第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前76~80】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問76 グリコーゲン合成を促進させるのはどれか。

1.インスリン
2.グルカゴン
3.アドレナリン
4.成長ホルモン

答え.1

解説

グルカゴンとは?

膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。

②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

1.〇 正しい。インスリンは、グリコーゲン合成を促進させる。なぜなら、インスリンは、血糖低下つまり、細胞にグルコースの取り込みを促進し、その結果として肝臓や筋肉においてグリコーゲン合成が促進されるため。

2.× グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

3.× アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質(副腎髄質)から分泌されるホルモンである。【対象】血圧低下心肺蘇生、アナフィラキシーショック、【作用】血圧上昇作用や心拍数増加作用、【副作用】過量投与で血圧の過剰な上昇、動悸など。

4.× 成長ホルモンとは、下垂体前葉から合成・分泌されるホルモンで、成長促進作用や代謝作用などの作用がある。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からは抗利尿ホルモンが分泌される。

 

 

 

 

 

問77 骨で誤っているのはどれか。

1.骨内に神経が分布する。
2.破骨細胞によって骨吸収が行われる。
3.骨芽細胞はコラーゲンを分泌する。
4.荷重負荷によって骨形成が抑制される。

答え.4

解説
1.〇 正しい。骨内に神経が分布する。特に骨膜に多くの神経が存在する。これにより、骨折などの損傷時に痛みを感じることができる。

2.〇 正しい。破骨細胞によって骨吸収が行われる。破骨細胞とは、造血幹細胞から分化した細胞が融合して多核巨細胞になったものである。骨再構築の際の骨吸収の役割を担っている。

3.〇 正しい。骨芽細胞はコラーゲンを分泌する。骨芽細胞は、骨質の形成(骨形成)に関与している。骨芽細胞はコラーゲンを産生し、骨の表面に分泌する。骨基質の約90%を占めるコラーゲンは、主にⅠ型コラーゲン線維で、骨の弾力や折れにくさをもたらす。

4.× 荷重負荷によって骨形成が、「抑制」ではなく促進される。これをウォルフの法則(Wolffの法則)という。骨はそれに加わる力に抵抗するのに最も適した構造を発達させる。

MEMO

骨折の治癒過程において、「①炎症期→②仮骨形成期→③仮骨硬化期→④リモデリング期」となる。

①炎症期:骨折後2〜3日で活動のピークを迎える。骨折した人が経験する初期の痛みのほとんどがこの炎症によるものである。
②仮骨形成期:骨折後1週間が過ぎると骨芽細胞が活動し、1週間目から14週目ぐらいが仮骨が形成する時期である。仮骨とは、骨折した場合に折れたり欠損したりした骨の代わりに、新たにできる不完全な骨組織のことである。
③仮骨硬化期:8週間目から36週間目ぐらいにあたる。
④リモデリング期:硬化仮骨が患部の機能とともに回復に、本体の骨に吸収、添加作用していく時期である。これが20週目から52週目ぐらいにあたる。

 

 

 

 

 

問78 血漿カルシウム濃度の低下に対して起こる生体反応はどれか。

1.カルシトニン分泌の増加
2.上皮小体ホルモン分泌の増加
3.活性型ビタミンD合成の低下
4.腎のカルシウム再吸収の低下

答え.2

解説
1.× カルシトニン分泌の増加は、血漿カルシウム濃度の高値の際に起こる。カルシトニンとは、甲状腺から分泌され、骨吸収を抑制する働きを持つ。つまり、血中カルシウム濃度を低下させる働きをもつ。

2.〇 正しい。上皮小体ホルモン分泌の増加は、血漿カルシウム濃度の低下に対して起こる生体反応である。上皮小体ホルモンとは、副甲状腺ホルモン、パラトルモン(パラソルモン)ともいい、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働く。ちなみに、骨吸収とは、その名の通り骨組織の吸収であり、つまり、破骨細胞が骨の組織を分解してミネラルを放出し、骨組織から血液にカルシウムが移動するプロセスである。

3.× 活性型ビタミンD合成の低下は、血漿カルシウム濃度の高値の際に起こる。ビタミンDとは、カルシウムとリンの吸収を促進する働きがある。ビタミンDを過剰に摂取すると、骨からカルシウムが促進され、血中のカルシウム濃度が高くなることで高カルシウム血症を引き起こす。

4.× 腎のカルシウム再吸収の低下は、血漿カルシウム濃度の高値の際に起こる。なぜなら、「カルシウム再吸収を低下させる」=「カルシウムを排出する」ため。つまり、血漿カルシウム濃度の高値の際に、腎のカルシウム再吸収を低下させ、カルシウムを排出し、血漿カルシウム濃度を正常に戻す。ちなみに、副甲状腺ホルモン (PTH:パラトルモン)は、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。

 

 

 

 

 

問79 大脳皮質連合野と損傷症状の組合せで正しいのはどれか。

1.前頭連合野:相貌失認
2.頭頂連合野:身体失認
3.側頭連合野:協調運動障害
4.後頭連合野:意欲低下

答え.2

解説


1.× 相貌失認は、「前頭連合野」ではなく右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野である。相貌失認とは、顔を見ただけではその人が誰であるかわからないが、服装・声・髪形などの特徴を手掛かりにすれば誰なのか判断できる状態である。右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じることが多い。

2.〇 正しい。身体失認は、頭頂連合野である。身体失認とは、自己の身体所有の意識の損失を示す高次脳機能障害である。

3.× 協調運動障害は、「側頭連合野」ではなく小脳である。協調運動障害とは、例えば、手足などを目標物に正しく持っていくことができず震える症状をいう。

4.× 意欲低下は、「後頭連合野」ではなく前頭連合野である。ちなみに、前頭葉の障害は、発動性・意欲・創造性・判断力の低下、注意障害、脱抑制、易怒性、病識の欠如などが起こる。

 

 

 

 

 

問80 筋紡錘を受容器とする反射はどれか。

1.頚反射
2.前庭―眼反射
3.角膜反射
4.屈曲反射

答え.1

解説

筋紡錘とは?

筋紡錘とは、骨格筋の収縮を感知する感覚器(筋の長さとそれが変化する速さを感知する感覚器)であり、腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮(伸張反射)に関与する。

1.〇 正しい。頚反射は、筋紡錘を受容器とする反射である。頚反射とは、身体の姿勢や平衡保持のための反射の一つである。頭部を回転すると反射的に四肢に現れる筋緊張の変化をいう。頸反射のひとつでもある非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、生後からみられ生後4~6ヵ月ごろには消失する。背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。

2.× 前庭―眼反射の受容器は、前庭器官である。前庭―眼反射は、【求心性神経】前庭神経(内耳神経)、【遠心性神経】動眼神経、外転神経である。前庭眼反射とは、外耳道への注水により眼振が誘発される反射である。

3.× 角膜反射の受容器は、角膜の知覚(三叉神経の第1枝:眼神経)である。角膜反射とは、【求心性神経】三叉神経、【遠心性神経】顔面神経である。角膜反射とは、角膜にものが触れると眼を閉じる反射である。角膜への刺激は、両側の顔面神経核に伝わるため両目が閉じる。

4.× 屈曲反射の受容器は、皮膚や痛覚受容器である。屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。背臥位の新生児の足底を刺激すると下肢を屈曲させて足をひっこめる。胎児期後期から、生後1、2ヵ月までに消失する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)