第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前11~15】

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問題11 ミッデルドルフ副子固定を用いるのはどれか。

1.鎖骨外端部骨折
2.上腕骨骨幹部骨折
3.前腕骨骨折
4.中手骨頸部骨折

答え.

解説

ミッデルドルフ副子固定とは?

ミッデルドルフ副子固定(ミッテルドルフ三角副子)とは、上腕骨骨幹部骨折時や、腱板断裂(棘上筋が断裂した時)などに用いる伝統的な固定法である。元になるのは、クランメル副子という金属でできた副子に新聞紙や包帯を巻きつけたものを組み合わせて作成することが多い。

1.× 鎖骨外端部骨折
鎖骨バンドを用いることが多い。

2.〇 正しい。上腕骨骨幹部骨折は、ミッデルドルフ副子固定を用いる。

3.× 前腕骨骨折
固定包帯法を用いることが多い。

4.× 中手骨頸部骨折
ギプスや当て木による固定を用いることが多い。

 

 

 

 

 

問題12 三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折で、肩関節を固定する外転角度はどれか。

1.120~130度
2.70~80度
3.10~20度
4.0度

答え.

解説
2.〇 正しい。70~80度は、三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折で、肩関節を固定する外転角度である。
三角筋付着部よりも近位の上腕骨骨幹部骨折では、内転内旋方向に転位する。なぜなら、中枢骨片は大胸筋によって牽引されるため。他にも大結節(棘上筋、棘下筋など)、小結節(大円筋、肩甲下筋)が付着しているが、筋の大きさに依存するため、大胸筋の影響を強く受ける。したがって、整復は近位骨片に遠位骨片を合わせる事から固定肢位は肩関節外転位である。肩関節外転70度、水平屈曲30~40度、肘関節直角位、前腕回内回外中間位である。

 

 

 

 

 

問題13 不安定型コーレス(Colles)骨折の定義で誤っているのはどれか。

1.高度な粉砕
2.関節内骨折
3.整復後の再転位
4.背側傾斜角10度

答え.

解説

MEMO

【佐々木の不安定型Colles骨折の定準】
①粉砕型で転位があり。本来不安定な骨折。
・整復時に整復位を保つには十分な安定性がない。
・関節面に及ぶ高度な粉砕がある。
・高度の転位(dorsal tilt≧20°またはradial shortening≧10mm)があり、ギプス固定では整復位の保持困難が予想される。
②粉砕型でギプス固定後dorsal tilt≧5°またはradial shortening≧5mmの再転位を生じたもの

【Cooneyの不安定型骨折の判定基準】
20°以上の背屈変形もしくは高度な関節内障害があり。整復位を保つのが困難な高度粉砕型骨折

(※引用:「橈骨遠位端骨折診療ガイドライン」日本整形外科学会より)

1~3.〇 正しい。高度な粉砕/関節内骨折/整復後の再転位
不安定型コーレス(Colles)骨折の定義である。

4.× 背側傾斜角10度は、不安定型コーレス(Colles)骨折の定義ではない。
高度の転位(dorsal tilt≧20°またはradial shortening≧10mm)があり、ギプス固定では整復位の保持困難が予想される。

橈骨遠位端骨折

・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。

主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。

コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。

 

 

 

 

 

問題14 コーレス(Colles)骨折の固定肢位の組合せで正しいのはどれか。

1.前腕回内:手関節背屈:手関節橈屈
2.前腕回内:手関節掌屈:手関節尺屈
3.前腕回外:手関節背屈:手関節尺屈
4.前腕回外:手関節掌屈:手関節橈屈

答え.

解説

コーレス骨折の固定

・固定範囲:前腕上1/3部から第2~第5MP関節まで背側シャーレ。前腕上1/3部から近位骨片遠位端部まで掌側シャーレ。
・固定肢位:手関節掌屈、軽度尺屈、前腕回内位。
・固定期間:4~6週間

したがって、選択肢2.前腕回内:手関節掌屈:手関節尺屈は、コーレス(Colles)骨折の固定肢位の組合せである。

橈骨遠位端骨折

・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。

主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。

コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。

 

 

 

 

 

問題15 第5中手骨頸部骨折の固定肢位で誤っているのはどれか。

1.手関節軽度屈曲位
2.MP関節40~70度屈曲位
3.PIP関節軽度屈曲位
4.DIP関節軽度屈曲位

答え.

解説

中手骨頚部骨折

固定の主たる目的は、MP 関節を屈曲位として末梢骨片を安定させることである。固定は様々あるが、症状にあった固定を行なう必要がある。
◎ 固定時の留意点
1、指関節背側の皮膚は薄く、屈曲により皮膚血流が悪くなりやすい、したがって、皮膚潰瘍や壊死を起こしやすい。
2、ガーゼなどを使用することで、皮膚の保護に十分注意する必要がある。
3、高齢者で転位を避けるために PIP 関節の屈曲位を余儀なくされる場合、指の屈曲拘縮を起こしやすいので、可能な範囲で軽度屈曲位を目指す。
4、強度の固定は手指の巧緻運動を著しく障害し、長期にわたって機能障害を残すことになる。

(※引用:「中手骨頚部骨折」著:舘 利幸)

1.× 手関節軽度屈曲位にて固定する優先度は低い。

2~4.〇 正しい。MP関節40~70度屈曲位/PIP関節軽度屈曲位/DIP関節軽度屈曲位にて固定する。第5中手骨頸部骨折は初期に、不全骨折や疼痛が強い場合等に、整復せずに固定する場合がある。固定法は、アルミ副子を掌側にあて、合成樹脂製キャスト材を背側にあてて固定する方法と、アルミ副子を背側にあて、ロール状の枕子を握らせて合成樹脂製キャスト材で固定する方法がある。固定範囲は前腕から末節骨を含め、第5指であれば、隣接指の第4指とともに固定する。

MEMO

第5中手骨頸部骨折の骨折部は背外側偏位を呈する場合が多い。第5中手骨頸部骨折は末梢骨片が短く且つ中手指節関節に近い事から整復操作後も転位しやすく、観血的療法の適応となる事が少なくない。又、保存的療法の一般的な整復法はJhass法(中手指節関節及び近位指節間関節90度屈曲位にて中手骨骨頭を押し上げる)である。骨折部が最も安定した固定肢位はJhass法施行時の中手指節関節及び近位指節間関節90度屈曲位である。しかし、この肢位は近位指節問関節背側部の血行障害による皮膚壊死や支靱帯の短縮による近位指節問関節の屈曲拘縮をきたしやすく禁忌とされている。渡辺は幅2.5cmの非伸縮性粘着テープを用いて中手指節関節及び近位指節間関節90度屈曲位で固定し、良好な治療成績を挙げている。(※引用:「第5中手骨頸部骨折に対する整形理学療法」著:有川整形外科医院)

 

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