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問題11.医療危機管理の概念でないのはどれか。
1.インフォームド・コンセント
2.リスク・マネジメント
3.インシデントレポート
4.ヒヤリハット
解答1
解説
1.× インフォームド・コンセントは、「医療危機管理」の概念ではなく医療倫理の概念である。
インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。
2.〇 リスク・マネジメントは、医療危機管理の概念である。
リスク・マネジメントとは、医療行為に伴うリスクを予測・回避し、事故やトラブルを未然に防ぐ管理体制のことである。医療安全管理の基本といえる。
3.〇 インシデントレポートは、医療危機管理の概念である。
・インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。
4.〇 ヒヤリハットは、医療危機管理の概念である。
・ヒヤリハットとは、危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のことである。
問題12.手段的ADLに含まれるのはどれか。
1.食事
2.更衣
3.買い物
4.入浴
解答3
解説
①手段的自立(日用品の買い物ができますか、自分で食事の用意ができますか、請求書の支払いができますか、銀行貯金・郵便貯金の出し入れが自分でできますかバスや電車を使って1人で外出できますか)、
②知的能動性(年金などの書類が書けますか、新聞を読んでいますか、本や雑誌を読んでいますか、健康についての記事や番組に関心がありますか)
③社会的役割(友だちの家を訪ねることがありますか、家族や友だちの相談にのることがありますか、病人を見舞うことがありますか、若い人に自分から話しかけることがありますか)となる。
1~2,4.× 食事/更衣/入浴は、基本的ADL(BADL)に含まれる。
手段的日常生活動作(IADL)とは、日常生活上の、より高度で複雑な動作のこと(買い物、洗濯、掃除、金銭管理、服薬管理など)である。
ADLは、①BADL(基本的日常生活動作)と、②IADL(手段的日常生活動作)に大別される。
①BADL:食事、排泄、入浴、整容など基本的な欲求を満たす身の回りの動作。
②IADL:買い物、洗濯、電話、服薬管理などの道具を用いる複雑な動作。
3.〇 正しい。買い物は、手段的ADL(IADL)に含まれる。手段的ADL(IADL)は「地域・社会で自立生活を営むために必要な活動」であり、買い物・交通機関の利用・金銭管理・調理・服薬管理などが代表的。生存に必須ではないが、社会生活の自立度を測る重要指標。
問題13.痛風で正しいのはどれか。
1.女性に多い。
2.高尿酸血症を伴う。
3.近位指節間(PIP)関節に好発する。
4.食事療法ではプリン体の摂取を勧める。
解答2
解説
痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
1.× 「女性」ではなく男性に多い。男女比は約20対1と言われている。発症の大半は中年男性である
痛風は高尿酸血症が背景にあるが、女性ではエストロゲンが尿酸排泄を促進するため閉経前は少ない。
2.〇 正しい。高尿酸血症を伴う。血清尿酸値が 7.0 mg/dL を超えると高尿酸血症と定義され、これが持続すると尿酸塩結晶が関節に沈着し痛風発作を起こす。
3.× 「近位指節間(PIP)関節」ではなく第一中足趾節関節(母趾MTP関節)に好発する。近位指節間(PIP)関節は、関節リウマチに典型的である。
4.× 食事療法ではプリン体の摂取を「勧める」のではなく控える。尿酸は、プリン体を代謝した際に最終産物として産生される物質である。プリン体とは、プリン塩基と呼ばれる化学構造をもつ物質の総称である。尿酸は、プリン体がエネルギーとして使われて不要となった老廃物の1つである。通常、尿酸は、血液中と尿中に溶け、常に一定量に保たれている。しかし、生活習慣で体内に蓄積される尿酸の量が増え、高尿酸血症になるというしくみである。
高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く男女比約20:1の割合である。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れによるものが大半である。食事ではアルコールは重要であり、特にビールのとりすぎは高尿酸血症の原因としてよく知られている。
続発性高尿酸血症とは、別の病気や薬剤などによって二次的に高尿酸血症となるもの。原因として、白血病、腎不全、骨髄腫、先天性尿酸代謝異常、利尿菜やアスピリンの服用などである。高尿酸血症は、体内における産生亢進(産生過剰型)と腎からの排泄低下(排泄低下型)などに起因する。
問題14.生命徴候(バイタルサイン)に含まれないのはどれか。
1.体温
2.脈拍
3.呼吸
4.顔色
解答4
解説
1~3.〇 体温/脈拍/呼吸/は、生命徴候(バイタルサイン)に含まれる。
・バイタルサインとは、生命徴候のことで、脈拍、呼吸、体温、血圧、意識レベルの5つである。
4.× 顔色は、生命徴候(バイタルサイン)に含まれない。顔色(蒼白・紅潮・チアノーゼなど)は重要な観察所見だが、定量的測定が難しく、バイタルサインとは区別される。
問題15.創傷の処置で正しいのはどれか。
1.開放創は消毒液で洗浄する。
2.開放創の挫滅組織は切除する。
3.開放創は乾燥するように保つことが重要である。
4.縫合閉鎖後96時間まで消毒液を塗布する。
解答2
解説
(※図引用:「これからの正しい創傷治療―湿潤療法の取り組み―」安藤 善郎)
1.× 開放創は、「消毒液」で生理食塩水または水道水(流水)を用いることが一般的である。なぜなら、消毒液は、細菌を殺すだけでなく、創部の細胞(線維芽細胞など)にもダメージを与えてしまい、創傷治癒を妨げる可能性があるため。
2.〇 正しい。開放創の挫滅組織は切除する。壊死や挫滅組織は、デブリードマン(壊死組織切除)の対象となる。なぜなら、壊死組織は感染源となり、肉芽形成を妨げるため。創傷治癒を促進するためには、挫滅した組織や壊死組織を切除して健常組織からの治癒を促す必要がある。
3.× 開放創は、「乾燥」ではなく湿潤するように保つことが重要である。湿潤環境により細胞遊走が促進され、疼痛も軽減する。
4.× 縫合閉鎖後96時間まで消毒液を塗布する必要はない。なぜなら、清潔に縫合した手術創は感染リスクが低く、ガーゼ被覆や生理食塩水での洗浄で十分であるため。消毒液を長期間使用すると皮膚障害や治癒遅延を招く。一般に術後24〜48時間でガーゼ除去、その後は創部清潔を保つだけでよい。