第30回(R4年)柔道整復師国家試験 解説【午前41~45】

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問題41 柔道整復師が療養費受領委任払いを取り扱うために協定(契約)を結ぶのはどれか。

1.保健所長
2.地方厚生局長
3.柔道整復研修試験財団代表理事
4.厚生労働大臣

答え.

解説

受領委任とは?

受領委任とは、施術者が、医療保険(療養費)で定める施術を行い、患者等から一部負担金を受け取り、患者等に代わって療養費支給申請書を作成・保険者等へ提出し、患者等から受領の委任を受けた施術者等が療養費を受け取る取扱いである。

1.× 保健所長
保健所長とは、保健所内の組織管理を主な業務とし、医師たる職員であって、3年以上の公衆衛生の実務経験等を経た者を充てることが原則である。ただし、医師と同等以上の知識を持ち公衆衛生実務の経験が5年以上あり、国立保健医療科学院の養成訓練課程(原則1年)を終了した者であれば、医師でなくても保健所長になることを認められている。看護職の免許申請窓口としても活用されている。ちなみに、保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。

2.〇 正しい。地方厚生局長は、柔道整復師が療養費受領委任払いを取り扱うために協定(契約)を結ぶ。
公益社団法人所属の柔道整復師は、受領委任にかかわる委任を受けた地方厚生(支)局長及び都道府県知事と全国の(公社)都道府県柔道整復師会との3者間で行われている協定(三者協定)に基づき、療養費の支給を受けることができる。それ以外の個人契約柔道整復師は、この「三者協定」の内容を遵守することを確約する「契約」を結ぶことにより、公益社団法人会員に準じた療養費の扱いができるようになっている(※参考:「柔道整復師の皆さまへ」公益社団法人日本柔道整復師会より)。

3.× 柔道整復研修試験財団代表理事
柔道整復(柔道療法)の研修や試験を行う財団法人の代表理事を指す。代表理事はその組織の最高責任者として、財団の活動や運営を統括し、関係者と連携して柔道整復師の資格向上や普及に努める役割を担っている。

4.× 厚生労働大臣
厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。厚生労働省は、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。

 

 

 

 

 

問題42 柔道整復師の免許で正しいのはどれか。

1.自然人だけに与えられる。
2.国家試験合格によって効力を持つ。
3.過去に麻薬中毒者であった者は取得できない。
4.現住所は免許の登録事項である。

答え.

解説
1.〇 正しい。自然人だけに与えられる
自然人とは、近代法のもとで、権利能力が認められる社会的実在としての人間のことで、法人と対比されている概念。単に「人」とも言う。

2.× 国家試験合格によって効力を持つことはない
柔道整復師の免許は、柔道整復師法第8条の2第1項にもとづいて、柔道整復師名簿に登録することにより交付され、効力を持つ。単に国家試験に合格しただけでは、効力を持たない。

3.× 「過去に」麻薬中毒者であった者でも取得できる可能性が高い
ただし、柔道整復師免許の欠格事由に、「二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者」と記載されているため、免許の欠格事由にならないために、再度服用には十分注意する。

4.× 「現住所」ではなく本籍地は免許の登録事項である。
また、本籍地都道府県や氏名などの名簿登録事項に変更が生じたときは、30日以内に名簿訂正の申請をしなければならない。免許証または免許証明書の記載事項に変更が生じたときは、免許証(免許証明書)の書換え交付申請をすることができる。なお、現住所は登録事項ではないため、名簿訂正・免許証書換えの手続きは不要である。

柔道整復師免許の欠格事由

第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

問題43 医療訴訟で誤っているのはどれか。

1.医療従事者の過失を問う。
2.刑事・民事及び行政責任を問う。
3.医療現場のヒヤリハットを問う。
4.医療経営者の使用者責任を問う。

答え.

解説

医療訴訟とは?

