第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6.循環系で誤っているのはどれか。

1.右心室より左心室では酸素分圧が高い。
2.左心室より右心室では二酸化炭素分圧が高い。
3.肺循環で酸素分圧は高くなる。
4.体循環で二酸化炭素分圧は低くなる。

解答

解説

(※画像引用:「Medical Note 様HPより」)

1.〇 正しい。右心室より左心室では酸素分圧が高い。なぜなら、右心室には、「静脈血(酸素の少ない血液)」が流入し、肺動脈へ送り出されるのに対し、左心室には「肺で酸素化された動脈血」が流入し、全身へ送り出されるため。

2.〇 正しい。左心室より右心室では二酸化炭素分圧が高い。なぜなら、右心室には体組織から戻ってきた「静脈血(CO₂を多く含む)」が流れ、左心室には肺でCO₂を放出した「動脈血(CO₂が少ない)」が流れるため。

3.〇 正しい。肺循環で酸素分圧は高くなる。なぜなら、肺胞でガス交換(O₂取り込み、CO₂排出)が行われるため。この過程で、酸素分圧は上昇し、二酸化炭素分圧は低下する。
・肺循環とは、「右心室 → 肺動脈 → 肺毛細血管 → 肺静脈 → 左心房」という経路を通り、肺(肺胞)でガス交換を行う。一方、体循環(大動脈)は、全身の臓器に血液を供給するため高い圧が必要である。

4.× 体循環で二酸化炭素分圧は、「低く」ではなく高くなる。なぜなら、体循環では、動脈血が全身組織に酸素を供給し、代わりに組織で生じた二酸化炭素を受け取るため。

 

 

 

 

 

問題7.ビタミンDが消化管での吸収に関与するのはどれか。

1.カルシウム
2.鉄
3.銅
4.マグネシウム

解答

解説
1.〇 正しい。カルシウムは、ビタミンDが消化管での吸収に関与する。なぜなら、ビタミンDは、小腸上皮細胞の核内受容体に作用し、カルシウム結合タンパク質の合成を促進することで、腸管からのCa²⁺吸収を高めるため。
・ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDの欠乏によりくる病をきたす。
・カルシウムとは、骨や歯を形成するミネラルで、身体の機能の維持・調節に不可欠な栄養素である。カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなり、骨の発育障害や成長不良を引き起こす可能性がある。主に血液検査で測定する。

2.× 鉄は、ビタミンCが関与する。鉄(Fe)は、消化管(胃酸)でFe³⁺→Fe²⁺に還元されることで吸収されやすくなるが、この還元反応を促進するのがビタミンCである。

3.× 銅は、主に小腸上皮から能動的に吸収される。この過程に関与するのは、特定の金属輸送タンパクとなる。

4.× マグネシウムより優先されるものが他にある。なぜなら、マグネシウムは、小腸で主に受動拡散により吸収されるため。ただし、マグネシウムは、ビタミンDを活性化する酵素(肝臓・腎臓の水酸化酵素)の補因子であるため、マグネシウム欠乏時にビタミンDの代謝が低下し、カルシウム吸収が間接的に低下することはある。

 

 

 

 

 

問題8.筋収縮で筋の全長が一定なのはどれか。

1.遠心性収縮
2.静止性収縮
3.等張性収縮
4.相動性収縮

解答

解説
1.× 遠心性収縮とは、加えられた負荷が筋張力よりも大きく、筋は収縮しているが伸びる状態のこと。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。

2.〇 正しい。静止性収縮は、筋収縮で筋の全長が一定である。
・静止性収縮とは、等尺性収縮ともいい、筋が収縮しても筋の全長に変化のない状態である。拮抗筋間で同一の張力を発生したとき、負荷に抗して静止姿勢を保つときなどに起こる。

3.× 等張性収縮とは、筋の収縮力(張力)が変化しないままに、筋の全長が変化する状態である。
①求心性収縮とは、筋収縮時に筋の起始部と停止部が近づく関節運動である。
②遠心性収縮とは、筋が収縮しながら伸張されていく運動である。
※等張性運動は心肺機能の維持・改善に適する筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環がよくなる。

