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問題96 細動脈を収縮させるのはどれか。
1.乳酸
2.一酸化窒素
3.アデノシン
4.エンドセリン
答え.4
解説
細動脈とは、微小循環系における静脈系の血管である。つまり、微小循環系における静脈系の血管であり、周囲組織から血管内への水分の吸収を通して、血液量の調節を行っている。細静脈の特性は、組織や器官によって異なるが、一般には物質透過性に富み、白血球のローリングや漏出が比較的容易に起こる場所である。
1.× 乳酸
乳酸とは、カラダを動かすエネルギーを作るため糖を分解している際にできる生成物で、その名の通り酸性である。蓄積によってpH低下が生じ(体内が酸性の状態になり)、筋肉運動や代謝に障害を起こし筋疲労が生じると考えられている。
2.× 一酸化窒素
一酸化窒素とは、毒性があり、吸い込むと数分で中枢神経の症状や意識の喪失を引き起こす。 体内で酸化を受けて硝酸や亜硝酸を生じ、呼吸器を傷める要因にもなる。
3.× アデノシン
アデノシンとは、心臓、骨格筋、脳、肝臓などの種々の臓器の血管拡張を司っており、特に冠血管については、主として直径50~200μmの抵抗血管を拡張し、冠血流量増加をもたらすことから、重要な冠血流量調節因子と考えられている。
4.〇 正しい。エンドセリンは、細動脈を収縮させる。
血管収縮だけでなく、陽性変時・変力作用、血管平滑筋増殖作用、心筋細胞肥大作用、線維芽細胞増殖作用などを有するとされる。
問題97 呼吸筋の仕事量を増大させる因子の組合せはどれか。
1.肺コンプライアンスの増加:気道抵抗の増加
2.肺コンプライアンスの増加:気道抵抗の低下
3.肺コンプライアンスの低下:気道抵抗の増加
4.肺コンプライアンスの低下:気道抵抗の低下
答え.3
解説
肺コンプライアンスとは、簡単に言うと肺や胸郭系などの伸びやすさを表す。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。
1~2.× 肺コンプライアンスの増加:気道抵抗の増加/気道抵抗の低下
肺コンプライアンスの増加は、「気道抵抗の増加/気道抵抗の低下」を示しているのではなく、肺が膨らみやすくなることを示している。肺が穴だらけになり、肺がグニャグニャ、ふにゃふにゃになった状態である。肺は弾力がなくなり、伸びやすく、縮みにくくなる。
3.〇 正しい。肺コンプライアンスの低下:気道抵抗の増加
肺コンプライアンスの低下は、「気道抵抗の増加」を示している。肺が硬くなる、肺の支持組織が炎症を起こして肥厚することで、肺の膨張・収縮が妨げられる。肺活量が低下し、空気の交換速度も遅くなる。
4.× 肺コンプライアンスの低下:気道抵抗の低下
肺コンプライアンスの低下は、気道抵抗の「低下」ではなく増加する。
問題98 頸動脈小体からの求心性神経はどれか。
1.横隔神経
2.舌咽神経
3.迷走神経
4.肋間神経
答え.2
解説
頚動脈小体(頚動脈球)とは、頚動脈の分岐部にある、米粒大の末梢化学受容器である。類似の末梢化学受容器としては他に大動脈小体がある。血中の酸素(O2)および二酸化炭素(CO2)の分圧(濃度)を検知し、またpHや温度の変化にも敏感で、呼吸調節システムの一部をなす。頚動脈小体の支配神経は頚動脈洞神経で、舌咽神経(IX)に入る求心性線維と迷走神経(Ⅹ)に由来する自律神経遠心性線維を含む。
1.× 横隔神経
横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の線維を含む。 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。 感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。 胸郭においては、縦隔胸膜と心膜に枝を出す。
2.〇 正しい。舌咽神経は、頸動脈小体からの求心性神経である。
舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。
3.× 迷走神経
迷走神経とは、感覚神経・運動神経の一つである。嚥下運動や声帯の運動、耳介後方の感覚などに作用する。内臓(胃、小腸、大腸や心臓、血管など)に多く分布し、体内の環境をコントロールしている。刺激すると徐脈、咳、嘔吐などを生じる。強い痛みや精神的ショックなどが原因で、迷走神経が過剰に反応すると、心拍数や血圧の低下、失神などを引き起こす(迷走神経反射)。
4.× 肋間神経
肋間神経とは、12個ある胸椎の間から左右に対となって出て各肋骨の下を走り、胸壁と腹壁の筋肉や皮膚の運動・知覚を司っている末梢神経である。内腹斜筋、外腹斜筋などを支配する。
問題99 バゾプレッシンによって水の透過性が増すのはどれか。
1.近位尿細管
2.ヘンレのループの下行脚
3.ヘンレのループの上行脚
4.集合管
答え.4
解説
尿は、腎小体(糸球体→Bowman嚢)で濾過され、尿細管(近位尿細管→ヘンレのループ→遠位尿細管→集合管)を通り腎杯、腎盂(腎盤)、尿管、膀胱、尿道へと流れていく。
1.× 近位尿細管
尿細管とは、糸球体と腎盂をつなぐ、無数の管(ホースのようなもの)である。多数の毛細血管が取り巻いている。 そのうち、糸球体に近い場所にある管を近位尿細管、ヘンレループの後に続く管を遠位尿細管という。近位尿細管の働きは、アミノ酸、ブドウ糖のほとんど、および水やナトリウムイオン、カリウムイオン、重炭酸イオンなどのイオン類が吸収される。
2~3.× ヘンレのループの下行脚/上行脚
ヘンレ係蹄では、水、ナトリウム、塩素などが再吸収される。 遠位尿細管でも水やナトリウムを再吸収すると同時に、体内のカリウムが多い場合はここから分泌されたりもする。
4.〇 正しい。集合管は、バゾプレッシンによって水の透過性が増す。
バゾプレッシンは、下垂体後葉から分泌される水溶性ホルモンである。抗利尿作用がある。バソプレッシンは、集合管の受容体に作用し、水の透過性を亢進する。
(※図引用:「イラストボックス様」より
問題100 消化酵素で正しいのはどれか。
1.アミラーゼは脂質を分解する。
2.リパーゼは炭水化物を分解する。
3.トリプシンは炭水化物を分解する。
4.ペプチダーゼはタンパク質を分解する。
答え.4
解説
1.× アミラーゼは、「脂質」ではなく炭水化物(でんぷん)を分解する。
アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2.× リパーゼは、「炭水化物」ではなく脂質(脂肪)を分解する。
リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。
3.× トリプシンは、「炭水化物」ではなくタンパク質を分解する。
トリプシンとは、膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素の一つである。 膵臓から産出されるトリプシノーゲンという物質が、十二指腸内の酵素の働きによって変換される。 たんぱく質を分解し、小腸で吸収されやすくする働きがある。
4.〇 正しい。ペプチダーゼはタンパク質を分解する。
ペプチダーゼはタンパク質を分解する酵素で、ペプチド結合を切断してアミノ酸へ分解します。ペプチダーゼの一種であるペプシンは胃で、トリプシンやキモトリプシンは膵臓から分泌されるなど、消化管内で様々な場所で作用します。