第21回(H25年)柔道整復師国家試験 解説【午前26~30】

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問題26.中手骨頸部に起こるのはどれか。

1.ボクサー骨折
2.ショウファー骨折
3.チロー(Tillaux)骨折
4.ローランド(Roland)骨折

解答

解説
1.〇 正しい。ボクサー骨折は、中手骨頸部に起こる。
・ボクサー骨折とは、第5中手骨頸部骨折ともいい、拳の形成時に衝撃を受けることで発生することが多い骨折である。したがって、第4・5中手骨の頸部に発生しやすい。中手骨の骨折は日常で良く発生し、骨折しても腫れや変形が目立ちにくいという特徴があるが、ほかの選択肢に、より陳旧性骨折となって発見される頻度が高いものがある。

2.× ショウファー骨折(chauffeur’s骨折)とは、橈骨茎状突起骨折のことである。手を伸ばして転倒した時に生じやすい。舟状月状骨間靭帯損傷の合併が多い。

3.× チロー(Tillaux)骨折とは、前脛腓靭帯の強い牽引力によって生じた脛骨側での剥離骨折である。前脛腓靱帯は、内返し捻挫時に損傷しやすい。

4.× ローランド(Roland)骨折とは、中手骨基部のY字型またはT字型の関節内で生じる複合骨折のことである。2ヵ所の骨折によって中手骨が3つに分かれるという複雑なものである。基本的な3片の骨折の際は「観血的整復固定術(ORIF)」による整復が施されることが多い。

 

 

 

 

 

問題27.体育の授業中に負傷し、直ちに来所した14歳の肩関節初回脱臼患者に対し、徒手整復後に行う柔道整復師の説明で適切なのはどれか。

1.数日は様子をみて痛みがなければ治癒とします。
2.明日からは肩を挙げる運動を積極的に行いましょう。
3.再発を防ぐ目的で肩伸展位ギプス固定を3週間施行します。
4.応急的に整復しましたが専門医に診ていただきましょう。

解答

解説

肩関節前方脱臼とは?

烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。

【固定】①材料:巻軸包帯、副子(肩関節前後面にあてる)、腋窩枕子、三角巾。②肢位と範囲:肩関節軽度屈曲・内旋位で肩関節のみ。③期間:30歳代以下は5~6週間、40歳代以上は3週間

1.× 「数日は様子をみて痛みがなければ治癒」とは言いにくい。なぜなら、整復直後は、疼痛や腫脹が軽減しても、関節包損傷や骨折(上腕骨大結節骨折・骨端線損傷)が潜んでいる場合があるため。したがって、医師によるX線・画像診断で確認しなければならない。

2.× 明日からは肩を挙げる運動を「積極的に行いましょう」とは言いにくい。なぜなら、肩関節脱臼の整復直後(1週目)は、関節包や周囲の軟部組織が損傷しており、非常に不安定な状態であるため。適切な固定期間が組織の修復を促進させる。

3.× 再発を防ぐ目的で、「肩伸展位」ではなく肩屈曲位ギプス固定を3週間施行します。肢位と範囲は、肩関節軽度屈曲・内旋位で肩関節のみ行う。

4.〇 正しい。応急的に整復しましたが専門医に診ていただきましょう。なぜなら、14歳では骨端線が閉鎖しておらず、脱臼に骨折(骨端線損傷)や関節唇損傷を合併している可能性が高いため。柔道整復師の業務範囲では診断や医療行為はできず、整復後の医師確認が必要である。

 

 

 

 

 

問題28.大腿骨頸部内側骨折で誤っているのはどれか。

1.大転子部を強打して発生する事が多い。
2.多くは内転型骨折である。
3.患側の転子果長は短縮する。
4.大腿長軸圧を加えると強い疼痛がみられる。

解答

解説

大腿骨頸部内側骨折とは?

