第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後66~70】

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問題66.急性塑性変形がみられるのはどれか。

1.上腕骨近位骨端線離開時の上腕骨骨幹部
2.橈骨骨幹部骨折時の尺骨骨幹部
3.定型的鎖骨骨折時の近位骨片部
4.舟状骨骨折時の近位骨片部

解答

解説

急性塑性変形とは?

急性塑性変形とは、1974年にBordenらによって提唱されたもので、小児長管骨に弾性限界を超えるが、完全骨折には至らない程度の外力が加わったときに弯曲変形し、骨が元の形に戻ることができなくなった状態である。(※参考:「小児下腿骨急性塑性変形の2例」著:松村宣政)

1.× 上腕骨近位骨端線離開時の上腕骨骨幹部より優先されるものが他にある。なぜなら、塑性変形は、長管骨の骨幹部(特に前腕の骨)でみられる現象であるため。また、骨端線離開は成長軟骨板(骨端線)での分離であり、主に骨端部に損傷が集中する。

2.〇 正しい。橈骨骨幹部骨折時の尺骨骨幹部は、急性塑性変形がみられる。なぜなら、小児の骨は、成人に比べて弾性に富み、柔軟性が高いため。外力が加わった際に完全に折れず、片側(橈骨)が骨折する一方、対側(尺骨)が弾性限界を超えて永久的に彎曲変形(塑性変形)することがある。これを「急性塑性変形」と呼ぶ。

3.× 定型的鎖骨骨折時の近位骨片部より優先されるものが他にある。なぜなら、塑性変形は、長管骨の骨幹部(特に前腕の骨)でみられる現象であるため。また、鎖骨は、胸鎖乳突筋などの筋の伸張により、完全に骨折することが多い。

4.× 舟状骨骨折時の近位骨片部より優先されるものが他にある。なぜなら、塑性変形は、長管骨の骨幹部(特に前腕の骨)でみられる現象であるため。ちなみに、舟状骨は、血流が乏しく、虚血性壊死(無腐性壊死)を起こしやすい。

 

 

 

 

 

問題67.骨折の確定所見はどれか。

1.鎖骨中・外1/3境界部に限局性圧痛がみられた。
2.上腕中央部に異常可動性がみられた。
3.肘関節部に発赤がみられた。
4.手関節部に局所熱感がみられた。

解答

解説

骨折の固有症状とは?

①異常可動性(異常運動):骨が通常では考えられない方向に動くこと。

②軋轢音:骨同士がぶつかる音(※読み:あつれきおん)。

③転位:骨がズレたり折れ曲がること。

1.× 鎖骨中・外1/3境界部に限局性圧痛がみられた。
3.× 肘関節部に発赤がみられた。
4.× 手関節部に局所熱感がみられた。
これらは、骨折の固有症状ではない。限局性圧痛・発赤・局所熱感は、炎症症状であり、骨折だけでなく、打撲・捻挫・骨膜炎・筋損傷などでも起こり得る。

2.〇 正しい。上腕中央部に異常可動性がみられた。なぜなら、関節以外の異常な動きが触知・観察されれば、骨が完全に離断していることを示すため。

炎症の対応

炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

Rest(安静):患部の活動を制限し、さらなる損傷を防ぐ。
Ice(冷却):局所的な炎症反応を抑え、疼痛を軽減する。
Compression(圧迫):浮腫や出血、腫脹を抑える。
Elevation(挙上):重力を利用して浮腫や腫脹の減少、血行改善させる。

 

 

 

 

 

問題68.受傷直後の所見で肘関節の前後経が増大しているのはどれか。2つ選べ。

1.上腕骨顆上伸展型骨折
2.上腕骨内側上顆骨折
3.肘関節後方脱臼
4.小児肘内障

解答1・3

解説
1.〇 正しい。上腕骨顆上伸展型骨折は、受傷直後の所見で肘関節の前後経が増大している。なぜなら、受傷時に顆上が折れ、転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえるため。
・上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。

2.× 上腕骨内側上顆骨折の原因は、肘伸展位で転倒して、肘関節の外反強制を受け、付着する筋腱、靱帯に牽引されて内側上顆が裂離する機序が多い。転位がない場合は、肘関節直角位、前腕回内位、手関節10~20°掌屈位で、上腕近位部~MP関節手前まで固定する。

