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問題21 肩関節烏口下脱臼整復後の固定肢位はどれか。
1.軽度内転、30度水平伸展、内旋位
2.軽度内転、60度水平屈曲、外旋位
3.軽度外転、30度水平屈曲、内旋位
4.軽度外転、60度水平伸展、外旋位
解答3
解説
烏口下脱臼とは、肩関節前方脱臼(約90%)のひとつである。上腕骨頭が肩甲骨関節窩から前方に脱臼した症状で、①烏口下脱臼と②鎖骨下脱臼に分類される。関節全体を覆う袋状の関節包と靭帯の一部が破れ、突き出た上腕骨頭が烏口突起の下へすべることで起こる脱臼である。介達外力が多く、後方から力が加わる、転倒するなどで手を衝くことで過度の伸展力が発生した場合(外旋+外転+伸展)などに起こる。症状として、①弾発性固定、②関節軸の変化(骨頭は前内方偏位、上腕軸は外旋)、③脱臼関節自体の変形(三角筋部の膨隆消失、肩峰が角状に突出、三角筋胸筋三角:モーレンハイム窩の消失)、④上腕仮性延長、⑤肩峰下は空虚となり、烏口突起下に骨頭が触知できる。
1.× 軽度内転、30度水平伸展、内旋位
2.× 軽度内転、60度水平屈曲、外旋位
4.× 軽度外転、60度水平伸展、外旋位
これらより優先されるものが他にある。
3.〇 正しい。軽度外転、30度水平屈曲、内旋位は、肩関節烏口下脱臼整復後の固定肢位である。
【肩関節烏口下脱臼の固定】①材料:巻軸包帯、副子(肩関節前後面にあてる)、腋窩枕子、三角巾。②肢位と範囲:肩関節軽度屈曲・内旋位で肩関節のみ。③期間:30歳代以下は5~6週間、40歳代以上は3週間
問題22 肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。
1.前腕長は延長してみえる。
2.肘頭は前側方へ変形突出する。
3.上腕二頭筋腱の索状隆起を触れる。
4.肘関節は30~40度の屈曲位となる。
解答4
解説
好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間
1.× 前腕長は、「延長」ではなく短縮してみえる。なぜなら、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)となるため。
2.× 肘頭は、「前側方」ではなく後方へ変形突出する。なぜなら、肘関節後方脱臼では、尺骨が上腕骨に対して後ろにずれる状態であるため。
3.× 上腕二頭筋腱の索状隆起を触れるものとして、上腕二頭筋腱炎がみられる。腱鞘炎は、関節を動かす筋肉の腱が炎症を起こすことで、腫れや痛みが生じる病気である。上腕筋腱の索状隆起による腱鞘炎は、スポーツや仕事などで手や腕を過度に使用することが原因となることが多い。治療としては、炎症を抑える薬物、アイシングなどが有効である。
4.〇 正しい。肘関節は30~40度の屈曲位となる。なぜなら、肘頭の後方突出することで、肘関節の完全伸展位が困難になるため。
問題23 肘関節後方脱臼に併発しやすいのはどれか。
1.肘頭骨折
2.上腕三頭筋損傷
3.上腕骨内側上顆骨折
4.肘関節外側側副靱帯損傷
解答3
解説
好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間
1.× 肘頭骨折は、肘関節後方脱臼に併発しやすいとはいえない。なぜなら、肘関節後方脱臼は、肘頭の後方突出するため。
・肘頭骨折は、橈骨近位端骨折に合併しやすい。橈骨近位端骨折の合併症として、ほかにも上腕骨内側上顆骨折、肘頭骨折、関節内遊離体、外反肘変形などがあげられる。
2.× 上腕三頭筋は、肘関節後方脱臼に併発しやすいとはいえない。なぜなら、肘関節後方脱臼は、肘頭の後方突出するため。上腕三頭筋は短縮される。
3.〇 正しい。上腕骨内側上顆骨折は、肘関節後方脱臼に併発しやすい。上腕骨内側上顆骨折の原因は、肘伸展位で転倒して、肘関節の外反強制を受け、付着する筋腱、靱帯に牽引されて内側上顆が裂離する機序が多い。つまり、転倒により、手をつき前腕を介して生じる(介達外力)。肘関節の脱臼を合併することが多い理由である。
4.× 肘関節外側側副靱帯損傷は、肘関節後方脱臼に併発しやすいとはいえない。なぜなら、肘関節外側側副靱帯損傷は、肘関節をやや屈曲して手を着いた状態で状態が肘を支点として回旋したとき等に発生しやすいため。
問題24 肘内障で正しいのはどれか。
1.8~10歳に好発する。
2.肘関節外側が腫脹する。
3.前腕に回外力が加わり発生する。
4.輪状靱帯の嵌頓では整復困難となる。
解答4
解説
肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。
1.× 「8~10歳」ではなく1~5歳ではに好発する。なぜなら、肘の輪状靭帯がまだ十分に発達しておらず、比較的緩いため。保護者などが子供の手を強く引っ張った際に橈骨頭が亜脱臼しやすくなっている。
2.× 肘関節外側が腫脹する「とはいえない」。一般的に、腫脹が認められないことが多い。なぜなら、肘内障とは、橈骨頭が引っ張られることによって発症するため。出血を呈するほどの軟部組織の損傷まで及ばないため、著明な炎症症状(特に腫脹と発赤)はみられにくい。
3.× 前腕に、「回外力」ではなく牽引力が加わり発生する。肘内障は、前腕が回内位(手のひらが下を向いた状態)で、肘を少し曲げた状態で、腕を長軸方向(縦方向)に強く引っ張られることによって発生することが最も多い。
4.〇 正しい。輪状靱帯の嵌頓では整復困難となる。なぜなら、ロッキングが起こり痛みも強く、無理な整復はさらなる損傷リスクがあるため。
・輪状靱帯の嵌頓とは、肘関節を構成する橈骨頭を覆う輪状靱帯が、肘の関節内に挟まってしまう状態を指す。
嵌頓症状とは、膝に物がはさまり、曲げ伸ばしがしにくくなる状態である。(※読み:かんとん)膝半月板損傷でみられるいわゆる「膝ロッキング現象」である。
問題25 肩腱板の完全断裂はどれか。
1.腱内断裂
2.全層断裂
3.関節面断裂
4.滑液包面断裂
解答2
解説
1.× 腱内断裂は、不全断裂である。
・腱内断裂とは、肩腱板の腱の内部で断裂が生じている状態を指す。腱の表面(関節面側や滑液包面側)には断裂が及んでおらず、腱の厚さの一部が断裂しているにすぎない。
2.〇 正しい。全層断裂は、肩腱板の完全断裂である。
・全層断裂とは、肩腱板の腱がその厚さ全体にわたって断裂している状態を指す。
3.× 関節面断裂は、不全断裂である。
・関節面断裂とは、肩腱板の腱のうち、肩関節の関節腔に面している側の部分だけが断裂している状態を指す。
4.× 滑液包面断裂は、不全断裂である。
・滑液包面断裂とは、肩腱板の腱のうち、最も症状が少なく、肩峰下滑液包に面している側の部分だけが断裂している状態を指す。