大腿骨頸部内側骨折とは、大腿骨頭と骨頸(頸部)の間(関節包内)で起こる骨折である。主に高齢者(特に女性)の転倒で発生する。関節包内に位置するため、血行障害(骨頭壊死・偽関節)**を起こしやすい。

阻血性骨壊死になりやすい骨折として、①上腕骨解剖頸骨折、②手の舟状骨骨折、③大腿骨頸部内側骨折、④距骨骨折があげられる。これらの部位の骨折は栄養血管損傷を起こしやすく、血流が障害されやすい。

1.〇 正しい。大転子部を強打して発生する事が多い。なぜなら、転倒した際に発生することが多いため。

2.〇 正しい。多くは内転型骨折である。なぜなら、転倒した際に、骨折線が内側上方へ向かいやすいため。

3.× 患側の「転子果長」ではなく棘果長は短縮する。なぜなら、棘果長は、上前腸骨棘から内果までの距離で、骨盤の影響を含む大腿骨や下腿の影響を含むため。
・転子果長とは、大転子から外果までの距離である。骨盤や大腿骨頸部の影響は含まない。

4.〇 正しい。大腿長軸圧を加えると強い疼痛がみられる。なぜなら、大腿骨の長軸方向に圧を加えると、その力が頸部骨折部位に集中すため。したがって、骨折部が刺激されて強い股関節部痛を生じる。

 

 

 

 

 

問題29.ラックマンテストで正しいのはどれか。

1.膝関節完全伸展位で実施する。
2.陳旧例の評価には不適切である。
3.エンドポイントがなければ陽性と評価する。
4.ハムストリングスを緊張させると評価しやすい。

解答

解説

ラックマンテストとは?

ラックマンテストとは、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

1.× 「膝関節完全伸展位」ではなく膝関節を20~30度屈曲で実施する。なぜなら、膝関節の軟部組織(後方関節包やハムストリングスなど)の緊張を防ぐため。

2.× 陳旧例(・急性期ともに)の評価には適切である。なぜなら、前十字靭帯を直接評価できるため。一方で、急性期では疼痛や腫脹のために判定しづらい場合もあり、むしろ陳旧例の方が評価しやすい。

3.〇 正しい。エンドポイントがなければ陽性と評価する。なぜなら、「前方移動量の増加」と「エンドポイントの消失」が陽性所見となるため。
・エンドポイントとは、骨頭の移動が止まる感触や終末感のことである。

4.× ハムストリングスを緊張させると評価「しにくい」。なぜなら、ハムストリングスを緊張させると、脛骨の前方引き出しの拮抗作用を持つため。

ハムストリングスとは?

ハムストリングスとは、3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指す。

大腿二頭筋
【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展、外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部

半膜様筋
【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

半腱様筋
【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

 

 

 

 

 

問題30.正しいのはどれか。

1.中足骨骨幹部骨折は介達外力で発生することが多い。
2.中足骨骨幹部疲労骨折は第1中足骨に好発する。
3.第5中足骨基部の裂離骨折は長腓骨筋の急激な収縮により発生する。
4.第5中足骨近位骨幹部にジョーンズ(Jones)骨折が起こる。

解答

解説
1.× 中足骨骨幹部骨折は、「介達外力」ではなく直達外力で発生することが多い。なぜなら、中足骨骨幹部は、上からの重量物落下や踏まれるなどの直接的打撃(直達外力)を受けて発生しやすいため。

2.× 中足骨骨幹部疲労骨折は、「第1中足骨」ではなく第2~3中足骨に好発する。なぜなら、第2・3中足骨は足のアーチ構造の中央部に位置し、歩行や走行時に繰り返し荷重応力を受けるため。
・行軍骨折とは、特に長時間の歩行や走行により引き起こされる疲労骨折である。第2中足骨で起こりやすい。行軍骨折と呼ばれていた理由として、軍隊の行軍訓練で起こっていたためである。最近はスポーツの過度の練習によって起こることが大多数となってきている。

3.× 第5中足骨基部の裂離骨折は、「長腓骨筋」ではなく短腓骨筋の急激な収縮により発生する。
・長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。
・短腓骨筋の【起始】腓骨外側面、前下腿筋間中隔、【停止】第5中足骨粗面、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。

4.〇 正しい。第5中足骨近位骨幹部にジョーンズ(Jones)骨折が起こる
・ジョーンズ(Jones)骨折とは、第5中足骨疲労骨折ともいい、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど素早い動きを繰り返して行うスポーツの競技選手によく発生する。ランニングやジャンプ動作による過度の体重負荷が、長時間、足部アーチに繰り返し加わることで発生するオーバーユースに起因するスポーツ障害である。

 

 

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