第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題11.自立生活で正しいのはどれか。

1.他人からの介助を受けない生活である。
2.自分自身で意思決定する生活である。
3.介助者の働きかけが重要である。
4.リハビリテーションに固有の考えである。

解答

解説

自立生活とは?

自立生活とは、病気やけが、障害があっても、できる限り他者に依存せず、自分で選択し行動しながら生活することである。すべてを一人で行うことではなく、福祉用具や支援、環境調整を活用し、自分らしい生活を主体的に営むことを指す。その実現に向けて、身体機能だけでなく生活能力や社会参加も含めて支援する。

1.× 他人からの介助を受けない生活「ではない」。たとえば、車いす使用者が入浴や移動に介助を受けながらも、自分で食事内容・外出先・生活リズムを選んでいる場合、それは「自立生活」といえる。

2.〇 正しい。自分自身で意思決定する生活である。自分の意思で物事を決定し、自分らしく生活することが自立生活といえる。

3.× 必ずしも、介助者の働きかけが重要である「とはいえない」。なぜなら、自立生活の主役は本人であり、介助者は本人の意思を実現するサポート役にすぎないため。むしろ、介助者が主体的に働きかけると、本人の意思が損なわれ、依存的な関係になりやすい。

4.× リハビリテーションに、固有の考え「ではない」。なぜなら、リハビリテーション分野に限らず、介護福祉・障害者福祉・社会福祉全体の理念として広がっているため。したがって、「自立生活=リハビリ特有の概念」ではない。
・固有とは、その物や人に、最初から備わっている性質や特徴、あるいはそのものだけが持っている特有の属性を指す言葉である。他のものにはない、独自の要素であることを強調する際に使われる。

 

 

 

 

 

問題12.病期に関わらず弛緩性麻痺を呈する疾患はどれか。

1.脳出血
2.パーキンソン症候群
3.頸髄症
4.ギラン・バレー症候群

解答

解説
1.× 脳出血の急性期は、一時的に弛緩性麻痺を呈するが、慢性期には痙性麻痺へ移行する。脳出血の急性期では、脳が突然強いダメージを受けるため、神経の働きが一時的に低下し、筋肉に力が入らない弛緩性麻痺がみられることが多い。時間が経ち慢性期に入ると、脳の抑制機能が障害されたまま回復が進むため、筋肉が過剰に緊張し、動かしにくい痙性麻痺へと変化する。

2.× パーキンソン症候群は、固縮が主徴であり、弛緩性麻痺は呈さない。
・パーキンソン症候群とは、パーキンソニズムともいい、パーキンソン病の症状(①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害)を呈する疾患の総称のことをいう。パーキンソニズムは、脳の病気、脳損傷、または特定の薬剤や毒素によって引き起こされる。

3.× 頸髄症は、障害部位により弛緩性麻痺と痙性麻痺とに異なっている。なぜなら、頸髄症によって、①損傷部位の上位運動ニューロンが障害された場合、痙性麻痺となり、②損傷部位の下位運動ニューロンが障害された場合、弛緩性麻痺を呈するため。
・頸髄症とは、首の骨である頸椎の変形や靱帯の肥厚などにより、脊髄が圧迫されて起こる病気である。主な症状は、手指のしびれや細かい動作のしにくさ、歩行障害、排尿障害などである。加齢による変性が原因となることが多く、進行すると日常生活に大きな支障をきたす。

4.〇 正しい。ギラン・バレー症候群は、病期に関わらず弛緩性麻痺を呈する疾患である。なぜなら、ギラン・バレー症候群は、末梢神経(特に運動神経)の脱髄性炎症性疾患であり、下位運動ニューロンが障害されるため。
・ギラン・バレー症候群とは、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)。

 

 

 

 

 

問題13.関節可動域の測定肢位で正しい組合せはどれか。

1.肩関節屈曲:前腕回内位
2.肘関節屈曲:前腕中間位
3.前腕回内:肘伸展位
4.手関節伸展:前腕中間位

解答

解説
1.× 肩関節屈曲は、「前腕回内位」ではなく前腕中間位で測定する。
・肩関節屈曲の【基本軸】肩峰通る床への垂直線(立位または坐位)、【移動軸】上腕骨、【測定部位及び注意点】①前腕は中間位とする。②体幹が動かないように固定する、③脊柱が前後屈しないように注意する。

