第33回(R7年)柔道整復師国家試験 解説【午前56~60】

 

問題56 精巣挙筋に移行するのはどれか。

1.外腹斜筋
2.内腹斜筋
3.錐体筋
4.腹直筋

解答

解説

精巣挙筋とは?

精巣挙筋とは、精巣を引き上げる働きをする。精索を包む内外2層の精筋膜の間にある横紋筋をいう。完全に続いた筋層をなさず、筋成分を欠くところは結合組織によって補われており、これを上方にたどると内腹斜筋に移行する。

1.× 外腹斜筋の【起始】第5(6)~12肋骨の外面、【停止】腱膜は腹直筋鞘の前葉に入って白線に終わる。鼠経靭帯、恥骨稜、最後部:腸骨稜外唇である。【作用】肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

2.〇 正しい。内腹斜筋は、精巣挙筋に移行する。内腹斜筋の【起始】白線・恥骨稜・腸骨稜、【停止】腰腱膜、【作用】上体を同側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

3.× 錐体筋とは、腹直筋の前にある筋で、恥骨から白線(腹部中央の縦線)に向かって走っている。体幹の動きに大きな影響はなく、人によっては存在しないこともある。主に腹部の前面を安定させる補助的な役割を果たす。

4.× 腹直筋の【起始】恥骨結合と恥骨結節との間、【停止】第5~第7肋軟骨、剣状突起の前面、【作用】胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。

 

 

 

 

 

問題57 筋と支配神経の組み合わせで正しいのはどれか。

1.肩甲下筋:肩甲上神経
2.三角筋:腋窩神経
3.小円筋:肩甲下神経
4.大胸筋:胸背神経

解答

解説
1.× 肩甲下筋は、「肩甲上神経」ではなく肩甲下神経である。
・肩甲下筋の【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面、【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側、【作用】肩関節内旋、【支配神経】肩甲下神経:C5,C6である。

2.〇 正しい。三角筋:腋窩神経
・三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【神経】腋窩神経である。

3.× 小円筋は、「肩甲下神経」ではなく腋窩神経である。
・小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋、【神経】腋窩神経である。

4.× 大胸筋は、「胸背神経」ではなく内側および外側胸筋神経である。
・大胸筋の【起始】鎖骨部:鎖骨内側1/2~2/3、胸肋部:胸骨前面と上5~7個の肋軟骨、腹部:腹直筋鞘前葉の表面、【停止】上腕骨の大結節稜、【作用】肩関節内転・内旋、鎖骨部:肩甲骨屈曲、腹部:肩関節下制、【神経】内側および外側胸筋神経である。

 

 

 

 

 

問題58 総腓骨神経が支配するのはどれか。

1.大腿二頭筋短頭
2.大腿二頭筋長頭
3.半腱様筋
4.半膜様筋

解答

解説
1.〇 正しい。大腿二頭筋短頭は、総腓骨神経が支配する。
・大腿二頭筋の【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展・外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部(L5~S2)、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部(S1,S2)である。

2.× 大腿二頭筋長頭の【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展・外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部(L5~S2)、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部(S1,S2)である。

3.× 半腱様筋の【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部:L4~S2である。

4.× 半膜様筋の【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部:L4~S2である。

 

 

 

 

 

問題59 正中神経が支配するのはどれか。

1.円回内筋
2.腕橈骨筋
3.尺側手根屈筋
4.長母指外転筋

解答

解説
1.〇 正しい。円回内筋は、正中神経が支配する。
・円回内筋の【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲、【支配神経】正中神経である。

2.× 腕橈骨筋の【起始】上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間中隔、【停止】橈骨遠位下端、茎状突起、【作用】肘関節屈曲、回内位での回外、回外位での回内、【神経】橈骨神経:C5,C6である。

3.× 尺側手根屈筋の【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈、【支配神経】尺骨神経:C7~T1である。

4.× 長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近、【作用】母指外転、【支配神経】橈骨神経深枝:C6~C8である。

 

 

 

 

 

問題60 内転筋管を通過するのはどれか。

1.大腿神経
2.大腿動脈
3.閉鎖神経
4.閉鎖動脈

解答

解説

MEMO

内転筋管とは、膝関節内側の筋で囲まれた孔である。症状として、膝から下のふくらはぎの内側あたりと内くるぶし周辺にしびれや痛みがあり、立ち上がる時や膝を伸ばす時にピリッと痛みが強くなる。膝の内側がズキズキ痛かったりする場合もあるので、膝の痛みと間違われることもある。ほとんどの場合は、運動などによる筋肉の使い過ぎが原因で起こる。

1.3~4.× 大腿神経/閉鎖神経/閉鎖動脈は、内転筋管を通過しない。

2.〇 正しい。大腿動脈は、内転筋管を通過する。内転筋管は、大腿下部内側から後部にかけてある管状の構造物で、大腿動脈、大腿静脈、伏在神経が通る。

 

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