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問題6.小循環に属するのはどれか。
1.門脈
2.臍静脈
3.肺動脈
4.上腕動脈
解答3
解説
1.× 門脈は、体循環の一部(特殊な二重毛細血管系)である。
・門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。
2.× 臍静脈は、胎児循環に属する血管である。
・臍静脈とは、胎児循環で胎盤から胎児に血液を送る血管である。一方、臍動脈とは、胎児循環で胎児から胎盤に血液を送る血管のことである。
・胎盤循環とは、胎児期の特殊な血液循環の総称である。胎児は、臍帯静脈を通じて胎盤から酸素と栄養を受け取り、体内で生じた二酸化炭素や老廃物は、臍帯動脈を通じて胎盤に運ばれ、母体の血液との間で酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物の交換が行われる。
3.〇 正しい。肺動脈は、小循環(肺循環)に属する血管である。
・肺動脈とは、 心臓から肺に血液を送るための血管である。肺動脈は、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。一方、肺静脈は、酸素化された血液を運ぶ唯一の静脈である。
4.× 上腕動脈は、体循環(大循環)に属する血管である。なぜなら、上腕動脈は、左心室から出た血液が大動脈を経て腕へ向かう経路であるため(体循環の末梢動脈)。
問題7.ホルモンを運搬するのはどれか。
1.リンパ液
2.血液
3.唾液
4.脳脊髄液
解答2
解説
1.× リンパ液とは、血管から染み出した血漿やタンパク質の成分などが、毛細リンパ管に再吸収されたものである。働きとして、老廃物の回収などの働きがある。
2.〇 正しい。血液は、ホルモンを運搬する。なぜなら、内分泌腺(内分泌細胞)は、ホルモンを直接血中に分泌し、血流を介して遠隔の標的細胞に作用するため。
3.× 唾液は、唾液腺から分泌される消化補助液であり、アミラーゼ(消化酵素)、ムチン(潤滑成分)、抗菌物質などが含まれる。
4.× 脳脊髄液とは、中枢神経系を保護・栄養する液体である。脳脊髄液は、脳室・くも膜下腔に存在し、神経組織の代謝産物を除去したり、機械的保護を担う液体である。
問題8.関節運動の表示で正しいのはどれか。
1.肩関節の屈曲は後方挙上をさす。
2.手関節の屈曲は背屈をさす。
3.足関節の屈曲は底屈をさす。
4.体幹の屈曲は後屈をさす。
解答3
解説
1.× 肩関節の屈曲は、「後方挙上」ではなく前方挙上をさす。
2.× 手関節の屈曲は、「背屈」ではなく掌屈をさす。
3.〇 正しい。足関節の屈曲は、底屈をさす。※ただし令和7年現在は、足関節屈曲・伸展という表現は行わないことになっている(2022年4月以降、関節可動域表示の改訂)。
4.× 体幹の屈曲は、「後屈」ではなく前屈をさす。
問題9.カタル性炎で正しいのはどれか。
1.体腔に漿液が貯留する。
2.結合組織内に多量の好中球が浸潤する。
3.粘膜の炎症で粘液分泌の亢進が著しい。
4.線維素の析出が著しい。
解答3
解説
1.× 体腔に漿液が貯留する。
これは、「漿液性炎」の特徴である。
・漿液性炎とは、液体成分主体の滲出物の炎症で急性期炎症初期の炎症性充血を伴う病変のことである。 毛細血管網の発達した組織に起こりやすく、一般的に滲出液中にフィブリノゲンを含まないため、淡黄色でほぼ透明である。
2.× 結合組織内に多量の好中球が浸潤する。
これは、「化膿性炎」の特徴である。
・化膿性炎とは、滲出物に多量の好中球を含む炎症で、漿液に混ざっているものを漿液化膿性炎、線維素が混ざっているものを線維素化膿性炎という。膿性カタルや蜂窩織炎があてはまる。
3.〇 正しい。粘膜の炎症で粘液分泌の亢進が著しい。
これは、「カタル性炎」の特徴である。
・カタル性炎症とは、粘膜の滲出性炎症のことである。したがって、粘液の分泌が亢進する。この状態では、粘膜の保護と清浄化が目的で、炎症反応により粘膜が過剰に粘液を産生して防御しようとする特徴を持つ。例えば、気管支炎や胃炎などが典型的なカタル性炎である。
4.× 線維素の析出が著しい。
これは、「線維素性炎」の特徴である。
・線維素性炎とは、血漿の滲出物に大量のフィブリノゲンを含む炎症のことである。生体組織の滲出液中に線維素(フィブリン)が析出し、細網状に沈着する。これは、漿膜、粘膜、肺などに好発し、代表的な例としては、胸膜炎や腹膜炎などが挙げられる。
問題10.インフォームドコンセントで正しいのはどれか。
1.わが国では「根拠に基づく医療」と訳される。
2.ヘルシンキ宣言に記載されている用語である。
3.パターナリズムに基づく医療である。
4.患者本人より家族の意思決定が優先される。
解答2
解説
インフォームドコンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味し、医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を決定し、同意のうえで医療を行うことを指す。
1.× わが国では「根拠に基づく医療」と訳されるのは、EBM(エビデンス)である。
「根拠に基づく医療」は、EBM(Evidence-Based Medicine)の訳語である。
2.〇 正しい。ヘルシンキ宣言に記載されている用語である。
・ヘルシンキ宣言とは、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の基盤となる倫理的原則を示しているものである。ニュルンベルク綱領とは、医学的研究のための被験者の意思と自由を保護するガイドラインである。ニュルンベルク裁判で問題とされた人体実験において遵守されるべき基本原則を定めた倫理綱領である。1947年に提示された、研究目的の医療行為を行うにあたって厳守すべき10項目の基本原則である。後にヘルシンキ宣言として人を対象とする研究の倫理指針につながった。
3.× パターナリズムに基づく医療である「とはいえない」。むしろ、インフォームド・コンセントはパターナリズムの反対概念である。
・パターナリズム(父権主義)とは、弱い立場の者の意思・判断に関係なく強い立場の者が介入・干渉し、それに従うべきだとする考えのことである。医療において、患者の意思にかかわらず、医師などの専門家に任せた治療を進めることを指す。
4.× 逆である。「家族」より「患者本人」の意思決定が優先される。なぜなら、インフォームド・コンセントの核心は「本人の理解と自発的同意」であるため。したがって、原則として家族や第三者の意向よりも本人の意思が尊重されることが多い(ただし、患者が意識障害・判断不能などの場合に限り、家族が代理同意を行うことがある)。