2.× 肘関節屈曲は、「前腕中間位」ではなく前腕回外位で測定する。
・肘関節屈曲の【基本軸】上腕骨、【移動軸】橈骨、【測定部位及び注意点】前腕は回外位とする。

3.× 前腕回内は、「肘伸展位」ではなく肘関節90°屈曲位で測定する。
・前腕回内の【基本軸】上腕骨、【移動軸】手指を伸展した手掌面、【測定部位及び注意点】肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。

4.〇 正しい。手関節伸展(背屈):前腕中間位
・手関節背屈の【基本軸】橈骨、【移動軸】第二中手骨、【測定部位及び注意点】前腕は中間位とする。

 

 

 

 

 

問題14.日常生活動作(ADL)はどれか。2つ選べ。

1.書字動作
2.家事動作
3.整容動作
4.入浴動作

解答3・4

解説

手段的日常生活動作とは?

手段的日常生活動作(IADL:Instrumental Activities of Daily Living)とは、日常生活動作(ADL)のなかでも、道具を使う、段取りを考えて行うなど、複雑で判断力を要する身体活動のことである。
ADLは、①BADL(基本的日常生活動作)と、②IADL(手段的日常生活動作)に大別される。
①BADL:食事、排泄、入浴、整容など基本的な欲求を満たす身の回りの動作。
②IADL:買い物、洗濯、電話、服薬管理などの道具を用いる複雑な動作。

1~2.× 書字動作/家事動作は、手段的日常生活動作(IADL)に該当する。

3~4.〇 正しい。整容動作/入浴動作は、日常生活動作(ADL)である。

FIMとは?

FIMとは、日常生活動作(ADL)を評価する尺度で、運動項目(13項目)と認知項目(5項目)の計18項目を7段階で採点する。【運動項目】セルフケア(食事、整容、清拭、更衣:上・下、トイレ動作)、移乗(ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、浴槽・シャワー移乗)、排泄コントロール(排尿管理、排便管理)、移動(歩行・車椅子、階段)、【認知項目】コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)で評価する。

 

 

 

 

 

問題15.徒手筋力テストの表示と筋力増強法との組合せで正しいのはどれか。

1.0:筋電図バイオフィードバック
2.2:低周波刺激
3.3:介助自動運動
4.4:抵抗自動運動

解答

解説

MMTとは?

徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。

0(Zero:ゼロ):「筋収縮のまったくみられない」状態である。
1(trace:不可):「関節の運動は起こらないが、筋のわずかな収縮は起こる。筋収縮がみえる、または触知できる」状態である。
2(poor:可):「重力を除けば全可動域動かせる」状態である。
3(fair:良):「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。
4(good:優):「ある程度、徒手抵抗を加えても、全可動域動かせる」状態である。
5(normal:正常):「強い抵抗(最大抵抗)を加えても、完全に運動できる」状態である。

1.× 筋電図バイオフィードバックは、「0」ではなく1以上で適応となる。なぜなら、筋電図バイオフィードバックは「わずかな随意収縮を視覚・聴覚で補助する訓練法」であるため。したがって、微弱な筋活動(MMT1以上)が前提となり、筋の再教育に使用されることが多い。
・筋電図バイオフィードバックとは、患者自身が筋活動を視覚的に確認し、過剰な筋緊張を調整する訓練が可能となる。

2.× 低周波刺激は、「2」ではなく0~1で適応となる。
・低周波刺激とは、皮膚上から微弱な電気刺激を与え、神経や筋を賦活する治療である。MMT0~1は随意収縮がない(MMT0)、またはわずかな収縮のみの状態(MMT1)であり、自力運動が困難である。この段階では電気刺激により筋収縮を誘発し、廃用性筋萎縮の予防や神経筋再教育を図る

3.× 介助自動運動は、「3」ではなく2で適応となる。なぜなら、MMT3では、重力に抗して全可動域を動かせるため。
・自動介助運動とは、障害があったり筋力が低下している部位を自身や医療者など他人の助けを借りて運動させる方法を指す。

4.〇 正しい。4:抵抗自動運動
・抵抗自動運動とは、運動の開始位置から最終肢位まで抵抗をかけ続ける筋力増強法である。現状で耐えられる程度の抵抗をかけることで、筋線維に十分な刺激を与え、筋肥大と神経適応を促すことができる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)