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問題101.貧血性梗塞が起こりにくい臓器はどれか。
1.脳
2.肝臓
3.心臓
4.腎臓
解答2
解説
貧血性梗塞とは、終動脈に支配される臓器、たとえば脳、心臓、腎臓、脾臓などの動脈における貧血による梗塞のことである。壊死部は蒼白あるいは多少黄色を呈する。間がたつほど元に戻りにくいため早い対応が重要である。
1.× 脳は、貧血性梗塞が起こりやすい。なぜなら、脳は機能的に終末動脈支配であり、側副血行路が乏しいためである。
2.〇 正しい。肝臓は、貧血性梗塞が起こりにくい臓器である。なぜなら、肝臓は二重血行支配(肝動脈と門脈の両方から血流を受けている)を持つため。
3.× 心臓は、貧血性梗塞が起こりやすい。なぜなら、冠動脈が終末動脈に近い分布を持ち、側副血行が乏しいため。
4.× 腎臓は、貧血性梗塞が起こりやすい。なぜなら、腎動脈が樹枝状に分岐して終末動脈を形成し、側副血行が乏しい構造をとるため。
問題102.過形成に分類されるのはどれか。
1.高血圧症による心肥大
2.前立腺肥大症による前立腺
3.ハチ刺されによる局所腫大
4.進行性筋ジストロフィーによる骨格筋の肥大
解答2
解説
過形成とは、外来の刺激に対する正常細胞の応答として細胞増殖が起こることによって、組織の体積が増加することである。外部からの刺激は生理的なものも異常なものも含む。
1.× 高血圧症による心肥大は、「肥大(病的肥大)」に該当する。
・肥大とは、細胞や組織・臓器の大きさが増して容量が増大する事である。病的肥大には、高血圧症や弁膜症に伴う心肥大、前立腺肥大に伴う膀胱壁の筋肥大などがある。
2.〇 正しい。前立腺肥大症によるか前立腺は、過形成に分類される。
・過形成とは、外来の刺激に対する正常細胞の応答として細胞増殖が起こることによって、組織の体積が増加することである。外部からの刺激は生理的なものも異常なものも含む。
3.× ハチ刺されによる局所腫大は、「炎症(炎症性浮腫)」に該当する。なぜなら、ハチ毒による炎症反応で血管透過性が亢進し、血漿成分が滲出するために腫脹が生じるため。
4.× 進行性筋ジストロフィーによる骨格筋の肥大は、「仮性肥大」に該当する。
・仮性肥大とは、ふくらはぎが異常に太くなることである。原因は、ふくらはぎに筋肉ではなく、脂肪や結合織が増えることにより、筋肉が再生されなくなるためで起こる。
問題103.非感染性の肉芽腫性病変はどれか。
1.リウマトイド結節
2.結核結節
3.ゴム腫
4.らい腫
解答1
解説
肉芽腫性炎症とは、増殖性炎症の一つであり、肉芽腫(マクロファージ、類上皮細胞、多核巨細胞の増生からなる結節性の肉芽)の形成が特徴である。肉芽腫は慢性炎症などで見られる。
1.〇 正しい。リウマトイド結節は、非感染性の肉芽腫性病変である。なぜなら、リウマトイド結節は自己免疫反応(関節リウマチに伴う免疫複合体反応)によって生じる、無菌性の炎症性結節であるため。
・リウマトイド結節とは、肘の外側や膝の前面など、圧迫されやすい部位の皮下にできる小豆大から大豆程度の大きさの硬いしこりである。
2.× 結核結節は、「感染性肉芽腫」である。
・結核結節とは、肺内の乾酪性肉芽腫ともいい、結核菌による感染症である結核症の病理像のひとつである。結核菌が肺胞に入り増殖すると、その周辺が炎症を起こし、好中球と肺胞のマクロファージによって死滅せずに結核菌が残った場合、マクロファージ内で増殖して滲出性の病巣となる。ちなみに、乾酪壊死(※読み:かんらくえし)とは、結核性滲出性病変でみられる壊死の一種で、壊死した細胞が白く固まってチーズ(乾酪)様の外観を呈す。原因はタンパク分解酵素を阻害する脂質が壊死巣に多く含まれることである。
3.× ゴム腫は、「感染性肉芽腫」である。ゴム腫は、梅毒の症状のひとつで、梅毒の原因は、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症する。
・ゴム腫とは、ゴムのような腫瘍のことをいい、ゴム腫は周りの細胞を破壊する。梅毒の経過晩期において、感染後3年以上を経過すると顕症梅毒としてゴム腫、梅毒によると考えられる心血管症状、神経症状、眼症状などが認められることがある。
4.× らい腫は、「感染性肉芽腫」である。らい腫とは、ハンセン病(らい病)の病型の一種で、らい腫型とも呼ばれる。
・ハンセン病とは、らい病とも呼ばれ、らい菌が体内に入り(感染)、引き起こされる(発症)病気である。痒みや痛みなどの自覚症状のない治りにくい皮疹で、白斑、紅斑、環状紅斑、結節など多彩である。成人の場合、日常生活の中で感染することはない。また感染したとしても発症は非常にまれである。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
問題104.補体の説明で誤っているのはどれか。
