第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前51~55】

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問51 副腎で正しいのはどれか。

1.腹腔内に位置する。
2.髄質は外胚葉に由来する。
3.副腎静脈は奇静脈へ流入する。
4.髄質は副交感神経節に相当する。

答え.2

解説

副腎とは?

副腎皮質から、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などが分泌される。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

①球状帯:電解質コルチコイド(アルドステロン)を産生する。皮膜直下の薄い層で、皮質細胞が球状の塊を形成する。
②束状帯:糖質コルチコイド(コルチゾール)を産生する。最も厚い層で、細胞は縦に並び、細胞索を形成する。その間を洞様毛細血管が髄質に向かって走行する。
③網状帯:アンドロゲンを産生する。皮質の最深部で、網状をなす細胞索からなる。

1.× 「腹腔内」ではなく腹膜後に位置する。腹膜後器官(後腹膜臓器)とは、後腹壁の壁側腹膜に接する領域に位置する器官のことである。腹膜後器官:①十二指腸、②腎臓、③副腎、④膵臓、⑤尿管、⑥腹大動脈、⑦下大静脈、⑧胸管、⑨乳び槽など

2.〇 正しい。髄質は外胚葉に由来する。なぜなら、副腎髄質は、神経堤細胞に由来するため。
外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

3.× 副腎静脈は奇静脈へ流入しない。副腎静脈について、右側の副腎静脈は下大静脈へ、左側の副腎静脈は腎静脈に流入する。ちなみに、奇静脈とは、脊柱の右側を走行し上大静脈に合流する静脈をいう。ほかに、脊柱の左側を走行する静脈に半奇静脈と副半奇静脈がある。これらは上大静脈と下大静脈の連絡を担い、閉塞した際には奇静脈が側副血行路として機能する。

4.× 髄質は、「副交感神経節」ではなく交感神経節に相当する。なぜなら、副腎髄質から、交感神経系の①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンを分泌するため。

(今井昭一:薬理学.標準看護学講座5、金原出版、1998より改変)

 

 

 

 

 

問52 写真を下に示す。
 交連線維が通る部位はどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d

答え.1

解説

(※図引用:「脳のなかのこびと軍団」)

交連線維とは?

投射線維とは、皮質と間脳・脳幹や脊髄を連絡する。例えば、内包、放線冠、視放線、聴放線などが該当する。

交連線維とは、左右の大脳半球を連絡する。例えば、脳梁、前交連、後交連などが該当する。

連合線維とは、同側の大脳半球内を連絡する。例えば、弓状線維、鈎状束、上縦束、下縦束などが該当する。

1.〇 正しい。a(脳梁)は、交連線維が通る部位である。脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路である。脳梁は、いわゆる高次脳機能、認知機能に分類される症状を担っている。

2~3.× b/cは、大脳基底核の白質である。連合線維に該当する。大脳基底核とは、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。小脳とともにからだの運動をスムーズにする役割がある。

4.× d(海馬)とは、記憶を司っている部位である。

 

 

 

 

 

問53 プルキンエ細胞があるのはどれか。

1.大脳
2.中脳
3.小脳
4.脊髄

答え.3

解説
1~2.4.× 大脳/中脳/脊髄に、プルキンエ細胞は存在しない。ちなみに、中脳とは、間脳と橋の間に位置する脳構造である。中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳被蓋、大脳脚の3つの部分に大別される。

3.〇 正しい。小脳は、プルキンエ細胞がある。プルキンエ細胞とは、小脳皮質にある小脳からの遠心性線維で、γ-アミノ酪酸(GABA)作動性の抑制性ニューロンである。小脳皮質における唯一の出力神経細胞である。

(※図引用:「脳(矢状断)」illustAC様HPより)

 

 

 

 

 

問54 後索核が関与する感覚はどれか。

1.温覚
2.冷覚
3.痛覚
4.深部感覚

答え.4

解説
1~3.× 温覚/冷覚/痛覚は、外側脊髄視床路である。伝導路は【感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野】である。

4.〇 正しい。深部感覚は、後索核が関与する感覚である。意識にのぼる深部感覚の伝導路(振動覚、位置覚の経路)は、「後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野」となる。ちなみに、深部感覚とは、位置感覚・運動感覚・振動感覚・重量感覚・抵抗感覚など筋・腱・関節に関係する感覚のことである。

 

 

 

 

 

問55 運動線維のみからなる脳神経はどれか。

1.動眼神経
2.三叉神経
3.顔面神経
4.舌下神経

答え.4

解説
1.× 動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。

2.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

3.× 顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

4.〇 正しい。舌下神経は、運動線維のみからなる脳神経である。舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

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