第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午前86~90】

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問86 力の単位で正しいのはどれか。

1.絶対単位の測定には測定場所の指定が必要である。
2.重量単位は質量1㎏の分銅に作用する地球の引力を1kgwの力という。
3.質量1㎏の物体に1㎝/sec2の加速度が生じる力を1ニュートン(N)という。
4.質量1gの物体に1m/sec2の加速度が生じる力を1ダイン(dyn)という。

答え.2

解説
1.× 絶対単位の測定に、測定場所の指定は「不要である」。絶対単位とは、物理学上の定義や法則に基づき、絶対的な尺度によって測定されるようにした単位のことである。例えば、量、時間、長さ、質量、電流、熱力学温度、物質量及び光度について明確に定義された単位、秒(s)、メートル(m)、キログラム(kg)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)を基礎として構築されている。

2.〇 正しい。重量単位は質量1㎏の分銅に作用する地球の引力を1kgwの力という。1kgf(キログラムフォース、キログラム重)は、質量1kgの物体に作用する地球の重力の力を指す。これは約9.81ニュートンに相当する。

3.× 質量1㎏の物体に、「1㎝/sec2」ではなく1m/sec2の加速度が生じる力を1ニュートン(N)という。ニュートンは、 国際単位系(SI)における力の単位である。

4.× 質量1gの物体に、「1m/sec2」ではなく1㎝/sec2の加速度が生じる力を1ダイン(dyn)という。つまり、10万分の1ニュートンのことである。

 

 

 

 

 

問87 指の完全伸展に関与するのはどれか。

1.背側骨間筋の緊張
2.指伸筋の弛緩
3.虫様筋の緊張
4.掌側骨間筋の弛緩

答え.3

解説
1.△ 背側骨間筋の緊張(収縮)より、指の伸展に寄与する筋肉が他にある。なぜなら、背側骨間筋の主動作は、指の外転であるため。ただし、補助として、中節・末節骨(DIP)の伸展も寄与するため、指の完全伸展に「関与しない」とはいいきれない。背側骨間筋の【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】尺骨神経である。

2.× 指伸筋の「弛緩」ではなく緊張(収縮)で指の伸展に寄与する。(総)指伸筋の【起始】上腕骨の外側上顆、前腕筋膜の内面と肘関節包、【停止】中央は中節骨底、両側は合して末節骨底、【作用】手関節の背屈、第2~5指の伸展、外転、【支配神経】橈骨神経深枝である。

3.〇 正しい。虫様筋の緊張(収縮)は、指の完全伸展に関与する。虫様筋の【起始】4個ある。それぞれ深指屈筋腱から起こる。第1,2指:第2,3指に至る腱の橈側。第3,4指(それぞれ2頭をもつ):第3~5指に至る腱の相対する側、【停止】指背腱膜、【作用】第2~5指の基節骨の屈曲、中節骨、末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】第1,2筋は正中神経、第3,4筋は尺骨神経である。

4.× 掌側骨間筋の「弛緩」ではなく緊張(収縮)で指の伸展に寄与する。掌側骨間筋の【起始】3個ある。第2中手骨の尺側。第4,5中手骨の橈側、【停止】基節骨底、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4,5指の内転。背側骨間筋と共同して、おのおの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】尺骨神経である。

 

 

 

 

 

問88 反射運動で正しいのはどれか。

1.随意運動である。
2.意志が直接関与する。
3.目的性をもった運動である。
4.応答パターンは複雑である。

答え.3

解説
1.× 「随意運動」ではなく不随意運動である。なぜなら、刺激に対する自動的な反応であるため。反射とは、刺激に反応して起こる不随意でほぼ瞬間的な動きのことである。

2.× 意志が直接関与「する」のではなくしない。意思が関与する運動を随意運動という。反射は脊髄や脳幹などの中枢神経系の特定の部位で処理され、意識的な決定なしに迅速に反応する。

