第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前116~120】

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問116 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」が定める患者自身の意思による入院はどれか。

1.応急入院
2.措置入院
3.任意入院
4.医療保護入院

答え.3

解説

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律とは?

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律とは、「精神保健福祉法」ともいう。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>は、措置入院を規定する法律である。精神障害者の入院について5つの入院形態(任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・緊急措置入院)を定めている。

1.× 応急入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない。②精神保健指定医の診察:1人の診察。③そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。④備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。⑤入院権限:精神科病院管理者である。

2.× 措置入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない。②精神保健指定医の診察:2人以上の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれがある。④備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。⑤入院権限:都道府県知事である。

3.〇 正しい。任意入院は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」が定める患者自身の意思による入院である。任意入院とは、①患者本人の同意:必要。②精神保健指定医の診察:必要なし。③そのほか:書面による本人意思の確認。④備考:本人の申し出があれば退院可能。⑤精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。⑥入院権限:精神科病院管理者である。

4.× 医療保護入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意、④備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る、⑤入院権限:精神科病院管理者である。

入院の形態

①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。

②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者

③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者

④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事

⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事

 

 

 

 

 

問117 保健所の業務で誤っているのはどれか。

1.HIV抗体検査
2.精神保健福祉相談
3.難病患者の医療扶助
4.事業所の作業環境測定

答え.4

解説

保健所とは?

保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。

【保健所が実施する事業】
保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
①地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項。
②人口動態統計その他、地域保健に係る統計に関する事項。
③栄養の改善及び食品衛生に関する事項。
④住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項。
⑤医事及び薬事に関する事項。
⑥保健師に関する事項。
⑦公共医療事業の向上及び増進に関する事項。
⑧母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項。
⑨歯科保健に関する事項。
⑩精神保健に関する事項。
⑪治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項。
⑫エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項。
⑬衛生上の試験及び検査に関する事項。
⑭その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項。

(※一部引用:「地域保健法 第6条」e-GOV法令検索様HPより)

1.〇 正しい。HIV抗体検査は、地域保健法 第6条12項「エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項」に該当する。

2.〇 正しい。精神保健福祉相談は、地域保健法 第6条10項「精神保健に関する事項」に該当する。精神疾患を持つ人やその家族に対して、適切なアドバイスや支援を提供する。

3.〇 正しい。難病患者の医療扶助は、地域保健法 第6条11項「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により、長期に療養を必要とする者の保健に関する事項」に該当する。保健所は難病患者に対する医療費助成制度の申請受付や支援を行い、難病患者が適切な医療を受けられるようにするための支援業務である。

4.× 事業所の作業環境測定は、保健所の業務で誤っている。事業所の作業環境測定の根拠法令は、『労働安全衛生法』などがある。産業保健に該当し、職場においては産業医、保健師、衛生管理者、衛生推進者等のスタッフが活動し、職場外から労働衛生コンサルタント、作業環境測定士、健康保持増進(THP)のスタッフ等の専門家が支援する。

労働衛生の3管理

①作業環境管理:作業環境中の有機溶剤や粉じんなど有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理していくこと。
②作業管理:作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくすること。
③健康管理:作業者の健康状態を健康診断で把握して、その結果に基づいて適切な措置や保健指導などを実施し、作業者の健康障害を未然に防ぐこと。

(※参考「労働衛生の3管理」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問118 スタンダード・プリコーションで正しいのはどれか。

1.米国疾病管理予防センターが推奨する病院感染対策の第2段階である。
2.すべての患者に適用する非特異的な予防策である。
3.手袋を着用すれば手洗いは必要ない。
4.未知の感染症には対応できない。

答え.2

解説

標準予防策(スタンダードプリコーション)とは?

スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。

1.× 米国疾病管理予防センターが推奨する病院感染対策の「第2段階」という表現自体しない。米国疾病管理予防センターとは、米国内外の健康と安全の保護を主導する連邦機関である。標準予防策(スタンダード・プリコーション)とは、米国疾病管理予防センターが提唱した病院向け感染予防のガイドラインである。
「誰もが何らかの感染症をもっている可能性がある」と考えて、すべての患者に対して「感染の可能性があるもの」への接触を最低限にすることで、患者・スタッフ双方の感染の危険性を少なくする方法である。したがって、病院感染対策の「第2段階」ではなく、第1段階という表現の方が正しい。

2.〇 正しい。すべての患者に適用する非特異的な予防策である。非特異的とは、ある状態や疾患に特徴的にみられるとは限らないことを意味する。

3.× 手袋を着用「しても」、手洗いは必要「である」。手洗いは、手袋の着脱前後に実施する。なぜなら、手袋に穴が開いていたり、手袋の縁から入ってきている可能性も考えられるため。

4.× 未知の感染症には対応「できない」と断言できない。なぜなら、既知・未知、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず感染症の拡散を防止するため。むしろ、未知な感染症なのに、標準予防策が効かないという根拠をどう提供するのか謎である。

手指衛生の5つのタイミング

①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
である。

(※WHO手指衛生ガイドラインより)

 

 

 

 

 

問119 屋内の一酸化炭素の排出源で重要なのはどれか。

1.喫煙
2.ヒトの呼気
3.電気コンロ
4.エアコンディショナー

答え.1

解説

一酸化炭素とは?

一酸化炭素とは、換気をしないままガスが燃え続けると、空気(酸素)不足で不完全燃焼を起こし、発生する物質である。 一酸化炭素の特徴として、毒性が強く、無色・無臭であるため、気づかないうちに頭痛・吐き気・耳鳴りなどの中毒症状を起こし、重症になると死に至る場合もある。

1.〇 正しい。喫煙は、屋内の一酸化炭素の排出源で重要である。タバコの煙には1~3%程度の一酸化炭素が含まれており、ニコチンやタールとともに「タバコの三害」と呼ばれる有害物質の代表格である。一酸化炭素はヘモグロビンと結びついて一酸化炭素ヘモグロビンとなり、体内で3~4時間程度半減する。このため、頻繁に喫煙する人は慢性的な酸素欠乏状態に陥る。

2.× ヒトの呼気は、屋内の一酸化炭素の排出源とはいえない。呼気中には、窒素:約78%、酸素:16.5%、二酸化炭素:4.5%である。ごく微量の一酸化炭素が含まれており、そのほかの物質は1%程度である。

3.× 電気コンロは、屋内の一酸化炭素の排出源とはいえない。電気コンロとは、コイル状の電熱線がヒーター自体を加熱して鍋に熱を伝える装置である。電気コンロは電気を利用して加熱するため、一酸化炭素を排出しない。

4.× エアコンディショナーは、屋内の一酸化炭素の排出源とはいえない。エアコンディショナーとは、室内の空気を冷却または暖房する装置である。燃焼を伴わないため一酸化炭素を排出しない。

 

 

 

 

 

問120 水道法に基づく水質基準で検出されてはならないのはどれか。

1.ヒ素
2.大腸菌
3.カドミウム
4.総トリハロメタン

答え.2

解説

MEMO

水道法とは、上水道事業について定める日本の法律である。第4条において水質基準が定められている(※参考:「水道法」厚生労働省HPより)。

【水質汚濁の指標】①水素イオン濃度、②生物化学的酸素要求量、③化学的酸素要求量、④浮遊物質量、⑤溶存酸素量、⑥大腸菌群数、⑦総窒素、⑧総リン、⑨n-へキサン抽出物質などがあげられる。

(※引用:「水道法第4条に基づく水質基準」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。ヒ素の基準値は、0.01mg/リットル以下とされている。検出されても基準値以下であれば問題ない。

2.× 大腸菌は、水道法に基づく水質基準で検出されてはならない。大腸菌は水質基準において「検出されないこと」とされている。

3.〇 正しい。カドミウムの基準値は、0.01mg/リットル以下とされている。検出されても基準値以下であれば問題ない。

4.〇 正しい。総トリハロメタンの基準値は、0.1mg/リットル以下とされている。検出されても基準値以下であれば問題ない。

 

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