主に転移しない腫瘍。
②悪性:主に転移する腫瘍。
③上皮性:体表(乳房)や管腔臓器(消化器、呼吸器、泌尿器)の覆う細胞。
④非上皮性:皮細胞以外の体の組織(筋肉、脂肪、血管など)を構成する細胞。

1.× カルチノイドは、「上皮性腫瘍(神経内分泌細胞由来)」である。
・カルチノイド腫瘍とは、神経内分泌細胞由来で、セロトニンなどの活性アミンやペプチドホルモンを分泌する性質をもつ。

2.× 乳頭腺腫は、「上皮性腫瘍(良性腫瘍)」である。
・乳頭腺腫とは、良性型の上皮性腫瘍で、腺上皮細胞が乳頭状に増殖する腫瘍である。乳腺や甲状腺、膀胱などに発生する。上皮性腫瘍は腺や上皮構造を形成する点が特徴である。

3.〇 正しい。神経線維腫は、良性非上皮性腫瘍である。
・神経線維腫とは、末梢神経のシュワン細胞や線維芽細胞から発生する腫瘍である。上皮構造をもたない「非上皮性腫瘍」に分類される。非上皮性腫瘍は「間葉系(結合組織・筋・血管など)」由来である。

4.× 黒色腫(悪性黒色腫、メラノーマ)は、「悪性非上皮性腫瘍」である。
・黒色腫とは、メラノーマともいい、皮膚がんの一種である。主な原因として、紫外線の過度な曝露、免疫系の弱体化などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題107.単因子性遺伝性疾患はどれか。

1.高血圧症
2.統合失調症
3.痛風
4.血友病

解答

解説

単因子遺伝性疾患とは?

単一遺伝子疾患とは、ある1つの遺伝子の異常(欠失、遺伝子内の塩基の欠落、置換、挿入などの突然変異)により発症する病気の総称である。父親、母親の両方から受け継いだ2種類の同じ遺伝子の相互作用(メンデルの法則)により病気が発現するか否かが決まるため、メンデル遺伝病とも呼ばれる。

1.× 高血圧症は、多因子性疾患である。なぜなら、一般的な本態性高血圧は、複数の遺伝因子(Na排泄・血管反応性・ホルモン感受性など)と生活習慣(食塩摂取・肥満・ストレスなど)が複雑に関与して発症するため。
・高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいい、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。くり返し測定し、診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断される。

2.× 統合失調症は、多因子性疾患である。なぜなら、統合失調症は、複数の感受性遺伝子(ドパミン受容体・グルタミン酸系など)と環境的ストレス(出生時障害・心理的要因など)の両方が関与して発症するため。
・統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

3.× 痛風は、多因子性疾患である。なぜなら、痛風は、尿酸代謝に関わる多数の遺伝子の多型生活習慣(高プリン食・アルコール・肥満など)が相互に関係して発症するため。
・痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足跳関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。

4.〇 正しい。血友病は、単因子性遺伝性疾患である。なぜなら、血友病は、X染色体上の凝固因子遺伝子(第VIII因子または第IX因子)の異常によって生じる先天性疾患であるため。

”血友病とは?”

血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。

【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下

【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。

【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション

(※参考:「血友病」Medical Note様HP)

 

 

 

 

 

問題108.染色体数が45本なのはどれか。

1.猫鳴き症候群
2.クラインフェルター(Klinefelter)症候群
3.ダウン(Down)症侯群
4.ターナー(Turner)症候群

解答

解説
1.× 猫鳴き症候群(5p欠失症候群)は、「常染色体異常」による疾患である。5番染色体の欠失によって発症する。猫鳴き症候群は、生下時から猫の鳴き声のような甲高い啼声を呈し、成長・知的発達遅滞、顔貌異常、小頭症を特徴とする。

2.× クラインフェルター(Klinefelter)症候群とは、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多い(47,XXY)ことで生じる一連の症候群で性染色体異常ある。高身長、やせ型、長い手足になることが多い。

3.× ダウン(Down)症侯群は、通常21番染色体が3本ある(トリソミー21)。ダウン症候群とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。

4.〇 正しい。ターナー(Turner)症候群は、染色体数が45本である。
・ターナー(Turner)症候群は、2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失(45,X)によって引き起こされる性染色体異常である。したがって、女性特有の染色体異常である。ターナー症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみ(翼状頸)があり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。

 

 

 

 

 

問題109.母子保健法で誤っているのはどれか。

1.母性と乳幼児の健康の保持増進を図ることを目的とする。
2.妊娠の届出をした者に母子健康手帳が交付される。
3.未熟児には養育に必要な医療(養育医療)が給付される。
4.小学校入学後も対象となる。

解答

解説

母子保健法とは?

