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問題66.機能的残気量で正しいのはどれか。
1.予備呼気量+残気量
2.予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
3.1回換気量-死腔量
4.肺胞換気量+死腔量
解答1
解説

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
1.〇 正しい。予備呼気量+残気量
これは、機能的残気量の説明である。機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。
・予備呼気量とは、安静時呼息位から強制呼息によって呼出できる量のことをいう。
・残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
2.× 予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
・予備吸気量とは、正常1回換気量を超えて吸気可能な最大空気量である。
・1回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。
・予備呼気量とは、安静時呼息位から強制呼息によって呼出できる量のことをいう。
3.× 1回換気量-死腔量
・1回換気量とは、安静時に意識せずに行っている呼吸1回あたりの換気量である。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が有効な換気量であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分はガス交換には無効な死腔換気量である。
・死腔量とは、口から肺の中で、ガス交換に関与しないスペースのこと。成人で約150mLである。
4.× 肺胞換気量+死腔量
・肺胞換気量とは、肺と血液の間で実際にガス交換に関与している呼吸気量のことである。
・死腔量とは、口から肺の中で、ガス交換に関与しないスペースのこと。成人で約150mLである。
問題67.呼吸調節で誤っている組合せはどれか。
1.頸動脈洞:酸素受容器
2.迷走神経:へーリング‐ブロイエル反射
3.横隔膜:吸息
4.延髄:呼吸中枢
解答1
解説
頸動脈洞反射(ツェルマーク・へーリング反射)とは、頸動脈を刺激することにより生じる迷走神経反射のことである。脈拍を抑えることを目的として利用されることがある(頸動脈洞マッサージ)。つまり、副交感神経優位になる。
求心路:舌咽神経
遠心路:迷走神経
1.× 頸動脈洞は、「酸素受容器」ではなく圧受容器(血圧センサー)である。ちなみに、酸素受容器(化学受容器)は頸動脈小体である。
・頸動脈洞とは、血圧(血圧変化)を感受する部位である。
・頚動脈小体とは、頚動脈の分岐部にある、米粒大の末梢化学受容器である。類似の末梢化学受容器としては他に大動脈小体がある。血中の酸素(O2)および二酸化炭素(CO2)の分圧(濃度)を検知し、またpHや温度の変化にも敏感で、呼吸調節システムの一部をなす。頚動脈小体の支配神経は頚動脈洞神経で、舌咽神経(IX)に入る求心性線維と迷走神経(Ⅹ)に由来する自律神経遠心性線維を含む。
2.〇 正しい。迷走神経:へーリング‐ブロイエル反射
・ヘーリング・ブロイエル反射とは、肺の伸展・縮小により肺伸展受容器が刺激された場合に、その刺激が迷走神経を介して延髄に伝達され、呼吸が抑制されることである。 吸気を抑制する肺膨張反射、呼気を抑制する肺縮小反射に分類される。遠心路は運動神経である。
3.〇 正しい。横隔膜:吸息
・横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。
・横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。
4.〇 正しい。延髄:呼吸中枢
・延髄とは、呼吸や循環、消化機能などの生命維持に関係する様々な中枢が集まっている。橋や延髄は脳幹と呼ばれる。
問題68.特異動的作用の説明で正しいのはどれか。
1.摂食時に腸管に逆蠕動を生じる。
2.吸息時に心音のⅡ音が分裂して聞こえる。
3.摂食後に肝臓における熱産生が増加する。
4.大脳基底核の障害により不随意運動が出現する。
解答3
解説
特異動的作用とは、食物摂取後の体温上昇である。摂取した栄養素の代謝過程で一部のエネルギーが熱として放出される。
1.× 摂食時に腸管に「逆蠕動」ではなく蠕動運動(順蠕動)を生じる。なぜなら、食物を口から胃・小腸へと送り出すため。ちなみに、逆蠕動運動がみられるのは、上行結腸である。逆蠕動運動は主に小腸の回腸や十二指腸で、内容物が逆流しないように働き、栄養吸収を促進する目的で行われる。
2.× 吸息時に心音のⅡ音が分裂して聞こえることと、特異動的作用の説明は直接関連がない。
・心音のⅡ音は、大動脈弁の閉鎖である。心室拡張の始まりに起こる音で、おもに大動脈弁閉鎖音(ⅡA)と肺動脈弁閉鎖音(ⅡP)となる。
・心音のⅡ音の分裂とは、心臓の第2心音(Ⅱ音)を構成する大動脈弁と肺動脈弁が閉じる音が、通常よりも分かれて聞こえる現象である。吸息時には右心系への静脈還流が増加し、肺動脈弁の閉鎖が遅れるため、大動脈弁との間に時間差が生じる。
3.〇 正しい。摂食後に肝臓における熱産生が増加する。なぜなら、摂食後には食物の消化・吸収・代謝過程においてエネルギーが消費され、特に肝臓での栄養代謝(糖新生・蛋白合成・脂肪代謝など)により熱が発生するため。
4.× 大脳基底核の障害により不随意運動が出現することと、特異動的作用の説明は直接関連がない。大脳基底核は、運動の制御に関与する脳領域であり、障害されると舞踏病やアテトーシスなどの不随意運動が出現する。しかし、これは神経生理の領域であり、摂食後の代謝や熱産生とは無関係である。
問題69.唾液に含まれているのはどれか。
1.アミラーゼ
2.トリプシン
3.ペプシン
4.リパーゼ
解答1
解説
1.〇 正しい。アミラーゼは、唾液に含まれている。
・アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2.× トリプシンとは、膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素の一つである。 膵臓から産出されるトリプシノーゲンという物質が、十二指腸内の酵素の働きによって変換される。 たんぱく質を分解し、小腸で吸収されやすくする働きがある。
3.× ペプシンとは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。
4.× リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。
問題70.成人健常者において最も体温が高くなる時間帯はどれか。
1.早朝(午前3〜6時)
2.昼(午前11時〜午後2時)
3.夕方(午後3時〜6時)
4.深夜(午後11時〜午前2時)
解答3
解説
1.× 早朝(午前3〜6時)は、1日のうちで最も体温が低い時間帯である。なぜなら、体温は体内時計によって調節されており、睡眠中は代謝活動が低下して熱産生が減るため。
2.× 昼(午前11時〜午後2時)は体温が上昇傾向にあるが、ピークではない。なぜなら、午前中の活動で体温は徐々に上昇し、上がりきる前であるため。
3.〇 正しい。夕方(午後3時〜6時)は、成人健常者において最も体温が高くなる。なぜなら、体温のリズムは、日中の活動・代謝の増加に伴って筋肉・肝臓などの代謝が最も活発であるため。また、交感神経活動・ホルモン分泌(コルチゾールなど)もピークを迎える。
4.× 深夜(午後11時〜午前2時)は、体温が低下していく。なぜなら、就寝に伴い代謝が低下し、体表血管が拡張して放熱が促されるため。
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