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問題96.脂肪を検出するのに用いられる染色法はどれか。
1.オイルレッドO染色
2.コッサ染色
3.ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色
4.ベルリン青染色
解答1
解説
1.〇 正しい。オイルレッドO染色は、脂肪を検出するのに用いられる染色法である。
・オイルレッドO染色とは、脂肪を赤く染めて観察する方法である。例えば肝臓や血管の組織を調べるときに使われ、脂肪がどこにどれくらいあるかが一目でわかる。水に溶けにくい色素を使うため、脂肪だけが赤く浮かび上がり、他の部分は染まらない。脂肪肝や動脈硬化の研究や診断に役立つ。
2.× コッサ染色とは、体の中にたまったカルシウムを黒く染めて調べる方法である。石のように硬い成分が組織に沈着している場所を見やすくするために使われる。例えば、血管や心臓の弁にカルシウムがたまると、動きが悪くなったり病気を引き起こしたりする。
3.× ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色とは、最も基本的で広く使われる組織染色法である(脂肪を特異的に染めることはできない)。ヘマトキシリンは細胞の核を青紫色に、エオジンは細胞の外側や筋肉・結合組織を赤やピンク色に染める。これにより細胞の形や配置がはっきり見え、病気の有無や種類を判断しやすくなる。病理診断の第一歩として欠かせない方法である。
4.× ベルリン青染色とは、体内にたまった鉄を青色に染めて調べる方法である。鉄は血液の成分だが、異常に多いと肝臓などに沈着して病気を起こす。ベルリン青染色を行うと、鉄がある部分だけが濃い青に見え、どこにどれくらい蓄積しているかが一目で分かる。鉄代謝の異常や肝臓の病気を調べるときによく用いられる。
問題97.疾病の発生原因で内因に属するのはどれか。
1.栄養障害
2.内分泌かく乱物質
3.免疫
4.水
解答3
解説
1.× 栄養障害は、外因に属する。なぜなら、栄養障害は食事の過不足によるため。例えば、ビタミンD不足で起こるくる病、鉄欠乏による貧血などは典型的な外因性疾患である。
2.× 内分泌かく乱物質は、外因に属する。なぜなら、内分泌かく乱物質は環境中の化学物質によるため。例えば、環境ホルモン(ビスフェノールAなど)は、外部から体内に侵入してホルモン作用(内分泌異常や生殖機能低下)を乱す。
3.〇 正しい。免疫は、内因に属する。なぜなら、免疫系は本来、自己と非自己を識別して体を守るが、過剰または異常反応が疾病を引き起こすため。例えば、①自己免疫疾患(例:関節リウマチ、橋本病)、②アレルギー疾患(例:気管支喘息、花粉症)、③免疫不全(例:原発性免疫不全、後天性免疫不全症候群)などが該当する。
4.× 水は、外因に属する。なぜなら、水質汚染や飲水不足・過剰摂取による影響は体外環境に由来するため。
病因とは、病気の原因をといい、①内因と②外因に分けられる。
①内因とは、生体側の因子で,病気にかかりやすい準備状態を指す。内因のみでは病気は発現しない。内因は素因ともいう。
例:①生理的素因(年齢、人種、性など)、②病理的素因(個人的素因:皮膚癌を生じやすい紅皮症、アレルギー体質、糖尿病の易感染性など)
②外因とは、外部から生体に対し障害性に働くものをいう。
例:①栄養的外因(蛋白質過剰による痛風、ビタミンB1欠乏による脚気など)、②物理的外因(外傷、熱傷、放射線障害など)、③化学的外因(重金属中毒、医薬品、体内で産生されるエンドトキシン、アンモニア、アセトンなど)、④病原微生物(ウイルス、細菌、原虫など)
問題98.褐色萎縮で沈着するのはどれか。
1.胆汁色素
2.ヘモジデリン
3.メラニン
4.リポフスチン
解答4
解説
1.× 胆汁色素は、褐色萎縮とは無関係である。
・胆汁色素(ビリルビンなど)は、赤血球崩壊により生成され、肝臓で代謝されて胆汁中に排泄される。異常に蓄積すると黄疸として現れる。
2.× ヘモジデリンは、褐色萎縮とは無関係である。
・ヘモジデリンとは、ヘモグロビンの鉄を含む色素である。成人男性は50mg/kg、成人女性は35mg/kgの鉄分を体内に持ち、そのうちの約2/3はヘモグロビンの構成成分として用いられている。残りの1/3のうちほとんどは、フェリチンやヘモジデリンといった貯蔵鉄として、脾臓、骨髄、肝臓中に含まれる。
3.× メラニンは、褐色萎縮とは無関係である。
・メラニンとは、肌や毛髪・瞳の色を構成する黒色の色素のことで紫外線から皮膚の細胞を守る働きがある。皮膚の基底層や毛髪の毛母細胞にあるメラノサイトで生成される。