医療訴訟とは、医療行為の適否や、患者に生じた死亡・後遺障害などの結果と不適切な医療行為との因果関係、さらにそのような結果に伴って発生した損害の有無および額が主要な争点となった民事・刑事訴訟のことである。医事関係訴訟、医療過誤訴訟とも呼ばれる。

1.4.〇 正しい。医療従事者の過失を問う/医療経営者の使用者責任を問う。
医療訴訟とは、医療行為の適否や、患者に生じた死亡・後遺障害などの結果と不適切な医療行為との因果関係、さらにそのような結果に伴って発生した損害の有無および額が主要な争点となった民事・刑事訴訟のことである。

2.〇 正しい。刑事・民事及び行政責任を問う。
医療過誤が発生した時、病院側は①刑事責任、②行政責任、③民事責任という3つの責任を負うことになる。①刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと、②行政責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に対して行政処分が下されること、③民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。

3.× 医療現場の「ヒヤリハット」ではなく不適切な医療行為(事故)を問う。
ヒヤリハットとは、危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のことである。ハインリッヒの法則(1:29:300、分析により導かれた労働災害の発生比率)では、1 件の重大事故の裏には、29 件の軽傷事故、300 件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われている。

医療過誤とは?

医療過誤とは、医療事故のうち医療機関側の人為的ミスによって起こった事例をいう。医療提供者(医師や看護師など)による過失によって引き起こされ、医療提供者が適切な診断や治療を行わなかったり、適切な情報提供や同意取得がなされていない場合に発生することが多い。医療過誤が発生した時、病院側は①刑事責任、②行政責任、③民事責任という3つの責任を負うことになる。①刑事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、医療従事者に対して刑事罰を科すこと、②行政責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に対して行政処分が下されること、③民事責任とは、医療過誤によって患者が怪我・後遺症を負ったり死亡したりした場合、病院側に損害賠償責任を果たしてもらうことである。

 

 

 

 

 

問題44 柔道整復師免許の再交付申請ができるのはどれか。

1.免許証を紛失したとき
2.婚姻をしたとき
3.免許証の記載事項を変更したとき
4.免許を取り消されたとき

答え.

解説

柔道整復師免許証の登録事務

(3)免許証再交付申請
免許証または免許証明書を破った、汚した、または失ったときは、免許証の再交付を申請することができます。
本籍地都道府県や氏名などの名簿登録事項に変更が生じている場合は、名簿訂正・免許証書換え交付申請も同時に必要となります。

(※引用:「柔道整復師免許証の登録事務」公益財団法人柔道整復師研修試験財団様HPより)

1.〇 正しい。免許証を紛失したときは、柔道整復師免許の再交付申請ができる。
免許証または免許証明書を破った、汚した、または失ったときは、免許証の再交付を申請することができる。

2.× 婚姻をしたとき/免許証の記載事項を変更したとき
婚姻し、本籍地や氏名などに変更がある場合、30日以内に名簿訂正の申請をしなければならない。また、免許証または免許証明書の記載事項に変更が生じたときは、免許証(免許証明書)の書換え交付申請をすることができる。ただし、現住所は登録事項ではないため、名簿訂正・免許証書換えの手続きは不要である。

4.× 免許を取り消されたとき
再交付はできない。

柔道整復師免許の欠格事由

第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

 

 

 

 

 

問題45 柔道整復師国家試験の合格証書を交付するのはだれか。

1.内閣総理大臣
2.厚生労働大臣
3.文部科学大臣
4.都道府県知事

答え.

解説

柔道整復師法

(定義)
第二条 この法律において「柔道整復師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者をいう。
2 この法律において「施術所」とは、柔道整復師が柔道整復の業務を行なう場所をいう。

第二章 免許(免許)
第三条 柔道整復師の免許(以下「免許」という。)は、柔道整復師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が与える。

(※引用:「柔道整復師法」e-GOV法令検索様HPより)

1.× 内閣総理大臣
内閣総理大臣は、「内閣の首長」として、内閣を代表する地位にあると同時に、内閣全体の統一性及び一体性を確保する役割を有している。

2.〇 正しい。厚生労働大臣が、柔道整復師国家試験の合格証書を交付する。
厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。厚生労働省は、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。

3.× 文部科学大臣
文部科学大臣とは、日本の文部科学省の長および主任の大臣たる国務大臣である。文部科学省とは、日本の行政機関のひとつで、教育、学術、スポーツ、文化および科学技術の振興、宗教事務等を所管する。

4.× 都道府県知
都道府県知事とは、日本の地方公共団体である都道府県の首長である。単に知事ともいう。都道府県知事のもとに置かれる部局を知事部局という。知事の主な仕事として、予算案をまとめて議会に提出したり、条例案を策定して議会に提出するというものがある。

 

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