母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。

1.〇 正しい。母性と乳幼児の健康の保持増進を図ることを目的とする
・母子保健法の第一条(目的)において「この法律は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする」と記載されている(※引用:「母子保健法」e-GOV法令検索様HPより)。

2.〇 正しい。妊娠の届出をした者に母子健康手帳が交付される(第16条)。
・母子健康手帳とは、母子保健法に定められた市町村が交付する、妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳のことである。

3.〇 正しい。未熟児には養育に必要な医療(養育医療)が給付される(第20条)。
・養育医療とは、入院治療を必要とする対象者に該当する乳児(出生時体重が2000g以下だった乳児、低体温、強い黄疸などの症状を示す乳児)に対して、健やかに成長できるよう、その養育に必要な医療を給付するものである。 指定医療機関において、診察・医学的処置・治療等の給付が受けられる。

4.× 「小学校入学後」ではなく小学校入学前が対象となる。
・母子保健法の第一条(目的)において「この法律は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする」と記載されている(※引用:「母子保健法」e-GOV法令検索様HPより)。

 

 

 

 

 

問題110.学校保健で正しいのはどれか。

1.厚生労働省が所管する。
2.定期健康診断は毎年実施する。
3.常勤の担当者として学校医がいる。
4.後天性免疫不全症候群(AIDS)は学校感染症の第一種に指定されている。

解答

解説

学校保健とは?

学校保健とは、学校における保健教育及び健康管理をいう。文部科学省設置法は、文部科学省の設置と任務及びそれらに関する必要な事務などを定めた法律である。

・学校保健安全法は、主に①学校保健、②学校安全の体制、③健康診断などを定めている。

1.× 「厚生労働省」ではなく文部科学省が所管する。
・文部科学省は、大臣官房、総合教育政策局、初等中等教育局、高等教育局、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局から成る組織である。
・厚生労働省は、大臣官房、医政局、健康局、医薬・生活衛生局、労働基準局、職業安定局、雇用環境・均等局といった機関から成る組織で、子供からお年寄りまで幅広く対応している。医療や健康増進、食品の安全管理など国民生活向上の役割を担っており、雇用対策推進や、安心して子育てができる社会作り、介護福祉なども担当している。

2.〇 正しい。定期健康診断は、毎年実施する
・定期健康診断は、児童生徒の健康の保持増進を目的とするほか、学習指導要領の特別活動として学校行事に位置づけられ、教育活動の一環として行われる。これは、学校保健安全法の第13条に規定されており、「学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない」と記載されている。(※一部引用:「学校保健安全法」e-GOV法令検索様HPより)

3.× 「常勤の担当者」ではなく非常勤として学校医がいる。なぜなら、学校医・学校歯科医・学校薬剤師は、校長が委嘱する非常勤の専門職であるため。一方、学校の教員などは、常勤職員となる。
・学校医とは、就学時や定期的な健康診断をはじめ、修学旅行やマラソン大会など学校行事にあわせた健康チェックや健康相談を行ったり、心の相談や性に関する相談にも応えたりする。また、集団健康管理の点から伝染病・感染症対策についての必要な指導と助言とを行っている。

4.× 後天性免疫不全症候群(AIDS)は、学校感染症の第一種にも第二種にも指定されていない」。これは、第18条に記載されている。主に、第一種は、感染力が極めて強く、学校での流行を防止すべき感染症(例:エボラ、ペスト、SARSなど)であり、第二種は、学校で流行するおそれのある感染症(例:インフルエンザ、麻しん、水痘など)、第三種は、日常的にみられる感染症(例:ウイルス性肝炎、結核など)と区分されている。

学校保健安全法

第三章 感染症の予防(感染症の種類)
第十八条 学校において予防すべき感染症の種類は、次のとおりとする。
一 第一種 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)及び特定鳥インフルエンザ(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第三項第六号に規定する特定鳥インフルエンザをいう。次号及び第十九条第二号イにおいて同じ。)
二 第二種 インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、百日咳せき、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核及び髄膜炎菌性髄膜炎
三 第三種 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第七項から第九項までに規定する新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症は、前項の規定にかかわらず、第一種の感染症とみなす。(※引用:「学校保健安全法」e-GOV法令検索様HPより)

 

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