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問111 近年の我が国の母子保健の状況で正しいのはどれか。
1.人工死産率は増加傾向が続いている。
2.周産期死亡率は一貫して低下している。
3.乳児死亡の原因は感染症によるものが多い。
4.幼児死亡の原因で最も多いのは心疾患である。
答え.2
解説
(※引用:「⼦どもの不慮の事故の発⽣傾向」消費者庁消費者安全課様HPより)
1.× 人工死産率は、「増加」ではなく減少傾向が続いている。なぜなら、避妊法の普及や性教育の進展などが影響しているため。ちなみに、人工死産とは、胎児の母体内生存が確実であるときに、人工的処置(胎児又は付属物に対する措置及び陣痛促進剤の使用)を加えたことにより死産に至った場合をいい、それ以外はすべて自然死産とする。死産率のうち、自然死産率は9.8で前年の 9.5 より上昇し、人工死産率は 9.9 で前年の10.6より低下している(※引用:「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省HPより)」。
2.〇 正しい。周産期死亡率は一貫して低下している。なぜなら、日々の医療技術の進歩や周産期医療の充実によるため(※参考:「周産期医療体制の現状について」厚生労働省HPより)。ちなみに、周産期死亡率とは、妊娠満22週以後の死産数と早期新生児死亡数を合計したものを出生数と妊娠満22週以後の死産数を加えたもので除したものである。
3.× 乳児死亡の原因は、「感染症」ではなく先天奇形,変形及び染⾊体異常によるものが多い。例えば、ダウン症候群やエドワーズ症候群などである。乳児とは、生後1年ころまでの小児のことをさす。
4.× 幼児死亡の原因で最も多いのは、「心疾患」ではなく先天奇形,変形及び染⾊体異常である。幼児とは、1歳から4歳までの小児のことをさす。
問112 学校保健安全法に定められていないのはどれか。
1.3歳児健康診査
2.就学時健康診断
3.学校職員の健康診断
4.幼稚園児の定期健康診断
答え.1
解説
学校保健安全法は、主に①学校保健、②学校安全の体制、③健康診断などを定めている。
1.× 3歳児健康診査は、母子保健法に定められている(第12条)。ちなみに、母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
2.〇 正しい。就学時健康診断は、学校保健安全法に定められている(第11条)。
3.〇 正しい。学校職員の健康診断は、学校保健安全法に定められている(第15条)。
4.〇 正しい。幼稚園児の定期健康診断は、学校保健安全法に定められている(第13条)。
問113 近年の我が国の女性の部位別にみた悪性新生物の年齢調整死亡率(人口10万対)の推移で、昭和30年代と比較して減少傾向が著しい部位はどれか。
1.気管、気管支および肺
2.胃
3.乳房
4.大腸
答え.2
解説
(※図引用:「第17表 悪性新生物の主な部位別にみた性別年齢調整死亡率(人口10万対)の年次推移」厚生労働省HPより)
1.× 気管、気管支および肺は、平成7年(1995年)まで増加し、平成7年(1995年)をピークに減少傾向である。
2.〇 胃は、減少傾向が著しい部位である。なぜなら、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染率の低下、内視鏡検査の普及による早期発見と治療が進んだことによるため。
3.× 乳房は、現在まで増加傾向である。なぜなら、早期発見や治療の進歩により生存率は改善しているものの、罹患率自体は上昇しているため。
4.× 大腸は、平成7年(1995年)まで増加し、平成7年(1995年)をピークに減少傾向である。
問114 後期高齢者で正しいのはどれか。
1.80歳以上と定義される。
2.平成28年の我が国の総人口の約27%を占める。
3.平成27年度の一人当たりの医療費は約90万円である。
4.現役並み所得者の医療費の一部負担(自己負担)の割合は1割である。
答え.3
解説
1.× 「80歳以上」ではなく75歳以上と定義される。前期高齢者とは、65歳から74歳まで、後期高齢者とは、満75歳以上の高齢者をそれぞれ指す。
2.× 平成28年の我が国の総人口の「約27%」ではなく約13%を占める。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には75歳以上の後期高齢者人口が総人口に占める割合は約18%になると推計されている。
3.〇 正しい。平成27年度の一人当たりの医療費は約90万円である。厚生労働省によると、2017年度では75歳以上が92万2千円で最も高く、最も低い15~44歳の12万3千円の7.5倍である。75歳未満に比べ入院費用が6.6倍で、外来の3.4倍より高く、入院費が医療費を押し上げている。
4.× 現役並み所得者の医療費の一部負担(自己負担)の割合は、「1割」ではなく3割である。
(※図引用:「医療費の一部負担(自己負担)割合について」厚生労働省HPより)
問115 毒素型食中毒の原因となるのはどれか。
1.コレラ菌
2.ノロウイルス
3.黄色ブドウ球菌
4.腸管出血性大腸菌
答え.3
解説
食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気のことである。①微生物(細菌、ウイルス等)によるもの、②化学物質によるもの、③自然毒によるもの及びその他に大別される。なかでも、①微生物(細菌性)の食中毒は、感染型と毒素型に大きく分類される。加熱が有効なのは感染型であり、毒素型に加熱は無効である。
【毒素型】毒素型細菌性食中毒、セレウス、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス
1.× コレラ菌は、感染型食中毒である。コレラ菌とは、患者の糞便や吐瀉物に汚染された水や食物を摂取することで感染する。消化管内に入ったコレラ菌の多くは胃液で死滅しますが、少数が小腸に到達し、爆発的に増殖してコレラ毒素を産生する。コレラ菌は腸に感染し、下痢や嘔吐を引き起こす。
2.× ノロウイルスは、感染型食中毒である。ノロウイルスとは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。
3.〇 正しい。黄色ブドウ球菌は、毒素型食中毒の原因となる。黄色ブドウ球菌とは、食中毒の原因となるだけでなく、おでき、にきびや、水虫等に存在する化膿性疾患の代表的起因菌である。健康な人でものどや鼻の中などに高率で検出され、動物の皮膚、腸管、ホコリの中など身近にも存在している。5類感染症のひとつである。
4.× 腸管出血性大腸菌は、感染型食中毒である。腸管出血性大腸菌とは、赤痢菌が産生する志賀毒素類似のベロ毒素を産生し、激しい腹痛、水様性の下痢、血便を特徴とする。特に、小児や老人では、溶血性尿毒症症候群や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要である。原因食品は、ハンバーグ、生肉、生レバー、井戸水などである。
【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。
(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)