1.血清に多量に存在する。
2.食細胞の貪食作用を促進する。
3.免疫複合体により活性化される。
4.タンパク質一次構造の多様性を示す。
解答4
解説
補体とは、免疫反応を媒介する血中タンパク質の一群で、動物血液中に含まれる。補体は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、体内から排除する働きがある。
1.〇 正しい。血清に多量に存在する。なぜなら、補体は主に肝臓で産生され、血清中に可溶性の不活性型として存在し、免疫反応の際に活性化されるため。
・血清とは、血液から赤い成分や固まる成分を取り除いた、透明な液体部分である。
2.〇 正しい。食細胞の貪食作用を促進する。これをオプソニン効果という。
・貪食とは、貪食作用、食作用、ファゴサイトーシスともいい、体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用である。 貪食する対象は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)によって死滅した細胞、体内に侵入した異物や病原体、がん化した自己の細胞等である。
3.〇 正しい。免疫複合体により活性化される。
・免疫複合体とは、抗原に抗体が結合した抗原抗体複合体とそれに補体成分が結合した抗原抗体補体複合体をいう。
4.× タンパク質一次構造の多様性を示すのは、「抗体」の説明である。
なぜなら、補体は、特定の遺伝子でコードされた固定のタンパク質群であるため。一方、抗体は、可変領域をもつため一次構造が多様であるといえる。
・タンパク質一次構造とは、タンパク質をつくるアミノ酸が、どの順番でつながっているかを示す情報である。ちょうど文字が並んで文章になるように、アミノ酸の並び方がタンパク質の性質を決める基本の形である。
・抗体とは、液性免疫の中心となる存在で、病気の原因となる細菌やウィルスなどが体内に侵入したとき、異物として攻撃したり体外に排除する役割を担うタンパク質のことである。 免疫メカニズムに関与するリンパ球であるB細胞から産生・放出され、免疫グロブリンとも呼ばれる。
問題105.花粉症の病態で正しいのはどれか。
1.Tリンパ球により誘導される遅延型反応である。
2.細胞膜抗原に結合する抗体で誘導される細胞傷害反応である。
3.IgEが抗原を認識して誘導される即時型反応である。
4.免疫複合体によって誘導される組織障害反応である。
解答3
解説
花粉症とは、植物の花粉が原因(アレルゲン)となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気である。花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉がアレルゲンとなり生じる。Ⅰ型アレルギーではマスト細胞や好塩基球のIgEによる液性免疫が重要な役割を果たす。
1.× Tリンパ球により誘導される遅延型反応(Ⅳ型アレルギー)である。
・Ⅳ型アレルギーのことで、遅延型細胞性免疫やツベルクリン型と呼ばれる、感作T細胞が関与するアレルギーである。感作T細胞と抗原の反応によって産生・放出されたサイトカインが局所の細胞性免疫反応を活性化し、炎症と組織障害が生じる。ツベルクリン反応、接触性皮膚炎などに関連する。
2.× 細胞膜抗原に結合する抗体で誘導される細胞傷害反応(Ⅱ型アレルギー)である。
・Ⅱ型アレルギー(IgG、IgM)のことで、細胞傷害型である。細胞膜に付着している抗原(アレルゲン)と、抗体が結合して反応する。溶血性貧血・血小板減少症、重症無力筋症などである。ちなみに、抗体とは、液性免疫の中心となる存在で、病気の原因となる細菌やウィルスなどが体内に侵入したとき、異物として攻撃したり体外に排除する役割を担うタンパク質のことである。 免疫メカニズムに関与するリンパ球であるB細胞から産生・放出され、免疫グロブリンとも呼ばれる。
3.〇 正しい。IgEが抗原を認識して誘導される即時型反応(Ⅰ型アレルギー)である。
これが、花粉症の病態である。
・Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
・IgEとは、Ⅰ型アレルギーに関与する抗体で、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。
4.× 免疫複合体によって誘導される組織障害反応(Ⅲ型アレルギー)である。
・Ⅲ型アレルギー(IgG)のことで、免疫複合体型である。血清病、リウマチ、腎炎などである。抗原抗体反応の結果産生された抗原-抗体複合体が、小血管壁に付着することにより起こる。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
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