4.× 相動性収縮とは、筋の収縮する速度が速い、速くて急激な運動を伴って収縮する求心性収縮・遠心性収縮のことである(白筋に多い)。一方、緊張性収縮とは、姿勢など持続収縮のことである(赤筋に多い)。

 

 

 

 

 

問題9.原因と疾患との組合せで誤っているのはどれか。

1.土壌汚染:アザラシ肢症
2.水質汚染:イタイイタイ病
3.大気汚染:慢性気管支炎
4.放射線被曝:白血球減少症

解答

解説
1.× 土壌汚染は、「アザラシ肢症」ではなくイタイイタイ病である。イタイイタイ病の主な原因物質は、カドミウムである。水質汚染や土壌汚染が問題となった。腎機能障害を起こし、カルシウム吸収が障害されて、骨が脆くなり骨折しやすくなる。
・アザラシ肢症とは、アザラシのように見えることから名付けられた先天性疾患の1つである。特徴として、四肢の長骨がない、または短く、手または足が直接胴体についていることなどがあげられる。その他、内臓の配置異常等の広範囲の異常を引き起こしているものもある。原因としてはさまざまなものがあると考えられるが、1950年代後半(日本では1960年代前半)に大量発症した事例は、サリドマイドによる薬害が指摘されている。極端な場合は、無肢症とも呼ばれる。

2.〇 正しい。水質汚染:イタイイタイ病
①四日市喘息(三重県):主に亜硫酸ガスによる大気汚染を原因。
②新潟水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因。
③イタイイタイ病(富山県):カドミウムによる水質汚染を原因
④熊本水俣病:有機水銀(メチル水銀)による水質汚染や底質汚染を原因

3.〇 正しい。大気汚染:慢性気管支炎
なぜなら、工場排煙や自動車の排気ガスが気道粘膜を刺激し、長期的な炎症反応を引き起こすため。
・慢性気管支炎とは、気管支に炎症が長期間続く病気である。主に、喫煙や大気汚染が原因で、咳や痰が少なくとも2年以上、毎年3か月以上続く状態を指す。進行すると息切れが起こりやすく、日常生活に支障が出ることもある。

4.〇 正しい。放射線被曝:白血球減少症
なぜなら、放射線は骨髄の造血幹細胞を障害するため。したがって、血液細胞の産生が低下し、まず白血球が減少し、重度では汎血球減少を生じる。
・白血球減少症とは、体を細菌やウイルスから守る白血球の数が少なくなる状態である。白血球が減ると感染症にかかりやすくなる。原因には病気や薬の影響のほか、放射線被ばくがある。放射線は骨髄にダメージを与え、白血球を作る力を弱める。

 

 

 

 

 

問題10.WHOの健康の定義は、「健康は( )にも( )にも( )にも調和がとれた良好な状態をいい、単に病気がないとか病弱でないということではない」である。
 ( )にあてはまらないのはどれか。

1.身体的
2.精神的
3.社会的
4.宗教的

解答

解説

健康の定義とは?

WHO憲章では以下のように定義している。「健康とは、肉体的精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」また、同憲章にはこんなことも謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」「全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。」「ある国が健康の増進と保護を達成することは、全ての国に対して価値を有する。」つまり、健康が個人にとって、また国家にとっても極めて大切なものであり、その達成に向けて個人と国家が協力していくことが必要ということである。これが既に半世紀以上前に作成されており、今でもなお憲章としての意味を持ち続けているのである。

(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)

1~3.〇 身体的/精神的/社会的は、( )にあてはまる。
・WHOの健康の定義は、「健康は( 身体的 )にも( 精神的 )にも( 社会的 )にも調和がとれた良好な状態をいい、単に病気がないとか病弱でないということではない」である。

4.× 宗教的は、( )にあてはまらない。宗教的に関与するのは、リスボン宣言である。宗教的支援を受ける権利がある。

リスボン宣言とは?

リスボン宣言とは、1981年にポルトガルのリスボンで採択され、患者の権利に関する宣言である。①良質の医療を受ける権利、②選択の自由の権利、③自己決定の権利、④情報を得る権利、⑤プライバシーを守られる権利、⑥人間としての尊厳を得る権利が規定されている。

 

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