3.〇 正しい。目的性をもった運動である。脳に情報を伝達せず、脳の代わりに運動の指令を出して危険回避することができる。例えば、屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。この時、反対側の下肢は身体を支えるために伸展することを交叉性伸展反射という。これは、刺激側の下肢が屈曲するとき、対側下肢が伸展して、体を支えられるように働くためである。

4.× 応答パターンは、複雑「とはいえない」。なぜなら、応答パターンとして、関節の屈曲や伸展といった応答となるため。とはいえ、比較対象が不明であり、どの応答パターンと比較して、複雑か単純かを聞いているのか不明で、その基準も明確ではないため、問題として疑問である。

 

 

 

 

 

問89 随意運動発現の過程で「タイミングの決定」の後に起こるのはどれか。

1.力の調整
2.意志の発動
3.使用筋の選定
4.動作目標の決定

答え.1

解説

MEMO

随意運動とは、自由意志に基づく運動である。したがって動作を行うという意思決定が脳内のどこかでなされたのに引き続き、動作目標の設定、姿勢、運動方向、範囲、タイミング、使用する筋の種類、発生する力の調整等々の諸条件を中枢神経系で決定し、これらの情報が運動の最終共通経路である運動単位に伝えられて随意運動は遂行される。

(※引用:「モーターコントロールから見た歩行」著:福士 宏紀様より)

1.〇 正しい。力の調整は、随意運動発現の過程で「タイミングの決定」の後に起こる。
「動作目標の設定」→「姿勢・運動方向・範囲・タイミング、使用する筋の種類の決定」→「発生する力の調整」という順番で起こる。ただし、「モーターコントロールから見た歩行」によると、「タイミングの決定」の後に、「使用する筋の種類の決定(使用筋の選定)」が起こるとも読み取れるため、この問題もわかる方いらしたら、コメント欄にて教えてください。

2.× 意志の発動は、「動作目標の決定」の次に行われるプロセスである。意志の発動によって、特定の運動を実行【するorしない】の決定がなされる。

3.△ 使用筋の選定も「タイミングの決定」の後に起こるものとして考えられる。ただし、より自然な流れとしては、大きな物事から決定していくプロセスを踏む。したがって、「タイミング(いつやるか?)」→「使用筋の選定(どの筋肉?)」→「力の調整(どれぐらいの力が必要か?)」より、「タイミング(いつやるか?)」→「力の調整(どれぐらいの力が必要か?)」→じゃあ、「この筋肉を使うか」といったほうが自然であろう。
つまり、この問題の意図をくみ取ると、随意運動の発現のステップは、①動作目標の決定(何をしたいか?)→②意志の発動(やるか?やらないか?)→③タイミングの決定(いつやるか?)→④力の調整(どれぐらいの力が必要か?)→使用筋の選定(どの筋肉を使うか?)といった流れが自然と言える。

4.× 動作目標の決定は、最初に行われるプロセスである。このプロセスでは、何をしたいかという目標が設定される。

 

 

 

 

 

問90 顎関節で誤っているのはどれか。

1.楕円関節である。
2.頭蓋で唯一の動関節である。
3.蝶番運動を行う。
4.水平運動は筋突起で起こる。

答え.4

解説
1.〇 正しい。楕円関節である。他にも、楕円関節(顆状関節)は、橈骨手根関節、手根中央(尺側)関節、中手指節関節である。

2.〇 正しい。頭蓋で唯一の動関節である。動関節とは、可動関節のことであり、関節の全域可動域を随意的に動かせる関節である。例えば、肘関節や肩関節などである。関節の種類として、ほかにも不動結合(頭蓋骨)や半関節(遠位脛腓関節)があげられる。

3.〇 正しい。蝶番運動を行う。蝶番運動とは、ドアなどの蝶番に例えて、顎の開閉運動を指す言葉である。

4.× 筋突起で起こるのは、「水平運動」ではなく開閉運動である。筋突起は下顎枝の上端の前方にある扁平な突起で、側頭筋が停止する。咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。

 

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