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問題106.ウイルスと発癌の組合せで正しいのはどれか。
1.エプスタイン・バーウイルス:バーキット(Burkitt)腫瘍
2.A型肝炎ウイルス:肝細胞癌
3.ヒト免疫不全ウイルス:成人T細胞白血病
4.ヒトパピローマウイルス:大腸癌
解答1
解説
1.〇 正しい。エプスタイン・バーウイルス:バーキット(Burkitt)腫瘍
・バーキットリンパ腫とは、悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫に分類される高悪性度のB細胞リンパ腫である。成人では悪性リンパ腫の1~2%程度あるが、小児では25~40%を占め、比較的若い人に多く発症する。女性1人に対し、男性が2~3人で男性に多い傾向がある。キスを介して感染する。
2.× 肝細胞癌と関連するのは、「A型肝炎ウイルス」ではなくB型・C型肝炎ウイルスである。
・A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
・肝細胞癌とは、肝臓の細胞ががん化したものである。肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響している。肝臓は、肝動脈と門脈の二重血流支配を受けており、肝細胞癌は主に肝動脈からの血流支配を受けている。そのため、肝細胞癌を支配する肝動脈を塞栓物質で血流遮断することで治療する。
3.× 成人T細胞白血病と関連するのは、「ヒト免疫不全ウイルス」ではなくヒトT細胞白血病ウイルス1型である。
・ヒト免疫不全ウイルスとは、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。
・成人T細胞白血病とは、HTLV-Ⅰ(ヒトT細胞白血病ウイルス)というウイルス感染が原因である感染症である。このウイルスに感染した白血球中のT細胞ががん化し、それが無制限に増殖することで発症する。主に母乳を介して母子感染し、長い潜伏期間を経た後、成人T細胞白血病を発症することが多い。
4.× ヒトパピローマウイルスと関連するのは、「大腸癌」ではなく子宮頸癌である。
・大腸癌の危険因子として、潰瘍性大腸炎や生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒などが挙げられる。生活習慣の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関与していると考えられている。
・子宮頸がんとは、子宮頸部(子宮下部の管状の部分)に生じるがんのことである。子宮頸がんは、子宮がんのうち約7割程度を占める。近年、20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっている。子宮頸がんの原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染である。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染する。初期では無症状だが、進行するにつれて帯下の増加や悪臭のある帯下、周囲臓器の浸潤による疼痛などの症状が現れる。
問題107.小児に多い悪性腫瘍はどれか。
1.胃癌
2.ウィルムス(Wilms)腫瘍
3.大腸癌
4.腎細胞癌
解答2
解説
1.× 胃癌は、成人(特に中高年) に多い。
・胃癌の危険因子は、塩蔵食品、ヘリコバクター・ピロリ感染、アルコール、喫煙、遺伝などがある。 一方、リスクを下げるものとして野菜・果物、緑茶などがある。ちなみに、塩蔵品とは、魚介類など腐敗しやすい食品を食塩に漬けて細菌を繁殖させにくくし、長期保存できるように加工された食品である。塩蔵品には、塩蔵魚卵(たらこ、いくらなど)、塩蔵魚(めざし、塩サケなど)や塩辛、練りうになどがある。
2.〇 正しい。ウィルムス(Wilms)腫瘍は、小児に多い悪性腫瘍である。ウィルムス腫瘍とは、胎児期の腎芽細胞由来の悪性腫瘍で、小児(特に5歳以下)に多い。遺伝子異常(WT1遺伝子など)が関与する。腹部腫瘤を主訴に発見されることが多く、小児悪性固形腫瘍の中で神経芽腫に次いで頻度が高い。
3.× 大腸癌は、成人(特に高齢者)に多い。
・大腸癌の危険因子として、潰瘍性大腸炎や生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒などが挙げられる。生活習慣の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関与していると考えられている。
4.× 腎細胞癌は、成人(特に中高年男性)に多い。
・腎細胞癌とは、腎臓の細胞ががん化したものである。進行に伴い、血尿が出たり、背中・腰の痛み、腹部のしこり、足のむくみ、食欲不振、吐き気や便秘、おなかの痛みなどが生じたりする。
問題108.両親の一方が罹患者で子供の半数に男女差なくみられる疾患はどれか。
1.先天緑赤色覚異常
2.血友病A
3.ダウン(Down)症候群
4.家族性大腸ポリポーシス
解答4
解説
血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。血友病の検査では、血が止まりにくいかどうかを調べるため、はじめに「血小板数」「プロトロンビン時間(PT)」「活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)」の3つを測定する。そこでAPTTだけが正常よりも延長している場合に血友病が疑われる。
【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下
【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。
【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション
(※参考:「血友病」Medical Note様HP)
