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問題86 補足運動野で誤っているのはどれか。
1.体部位再現がある。
2.運動の企画と関係する。
3.一次運動野の外側に位置する。
4.損傷すると運動発現低下が生じる。
答え.3
解説
1.〇 正しい。体部位再現がある。
体部位再現性とは、身体を構成する特定の体部位の再現が中枢神経系の特定の領域と1対1に対応することをいう。①第一次体性感覚野、②第一次運動野、③第二次体性感覚野、④高次運動野に存在する。
2.4.〇 正しい。運動の企画と関係する/損傷すると運動発現低下が生じる。
補足運動野は、自発的な運動の開始、異なる複数の運動を特定の順序に従って実行する、両手の協調動作などの役割を果たす。したがって、補足運動野が損傷すると、運動の開始や継続に困難が生じる。特に、自発的な運動や複雑な運動タスクを行う能力が低下することが報告されている。
3.× 一次運動野の「外側」ではなく前側に位置する。
一次運動野は4野であり、補足運動野は6野である。
問題87 感覚の種類と感覚受容器の組み合わせで正しいのはどれか。
1.温覚:パチニ小体
2.痛覚:メルケル盤
3.触覚:マイスナー小体
4.関節位置覚:コルチ器官
答え.3
解説
1.× パチニ小体は、「温覚」ではなく振動や圧力の感覚受容器である。
ちなみに、温覚は、自由神経終末によって感知される。
2.× メルケル盤は、「痛覚」ではなく触覚や圧力の感覚受容器である。
ちなみに、温覚は、自由神経終末によって感知される。
3.〇 正しい。マイスナー小体は、「触覚」の感覚受容器である。
マイスナー小体は、振動を感知して触覚を伝える。
4.× コルチ器官は、「関節位置覚」ではなく聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。
ちなみに、関節位置覚は、筋紡錘やゴルジ腱器官などの筋・腱の感覚受容器によって感知される。
問題88 四肢の深部感覚の伝導路に含まれないのはどれか。
1.視床
2.内側毛帯
3.脊髄の後根
4.脊髄の前側索
答え.4
解説
【深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路】
後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野
4.× 脊髄の前側索は、四肢の深部感覚の伝導路に含まれない。
脊髄の前側索(脊髄視床路)は、痛覚/触覚を伝える。脊髄視床路は、脊髄後根から脊髄後角でニューロンを換え、左右交差し、反対の前側索を通過し、視床という経路になる。
聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回
視覚:視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野
・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索
・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。
・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野
問題89 受容体が細胞表面にあるのはどれか。
1.ビタミンD
2.アンドロゲン
3.アルドステロン
4.副甲状腺ホルモン
答え.4
解説
受容体には、①細胞内(核内)受容体、②細胞膜受容体があげられる。
①細胞内(核内)受容体:受容体が細胞内、または核内に存在する。
・脂溶性ホルモンといわれる。
・具体的には甲状腺ホルモンやステロイドホルモンなど。
②細胞膜受容体:受容体が細胞膜表面に存在する。
・水溶性ホルモンといわれる。
・具体的にはペプチドホルモンやカテコールアミンなど。
1.× ビタミンD
ビタミンDは、核内受容体であるビタミンD受容体と結合する。つまり、ビタミンDは細胞内に入る必要がある。骨粗鬆症をはじめとする様々な疾病と関連していることが知られている。
2.× アンドロゲン
アンドロゲン(雄性ホルモン、男性ホルモン)とは、ステロイドの一種で、生体内で働いているステロイドホルモンのひとつである。アンドロゲンにはテストステロンとジヒドロテストステロン (dihydrotestosterone;DHT)があり、精巣の分化、機能、組織形成、さらに内性器・外性器の形成に重要な役割を果たす。
3.× アルドステロン
副腎皮質は、①コルチゾール、②アルドステロン、③性ホルモンを分泌する。アルドステロンには、ナトリウムの再吸収、カリウムの排泄を促し、血圧を上昇させる働きがある。過剰になると、カリウムの尿中への排泄がますます促進され、血清カリウム濃度も低下する。
4.〇 正しい。副甲状腺ホルモンは、受容体が細胞表面にある。
副甲状腺ホルモン (PTH:パラトルモン)は、腎臓のカルシウム再吸収およびリンの排泄促進作用などがあり、血中のカルシウム濃度を上昇させる。つまり、副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が低下すると、血中カルシウム濃度が低下する。それに伴い、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれんなどの症状が起こる。
ホルモンには、脂溶性と水溶性がある。脂性ホルモンは、①副腎皮質ホルモン、②性ホルモン、③甲状腺ホルモンである。それ以外は水溶性ホルモンと覚えるとよい。
【水溶性ホルモンの特徴】
水溶性ホルモンの多くは視床下部、脳下垂体、膵臓、副甲状腺から分泌される。
水溶性ホルモンは細胞膜を通過できないため、その受容体は細胞の外側、細胞膜表面に存在する。
視床下部から、①成長ホルモン放出ホルモン、②甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、③ゴナドトロピン放出ホルモンなど。
脳下垂体から、①成長ホルモン、②甲状腺刺激ホルモン、③プロラクチン、④副腎皮質刺激ホルモン、⑤黄体形成ホルモン、⑥卵胞刺激ホルモン、⑦バソプレシン、⑧オキシトシン。
膵臓から、①インスリン、②グルカゴン
副甲状腺から、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)である。
問題90 インスリンの作用で増加するのはどれか。
1.血中遊離脂肪酸濃度
2.血中カリウムイオン濃度
3.肝のケトン体産生
4.肝のグリコーゲン合成
答え.4
解説
インスリンとは、膵臓のβ細胞で産生されるペプチドホルモンである。血中を流れるブドウ糖が、肝臓、脂肪細胞、骨格筋細胞に取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する。
1.× 血中遊離脂肪酸濃度は、インスリンの作用で低下する。
遊離脂肪酸とは、脂肪が分解されて生じる脂肪酸で、アルブミンと結合し、 脂質代謝異常の指標として有用である。 糖尿病、急性膵炎、重症肝障害、甲状腺機能亢進症、 Cushing症候群で高値、甲状腺機能低下症、インスリノーマ、Addison氏病等で低値を示す。
2.× 血中カリウムイオン濃度は、インスリンの作用で低下する。
インスリンは、細胞へのカリウムイオンの取り込みを促進する。その結果、血中カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがある。インスリンは、細胞へのカリウムイオンの取り込みを促進するため、その結果、血中カリウムイオン濃度は低下する。
3.× 肝のケトン体産生は、インスリンの作用で抑制する。
脂肪の分解により肝臓で作られ、血液中に放出されるアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体という。
4.〇 正しい。肝のグリコーゲン合成は、インスリンの作用で増加する。
インスリンは、グリコーゲン合成酵素の活性を増加させることで、肝臓でのグリコーゲンの生成を促す。ちなみに、グリコゲーンとは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される。