4.〇 正しい。リポフスチンは、褐色萎縮で沈着する。
・リポフスチンとは、加齢とともに 蓄積する老化色素であり、血管に溜まることでくすみの原因になると考えられている。特に心筋などの長寿命な細胞での沈着が一般的である。
褐色萎縮とは、細胞や組織の萎縮に伴い、リポフスチンという色素が細胞内に蓄積する病理学的変化を指す。このリポフスチンは、細胞の老化や損傷、長期間のストレスによって生じた脂質の過酸化物が蓄積したものである。
問題99.循環障害の定義で誤っているのはどれか。
1.うっ血とは動脈血が組織や臓器にうっ滞している状態
2.充血とは組織、臓器内を流れる血液量が過剰の状態
3.血栓症とは凝固血が血管壁に付着している状態
4.塞栓症とは血管内異物により小血管腔が閉塞する状態
解答1
解説
1.× うっ血とは、「動脈血」ではなく静脈血が組織や臓器にうっ滞している状態である。
2.〇 正しい。充血とは、組織、臓器内を流れる血液量が過剰の状態である。
・充血とは、動脈血が過剰に流れ込む状態である。例えば、炎症が発生すると、まず血管が拡張して血流が増加し、その結果、炎症部位に血液が集まる状態が生じる。これが充血である。組織が赤くなる(発赤)のは、この作用によるものである。
3.〇 正しい。血栓症とは、凝固血が血管壁に付着している状態である。
・血栓とは、血管内において形成される凝血塊。血栓によって生じる病態を総称して血栓症という。 正常な状態では血液の凝固の促進が体内で調節されており、出血時に血栓を形成して止血される。止血が完了し障害された部位が修復されると血栓は消える。これを線溶作用という。
4.〇 正しい。塞栓症とは、血管内異物により小血管腔が閉塞する状態である。原因となるものは多様で、①血栓塞栓(血栓のかけら)、②脂肪塞栓(長管骨骨折後)、③空気塞栓(減圧症、注射ミス)、④羊水塞栓(分娩時の合併症)などがあげられる。
問題100.病態と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.腎動脈狭窄:本態性高血圧症
2.冠動脈閉塞:狭心症
3.左心不全:肺水腫
4.粥状動脈硬化:糖尿病性網膜症
解答3
解説
高血圧症とは、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。
二次性高血圧症の原因として、①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性(脳幹部血管圧迫)、⑥遺伝性、⑦薬剤誘発性などがある。②腎血管性高血圧は、腎動脈硬化症や線維筋性異形成、高安大動脈炎、解離性大動脈瘤などによる腎血流低下により腎臓でレニン産生が増加するため高血圧となる。③内分泌性高血圧には、先端巨大症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍などにより高血圧となる。
1.× 腎動脈狭窄で起こるのは、「本態性高血圧症」ではなく二次性高血圧症である。なぜなら、腎動脈が狭窄すると腎血流が低下し、腎は「血圧が低い」と誤認してニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を活性化するため。その結果、血圧が上昇する。
2.× 冠動脈閉塞で起こるのは、「狭心症」ではなく心筋梗塞である。
・狭心症:冠動脈が動脈硬化や痙縮で狭窄(一時的なもの)である。
・心筋梗塞:冠動脈が血栓などで閉塞(持続的虚血)である。
3.〇 正しい。左心不全で肺水腫が起こる。左心室が十分に血液を送り出せないと、左房、肺静脈 、肺毛細血管に血液がうっ滞する。その結果、肺毛細血管内圧が上昇し、血漿成分が肺胞内に漏出して肺水腫となる。
・肺水腫とは、肺静脈性肺高血圧と肺胞内の液貯留を伴った重度の急性左室不全である。
4.× 粥状動脈硬化で起こるのは、「糖尿病性網膜症」ではなく心筋梗塞や脳梗塞である。なぜなら、粥状動脈硬化は、中〜大動脈の動脈硬化に起こるため。一方、糖尿病性網膜症は、毛細血管の透過性亢進や閉塞による細小血管障害に起こる。
心不全は心臓のポンプ機能低下のため末梢組織の酸素需要に見合った血液量を供給できない状態である。肺循環系にうっ血が著明なものを左心不全、体循環系にうっ血が著明なものを右心不全という。体液の著明やうっ血を生じ、主な症状として呼吸困難、咳嗽、チアノーゼ、血性・泡沫状喀痰(ピンクの痰)などがある。
心拍出量の低下を起こす原因として、
・左心不全:肺循環系にうっ血が著明なもの(呼吸困難、起座呼吸、尿量減少など)
・右心不全:体循環系にうっ血が著明なもの(頸静脈怒張、胸水・腹水、下腿浮腫、肝腫大など)
右室拡張末期圧の上昇(体循環の静脈系のうっ血)により右心不全は引き起こされる。