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問題61.物質を消化する酵素を含むのはどれか。
1.核
2.小胞体
3.リソソーム
4.ミトコンドリア
解答3
解説
1.× 核は、遺伝情報(DNA)を保管し、RNAを合成する中枢である。主に、遺伝子発現や細胞制御を行う。
2.× 小胞体とは、①粗面小胞体と②滑面小胞体に分類される。
①粗面小胞体は、表面にリボソームが付着し蛋白質を合成する。
②滑面小胞体は、リボソームが付着していない小胞体の総称のことで、コレステロールの合成や分解、脂質代謝、薬物の解毒、カルシウムの貯蔵などの機能を担っている。
3.〇 正しい。リソソームは、物質を消化する酵素を含む。リソソームとは、細胞質内代謝物の消化と貯蔵に関与する細胞小器官である。
4.× ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。
問題62.抗体を産生するのはどれか。
1.形質細胞
2.マクロファージ
3.ヘルパーTリンパ球
4.細胞傷害性Tリンパ球
解答1
解説
1.〇 正しい。形質細胞は、抗体を産生する。
・形質細胞とは、B細胞が成熟したもので、抗体を作って自然免疫の働きを助ける。つまり、体に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する作用を持つ蛋白質(抗体)を産生する。
2.× マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
3.× ヘルパーTリンパ球とは、サイトカインを分泌して免疫系の司令塔のような役割を担うリンパ球である。他の免疫細胞(B細胞、細胞傷害性T細胞など)の働きを活性化させるなど、免疫応答の中心的な役割を果たす。
4.× 細胞傷害性Tリンパ球とは、Tリンパ球において、ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃できるリンパ球のことである。
問題63.フィブリンを分解するのはどれか。
1.トロンビン
2.プラスミン
3.セロトニン
4.カルシウムイオン
解答2
解説
線維素溶解とは、血管から出血した際に一次止血→二次止血が終わり、血管の流れが元通りになると、血栓は血液が流れるのにジャマになるため、血栓を除去する作用が始まる。この現象を線維素溶解、略して「線溶」と呼ぶ。血栓ができると、血漿中に存在するプラスミノーゲンがプラスミノゲンアクチベーターにより活性化され、プラスミンという強力なたんぱく質分解酵素(線溶物質)になり、フィブリンを分解する。
1.× トロンビンとは、血小板の凝集を増強するとともに、強固なフィブリン網を形成し、血栓を補強する(二次止血)。つまり、凝固因子の活性化の最後に活性化する因子である。血液凝固の最終過程では、トロンビンの作用でフィブリノーゲンがフィブリンに変化する。トロンビンの作用を阻害する抗凝固薬にヘパリンがある。
2.〇 正しい。プラスミンは、フィブリンを分解する。フィブリンを分解することで凝固した血液を溶かす。線維素溶解とは、血管から出血した際に一次止血→二次止血が終わり、血管の流れが元通りになると、血栓は血液が流れるのにジャマになるため、血栓を除去する作用が始まる。この現象を線維素溶解、略して「線溶」と呼ぶ。血栓ができると、血漿中に存在するプラスミノーゲンがプラスミノゲンアクチベーターにより活性化され、プラスミンという強力なたんぱく質分解酵素(線溶物質)になり、フィブリンを分解する。
3.× セロトニンとは、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でもある。
4.× カルシウムイオンとは、血液凝固因子で、クエン酸は、カルシウムイオンと反応してクエン酸カルシウムとなることで血漿からカルシウムイオンを除去し、抗凝固作用を示す。ちなみに、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
・血液凝固因子とは、Ⅰ:フェブリノーゲン、Ⅱ:プロトロンビン、Ⅲ:トロンボプラスチン、Ⅳ:カルシウムイオン、Ⅴ:プロアクセレリン、Ⅵ:(欠番)、Ⅶ:プロコンバーチン、Ⅷ:抗血友病因子、Ⅸ:クリスマス因子、Ⅹ:スチュアート因子、Ⅺ:PTA、Ⅻ:ハーゲマン因子、XIII:フェブリン安定化因子である。
問題64.静脈が属するのはどれか。
1.弾性血管系
2.抵抗血管系
3.交換血管系
4.容量血管系
解答4
解説
1.× 弾性血管系とは、大動脈や動脈のことで、壁内には弾性線維が豊富に存在し、この動脈の弾性が、断続的な心拍出を連続的な血流に変える特徴を持つ。
2.× 抵抗血管系とは、細動脈のことで、平滑筋が豊富で、神経性あるいは液性因子により血管平滑筋の収縮が調節される特徴を持つ。普段から血管平滑筋は持続的な緊張があり、血流抵抗を形成する。細動脈は抵抗血管と呼ばれる。
3.× 交換血管系とは、毛細血管のことで、組織と血液の間で酸素・二酸化炭素・栄養・老廃物などの物質交換を行う場である。
4.〇 正しい。容量血管系は、静脈が属する。なぜなら、静脈は、壁が薄く弾性に富み、容易に拡張して多量の血液を貯留できるため。静脈は動脈に比べ、中膜が多く弾性線維も少ない特徴を持つ。したがって、全血液の約70%が静脈に存在し、必要に応じて血液を貯めたり戻したりして、循環血液量を調整する。
問題65.ヘモグロビンの酸素解離曲線が左方偏移する要因はどれか。
1.血圧の上昇
2.血液のpHの上昇
3.血液の温度の上昇
4.血液の二酸化炭素分圧の上昇
解答2
解説
①PaCO2の上昇(pHの低下)
②血中2,3-DPGXの上昇
③H+の上昇(pHの低下)
④血液温度上昇
1.× 血圧の上昇は、酸素解離曲線に直接影響しない。なぜなら、酸素解離曲線は主に血液中の化学的条件(pH・温度・CO₂・2,3-DPG)によって決まるため。血圧は、力学的要因である。
2.〇 正しい。血液のpHの上昇は、ヘモグロビンの酸素解離曲線が左方偏移する要因である。なぜなら、pHが高い(=H⁺が少ない)状態では、ヘモグロビンと酸素の結合が強くなり、酸素を組織に放出しにくくなるため。これは、ボーア効果と呼ばれる(※下参照)。
3.× 血液の温度の上昇は、酸素解離曲線を右方偏移させる要因である。なぜなら、温度が高い(発熱時や運動中)は、酸素結合力が低下するため。したがって、酸素を放しやすくなる(親和性低下)。
4.× 血液の二酸化炭素分圧の上昇は、酸素解離曲線を右方偏移させる要因である。なぜなら、CO₂が増えると炭酸(H₂CO₃)が生成され、pHが低下(酸性化)するため。例えば、激しい運動中はCO₂産生が増加し、酸素が筋組織に効率的に供給される。
ボーア効果とは、血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動すること。ヘモグロビンの酸素解離曲線がpHの低下や温度上昇などの変化によって右方変移することで、末梢の酸素を解離しやすくなり、pHの上昇や温度低下などで左方偏移することで結合しやすくなる効果である。
国試オタク 