第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前46~50】

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問46 正しいのはどれか。

1.膀胱底は膀胱の下面である。
2.尿管は総腸骨動脈の後方を走行する。
3.女性尿道は膣口の後方に開口する。
4.右の腎臓は第12肋骨の前方に位置する。

答え.4

解説


1.× 膀胱底は、膀胱の「下面」ではなく後方である。

2.× 尿管は、総腸骨動脈の「後方」ではなく前方を走行する。尿管とは、腎臓(腎盂)から膀胱まで蠕動運動により尿を輸送する器官である。

3.× 女性尿道は膣口の「後方」ではなく前方に開口する。

4.〇 正しい。右の腎臓は第12肋骨の前方に位置する。左右の腎臓は、同じ高さではない。右側の腎臓は、一般的に左側よりもやや低い位置にある。なぜなら、右側の腎臓の頭側に肝臓があるため。

(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)

 

 

 

 

 

問47 ヒトの精巣下降時期はどれか。

1.胎齢3~4か月
2.胎齢7~8か月
3.生後1~2か月
4.生後5~6か月

答え.2

解説

妊娠週数

妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)

妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)

妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)

1.× 胎齢3~4か月の精巣は、まだ腹腔内にあり、腎臓の近くに位置している。胎齢とは、卵管内の受精から胎児発生までの期間、つまり受胎日から分娩日までに経過した時間である。

2.〇 正しい。胎齢7~8か月は、ヒトの精巣下降時期である。男児の精巣は、胎児期に腹部で形成され、出生の約2か月前(胎齢7~8か月)から陰嚢へと徐々に下降する。生後3~6ヶ月頃までは自然下降が期待でき、出生後3ヶ月以内に60~70%の子供が陰嚢内に精巣が自然下降する。6ヶ月をこえても精巣を陰嚢内に触れない場合は、停留精巣であり、治療(手術)を考える必要がある。

3~4.× 生後1~2か月/生後5~6か月は、すでにヒトの精巣下降時期を経過している。正常な発育過程では、精巣は出生前に陰嚢に下降している。

停留精巣とは?

停留精巣とは、陰嚢(金玉袋)の中に精巣(睾丸:きんたまのこと)が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患である。予定日で生まれた男の子100人のうち3人ぐらいに認められる。精巣は6か月までは自然下降が期待できるため経過観察するが、6ヶ月をこえても精巣を陰嚢内に触れない場合は治療(手術)を考える必要がある。

 

 

 

 

 

問48 精液の成分を分泌しないのはどれか。

1.精嚢
2.陰茎海綿体
3.尿道球腺
4.前立腺

答え.2

解説


1.〇 精嚢とは、精嚢は、前立腺の後ろに一対ある長さ5cmほどの袋状の器官で、精嚢液を分泌して射精のときに精子と混ぜ合わせ精液を作る。ちなみに、精嚢液とは、男性の生殖器である精嚢から分泌される液で、精液の約70%を占めている。射精時に精子と混ぜ合わさって精液を作り、精子に運動のエネルギーを与える役割がある。

2.× 陰茎海綿体は、精液の成分を分泌しない。陰茎海綿体とは、勃起時に血液を充満させる役割を持つ組織である。つまり、陰茎の勃起組織の一つである。

3.〇 尿道球腺とは、尿道球腺液(カウパー腺液)を分泌する腺である。弱アルカリ性の粘性がある無臭無色透明な液体で、これにより尿道が中和され、精子の通過を容易にする。

4.〇 前立腺とは、男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。精子の運動性を高める酵素などが含まれている。

 

 

 

 

 

問49 正しいのはどれか。

1.卵巣動脈は外腸骨動脈から分枝する。
2.精巣動脈は腎動脈から分枝する。
3.卵巣静脈は左右ともに腎静脈へ流入する。
4.精巣静脈は精索内で精巣動脈の周囲を取り巻く。

答え.4

解説
1.× 卵巣動脈は、「外腸骨動脈」ではなく腹大動脈から分枝する。卵巣動脈は、腹大動脈から分岐し、尿管の前を下外方に走り卵巣に達する動脈である。ちなみに、卵巣動脈の枝は卵管も栄養する。ちなみに、外腸骨動脈は、大腿動脈→膝窩動脈→①前脛骨動脈(→足背動脈)、②後脛骨動脈(→足底動脈)となる。

2.× 精巣動脈は、「腎動脈」ではなく腹大動脈から分枝する。腹大動脈は、有対性の腎動脈、精巣/卵巣動脈、腰動脈、下横隔動脈と分岐する。

3.× 卵巣静脈は、「左右とも」ではなく左だけ腎静脈へ流入する。右卵巣静脈は後大静脈に直接流入する。

4.〇 正しい。精巣静脈は精索内で、精巣動脈の周囲を取り巻く。この構造を蔓状静脈叢(※読み:つるじょうじょうみゃくそう)という。精巣静脈の弁の機構が不良となって逆流が生じ、精索の静脈が蛇行・拡張した状態となると、精索静脈瘤と診断されることがある。

 

 

 

 

 

問50 門脈系をもつのはどれか。

1.下垂体
2.甲状腺
3.上皮小体
4.副腎

答え.1

解説

門脈とは?

門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

したがって、門脈系とは、二つの毛細血管網を連結する静脈系を指す。代表的な門脈系には肝門脈系と下垂体門脈系がある。

1.〇 正しい。下垂体は、門脈系をもつ。下垂体には下垂体門脈系がある。これは視床下部と下垂体前葉の間にある門脈系で、視床下部の動脈から下垂体を通る静脈に向かう血管で、毛細血管叢をつなぐ役割を担う。視床下部から放出されたホルモンが下垂体前葉に直接作用する仕組みとなっている。

2~4.× 甲状腺/上皮小体/副腎に門脈系はない。

(※図引用:「看護師イラスト集」看護roo!)

 

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