1~2.× 先天緑赤色覚異常/血友病Aは、伴性劣性遺伝(X染色体劣性遺伝) である。したがって、男性に多い(女性は保因者が多い)。
2.× 血友病Aは、伴性劣性遺伝(X染色体劣性遺伝) である。したがって、男性に多い(女性は保因者が多い)。
3.× ダウン(Down)症候群は、染色体異常(21トリソミー) であり、遺伝形式は「偶発的発生」が多い。両親の一方が罹患者とはいいにくく、母体の高齢妊娠(35歳以上)ではダウン症のリスクが上がる。
4.〇 正しい。家族性大腸ポリポーシスは、両親の一方が罹患者で子供の半数に男女差なくみられる疾患である。
・家族性大腸ポリポーシスとは、常染色体優性遺伝で前がん病変である大腸ポリープが数百から数千個生じ、そこから大腸がんが発生する腫瘍症候群である。 発症は平均16歳であり、35歳までには95%の家族性大腸ポリポーシス保因者にポリープが生じる。
常染色体劣性遺伝とは、常染色体上の遺伝子の変異が2つある場合に発症する遺伝形式である。男性と女性の両方に現れる。
問題109.WHOの健康の概念で誤っているのはどれか。
1.健全な精神は健全な肉体に宿る。
2.最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。
3.人間集団が健康であることは平和と安寧を得る上で不可欠である。
4.健康は身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた良好な状態をいう。
解答1
解説
WHO憲章では以下のように定義している。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」また、同憲章にはこんなことも謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。」「全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する。」「ある国が健康の増進と保護を達成することは、全ての国に対して価値を有する。」つまり、健康が個人にとって、また国家にとっても極めて大切なものであり、その達成に向けて個人と国家が協力していくことが必要ということである。これが既に半世紀以上前に作成されており、今でもなお憲章としての意味を持ち続けているのである。
(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)
1.× 健全な精神は健全な肉体に宿る。
これは、古代ローマ詩人ユウェナリスの言葉に由来する。現代では、スポーツスローガンとして使われることがある。
2.〇 最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。これは、WHO憲章の第一章第一条(目的)において「世界保健機関の目的は、すべての人民が可能な最高の健康水準に到達することにある」と記載されている(※引用:「世界保健機関憲章」厚生労働省HPより)
3.〇 人間集団が健康であることは平和と安寧を得る上で不可欠である。これは、WHO憲章におい「すべての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する」と記載されている(※引用:「世界保健機関憲章」厚生労働省HPより)。
4.〇 健康は身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた良好な状態をいう。WHO憲章の健康の定義において、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」と記載されている(引用:「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」厚生労働省HPより)
問題110.プライマリ・ヘルス・ケアとして適切でないのはどれか。
1.普通にみられる傷病の治療を行う。
2.包括的に地域住民の健康管理を行う。
3.疾病予防や慢性病患者の生活管理を行う。
4.専門的医療として高度先進医療を提供する。
解答4
解説
プライマリヘルスケアは、アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱されたものである。地域住民が一次的に利用する保健医療サービスを指す。
提唱元:アルマ・アタ宣言(WHOとUNICEF)
概念:「すべての人々に健康を」を目標に、病気の治療よりも予防対策や健康管理に重点を置いた保健活動
【4つの原則】
①住民のニーズに基づくこと
②地域資源の有効活用
③住民参加
④農業・教育・通信・建設・水利等、多分野間の協調と統合
【8つの活動項目】
①健康教育(ヘルスプロモーション)
②食料の供給と栄養の改善
③安全な飲料水の供給と基本的な環境衛生
④母子保健サービス(家族計画を含む)
⑤主要な感染症の対策(予防接種)
⑥風土病の対策
⑦簡単な病気やけがの治療(プライマリケア)
⑧必須医薬品の供給
(※参考:「プライマリ・ヘルス・ケア」特定非営利活動法人シェア様HPより)
1.〇 正しい。普通にみられる傷病の治療を行う。地域住民が最初にアクセスできる基本的医療サービスである。特殊で高度な治療よりも、住民に多い疾患(感染症・生活習慣病・外傷など)への対応が中心となる。
2.〇 正しい。包括的に地域住民の健康管理を行う。「住民参加型の包括的保健医療」として構想され、医療だけでなく保健・衛生・教育を含む。単なる病気の治療にとどまらず、健康増進・疾病予防・母子保健・栄養改善などを包括的に行う。
3.〇 正しい。疾病予防や慢性病患者の生活管理を行う。治療だけでなく、一次予防(予防接種・衛生指導)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(慢性疾患の生活管理)を含む。住民が自らの健康を維持できるよう支援することが重視される。
4.× 専門的医療として高度先進医療を提供することは、プライマリ・ヘルス・ケアの範囲外である。なぜなら、高度先進医療(心臓移植、ロボット手術、がんの最先端治療など)は専門病院や三次医療機関で行われることであるため。