第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午前71~75】

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問題71 中大脳動脈が通るのはどれか。

1.硬膜
2.クモ膜
3.クモ膜下腔
4.軟膜

答え.3

解説

(※図引用:「髄膜炎(ずいまくえん)」著:杉浦 崇浩様より)

MEMO

「頭蓋骨→硬膜→くも膜→クモ膜下腔(この中に脳脊髄液が存在)→軟膜」という構造となっている。クモ膜と軟膜の間には、脳脊髄液が充満したクモ膜下腔が存在する。脳脊髄液は、脳と脊髄の保護や栄養補給、代謝物の除去を担っているといわれている。

1.× 硬膜
硬膜とは、一番外側で、頭蓋骨に内側から張りついている強靭な膜であり、脳を外傷や感染から守る役割を果たす。

2.× クモ膜
くも膜とは、脳脊髄を覆う3層の髄膜のうち、外から2層目にあたるものである。硬膜には密着しているが、内の軟膜との間には脳脊髄液で満たされているくも膜下腔があり、小柱という線維の束がくも膜と軟膜をつなぐ。

3.〇 正しい。クモ膜下腔は、中大脳動脈が通る。
くも膜下腔は、脳脊髄液(髄液)で満たされており、大脳はこの中に浮かんでいる。脳脊髄液がクッションの役割を果たしており、外部から衝撃を受けてもショックが吸収され、脳が守られるシステムが作られている。

4.× 軟膜
軟膜とは、脳および脊髄を包む髄膜のうち、最も内部にある膜である。薄く網状の膜で、脳の表面を隙間なく覆っており、皮質の溝の中にまで入り込んでいる。

 

 

 

 

 

問題72 錐体路の構成要素でないのはどれか。

1.大脳皮質
2.大脳髄質
3.橋背側部
4.脊髄前角

答え.3

解説

錐体路とは

錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。

1~2.4.× 大脳皮質/大脳髄質/脊髄前角
これらは錐体路の構成要素である。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。【錐体路徴候】深部腱反射亢進、病的反射(+)、表在反射(消失)、痙性麻痺をきたす。

3.〇 正しい。橋背側部は、錐体路の構成要素でない。
橋背側部の損傷によって大脳小脳神経回路、運動ループが障害され、感覚障害や運動失調が出現する可能性がある。つまり、小脳と連携している部位である。

 

 

 

 

 

問題73 頸動脈小体および頸動脈洞に関わる脳神経はどれか。

1.三叉神経
2.顏面神経
3.舌咽神経
4.副神経

答え.3

解説

頸動脈洞反射とは?

頸動脈洞反射(ツェルマーク・へーリング反射)とは、頸動脈を刺激することにより生じる迷走神経反射のことである。脈拍を抑えることを目的として利用されることがある(頸動脈洞マッサージ)。つまり、副交感神経優位になる。
求心路:舌咽神経
遠心路:迷走神経

1.× 三叉神経
三叉神経は、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

2.× 顏面神経
顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

3.〇 正しい。舌咽神経は、頸動脈小体および頸動脈洞に関わる脳神経である。
舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。

4.× 副神経
副神経は、胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配している運動神経である。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

問題74 舌筋の支配神経はどれか。

1.1
2.2
3.3
4.4

答え.4

解説

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

1.× 1は、動眼神経である。
動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。

2.× 2は、三叉神経である。
三叉神経は、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

3.× 3は、外転神経である。
外転神経は、外眼筋の外側直筋を支配する脳神経の一つである。

4.〇 正しい。4が舌筋の支配神経である。
つまり、舌下神経である。舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。

支配神経

①動眼神経:内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋
②滑車神経:上斜筋
③外転神経:外側直筋

 

 

 

 

 

問題75 腕神経叢が通過するのはどこか。

1.前斜角筋の前
2.前斜角筋と中斜角筋の間
3.中斜角筋と後斜角筋の間
4.後斜角筋の後

答え.2

解説

(※図引用:「腕神経叢」Wikiより)

MEMO

右の頚部を切開したところの図。前斜角筋の後部から腕神経叢がでている。

1.3~4.× 前斜角筋の前/中斜角筋と後斜角筋の間/後斜角筋の後
前斜角筋【起始】第3~7頸椎の横突起前結節、【停止】第1肋骨の前斜角筋結節、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝
中斜角筋【起始】第2~7頸椎の横突起後結節、【停止】第1肋骨の鎖骨下動脈溝の後ろ。時に第2,3肋骨、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝
後斜角筋【起始】第5~6頸椎の横突起後結節、【停止】第2肋骨の外側面、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝

2.〇 正しい。前斜角筋と中斜角筋の間に、腕神経叢が通過する。
腕神経叢麻痺とは、腕神経叢が損傷することで、上肢のしびれや感覚障害、筋力低下になることである。つまり、下位運動ニューロン障害をきたす。原因として、オートバイ走行中の転倒、スキーなど高速滑走のスポーツでの転倒、機械に腕が巻き込まれたときなどがあげられる。腕神経叢は、後傾三角(胸鎖乳突筋後縁と僧帽筋前縁、鎖骨上縁で囲まれた部分)で触知できる。

 

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