第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前36~40】

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問題36 患部と固定包帯の組合せで誤っているのはどれか。

1.肘関節部:5裂
2.肩関節部:4裂
3.胸部:3裂
4.足関節部:2裂

答え.4

解説

包帯の幅(サイズ)

2裂:並幅木綿(幅約28~30cm)を2等分したもの。約14~15cmほど。
3裂:約9~10cm
4裂:約7~7.5cm
5裂:約5.5~6cm
6裂:約4.5~5cm

1.〇 正しい。肘関節部:5裂
なぜなら、肘関節の形状と動きに対し、サポートと保護を提供できるため。

2.〇 正しい。肩関節部:4裂
なぜなら、肩は体の中で最も可動範囲が広い関節であるため。

3.〇 正しい。胸部:3裂
なぜなら、胸部は可動性や運動性も粗大であるため。

4.× 足関節部は、「2裂」ではなく(4裂~)5裂が望ましい。
なぜなら、足関節は体重を支え、歩行や立位バランスに必要な複雑な動きを行うため。

 

 

 

 

 

問題37 基本包帯で表巻きと裏巻きを交互に繰り返すのはどれか。

1.亀甲帯
2.折転帯
3.麦穂帯
4.螺旋帯

答え.2

解説
1.× 亀甲帯(きっこうたい、8字帯)ともいう。
関節部を中心に8の字に交差させながら巻いていく方法。 屈曲・伸展がある程度可能なので、肘関節や膝関節、足関節などの被覆(保護)に用いる。

2.〇 正しい。折転帯は、基本包帯で表巻きと裏巻きを交互に繰り返す。
(折転帯:せってんたい)前腕、下腿など太さが変化する部位に、包帯を折り返しながら巻く方法である。折り返すことで包帯が解けにくくなり、広範囲に巻くことができる。

3.× 麦穂帯(ばくすいたい)
手関節、足関節、股関節、肩といった屈曲する部位、下腿などの太さが一定でない部位に対して行われる方法である。8の字を描くように交差させながら巻く。関節部分をきれいに覆うことができるだけでなく、各関節の良肢位を保ったまま固定できる。

4.× 螺旋帯(らせんたい)
包帯を1/2~1/3程度重ねながら、らせん状に巻く方法で、広範囲の保護・固定をする場合や、ガーゼの保護や副え木を固定する場合などに用いられる。

 

 

 

 

 

問題38 インフォームド・コンセントはどれか。

1.患者を差別しないこと。
2.患者の優先順位を決定すること。
3.患者の治療歴を聴取すること。
4.患者に説明して同意を得ること。

答え.4

解説

インフォームド・コンセントとは?

インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

1.× 患者を差別しないこと。
これは、医療倫理の基本的な原則である

2.× 患者の優先順位を決定すること。
これは、トリアージである。トリアージとは、災害時などの制約があるなかで、治療・搬送の優先順位を決めることである。災害時においては医療スタッフや医薬品などの医療資源が限られるため、より効果的に傷病者の治療を行うために、治療や搬送の優先順位を決定するものである。

3.× 患者の治療歴を聴取すること。
これは、アナムネである。アナムネとは、ドイツ語の「anamnese」を語源として、日本語の直訳は病歴である。日本では、既往歴のみならず、初診患者に対して診察前に行う問診を意味する。 質問内容は、家族歴や飲酒、禁煙などの嗜好、女性に対しては妊娠歴、小児科では予防接種など多岐にわたっている。

4.〇 正しい。患者に説明して同意を得ること
インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。

生命倫理の四原則

医療倫理の四原則は、トム・L・ビーチャムとジェイムズ・F・チルドレスが『生命医学倫理の諸原則』で提唱したもので、医療従事者が倫理的な問題に直面した時に、どのように解決すべきかを判断する指針となっています。
・自律性の尊重(respect for autonomy)
・無危害(non-maleficence)
・善行(beneficence)
・公正(justice)

(引用:「医療倫理」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題39 個人情報の保護に関する法律で個人情報取扱事業者になるのはどれか。

1.厚生労働省
2.東京都
3.接骨院
4.国立がん研究センター

答え.3

解説

個人情報保護法とは?

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

1.× 厚生労働省
厚生労働省とは、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。

2.× 東京都
国の機関は個人情報取扱事業者とはならない。国の機関の一例は、首相官邸や内閣府、外務省が該当する。

3.〇 正しい。接骨院は、個人情報の保護に関する法律で個人情報取扱事業者になる。
個人情報取扱事業者とは、個人情報保護法第2条第5項において、「個人情報データベースなどを事業の用に供している者」と定義されている。ほとんどの個人・企業・団体はこの定義に含まれている。

4.× 国立がん研究センター
国立研究開発法人国立がん研究センターとは、がんその他の悪性新生物に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発ならびにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、がんその他の悪性新生物に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とした機関である。

 

 

 

 

 

問題40 医療現場においてインシデントはどれか。

1.ヒヤリ・ハット
2.医療事故
3.医療過誤
4.医療過失

答え.1

解説

インシデントとは?

インシデントとは、適切な対処がなされなかった場合に事故となる可能性を含んだ事象を示し、ヒヤリ・ハットともいう。インシデントは当事者だけでなく皆でなぜ起こったのかなどを共有し話し合うことで、同じインシデントの防止のための対策を立てることができる。インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できる。

1.〇 正しい。ヒヤリ・ハットは、医療現場においてインシデントである。
ヒヤリハットとは、危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のことである。ハインリッヒの法則(1:29:300、分析により導かれた労働災害の発生比率)では、1 件の重大事故の裏には、29 件の軽傷事故、300 件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われている。

2.× 医療事故
医療事故とは、医療機関内で発生した人身事故全般を意味する言葉である。特に、医療機関側の人為的ミスによって患者の病態を増悪させてしまうことは、医療過誤(医療ミス)と呼ばれる。

3.× 医療過誤
医療過誤とは、医療事故のうち医療機関側の人為的ミスによって起こった事例をいう。医療提供者(医師や看護師など)による過失によって引き起こされ、医療提供者が適切な診断や治療を行わなかったり、適切な情報提供や同意取得がなされていない場合に発生することが多い。医療過誤が発生した時、病院側は①刑事責任、②行政責任、③民事責任という3つの責任を負うことになる。①刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと、②行政責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に対して行政処分が下されること、③民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。

4.× 医療過失
過失とは、注意義務に違反する状態や不注意をいい、特に民事責任あるいは刑事責任の成立要件としては、ある結果を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかった心理状態、あるいは結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったことをいう。医療過失とは、医療過誤と同意で使うことが多い。

インシデントレポートとは?

インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。

【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。

 

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