3.〇 正しい。肘関節後方脱臼は、受傷直後の所見で肘関節の前後経が増大している。なぜなら、肘頭が背側に突出するため。
【肘関節後方脱臼について】
好発:青壮年
原因:①肘関節過伸展の強制:肘関節伸展位で手をつく(転倒などの強い衝撃)
【症状】関節包前方断裂、疼痛、肘関節屈曲30度で弾発性固定、自動運動不可、肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱が緊張(索状に触れる)、ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、前腕の短縮
【固定肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(回内位も)
【固定範囲】上腕近位部からMP関節手前まで
【固定期間】靭帯損傷なし:3週間、不安定性がある場合4週間

4.× 小児肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。

 

 

 

 

 

問題69.ズデック(Sudeck)骨萎縮の症状でないのはどれか。

1.発汗異常
2.関節拘縮
3.爪の萎縮
4.病的反射の出現

解答

解説

ズデック骨萎縮とは?

Sudeck骨萎縮とは、骨折などの外傷、または、その手術の後に、急速な自発痛、運動痛、浮腫とともに著明な骨萎縮をきたす場合の骨変化のことである。骨折に合併した自律神経系の血管運動神経失調によって、末梢血管の血流不全から起こるものといわれている。Sudeck骨萎縮(ズデック骨萎縮)は、CRPS typeⅠに分類される。

1.〇 発汗異常は、ズデック骨萎縮の症状である。なぜなら、自律神経(交感神経)の異常亢進(または抑制)が起こるため。したがって、発汗異常(多汗または無汗)がみられる。

2.〇 関節拘縮は、ズデック骨萎縮の症状である。なぜなら、疼痛のため患肢を動かさなくなり(不動化)、さらに局所の血流障害・浮腫・線維化が進行するため。

3.〇 爪の萎縮は、ズデック骨萎縮の症状である。なぜなら、交感神経異常に伴う末梢循環障害によって皮膚・付属器への血流が低下し、爪が脆くなる・光沢を失う・萎縮・変形といった変化を生じるため。

4.× 病的反射の出現は、ズデック骨萎縮の症状でない。なぜなら、ズデック萎縮は、末梢性(交感神経反射異常・局所循環障害)に起因する病態であるため。

病的反射とは?

病的反射とは、原始的な反応への退行であり、大脳皮質からの抑制が消失していることを意味する。例えば、バビンスキー反射の出現などである。中枢側にある上位運動ニューロンが傷害され、その下位運動ニューロンに対する抑制が消失し、正常では認められないような反射である。

 

 

 

 

 

問題70.脱臼と原因疾患との組合せで誤っているのはどれか。

1.拡張性脱臼:急性化膿性股関節炎
2.破壊性脱臼:関節リウマチ
3.麻痺性脱臼:脳血管障害
4.発育性脱臼:血友病

解答

解説
1.〇 正しい。拡張性脱臼:急性化膿性股関節炎
・拡張性脱臼とは、関節が拡張することで脱臼したものをさす。股関節結核、急性化膿性股関節炎などが原因として挙げられ、炎症による滲出液の貯留により、関節が拡張し起こりえる。

2.〇 正しい。破壊性脱臼:関節リウマチ
・破壊性脱臼とは、関節面や関節包が破壊されることで脱臼したものをさす。関節リウマチがあげられる。

3.〇 正しい。麻痺性脱臼:脳血管障害
・麻痺性脱臼とは、麻痺によって関節が支えられなくなり脱臼してしまうことを指す。片麻痺(脳血管障害)、神経麻痺、脳性麻痺による弛緩性麻痺などが原因として挙げられる。弛緩性麻痺とは、筋あるいは筋を直接支配する末梢運動神経の障害によるもので、筋緊張の低下を認める麻痺のことである。

4.× 発育性脱臼は、「血友病」ではなく発育性股関節形成不全である。
・発育性脱臼とは、先天的または出生後早期の股関節形成不全によるものである。
・発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。

”血友病とは?”

血友病とは、血液を固めるのに必要な「血液凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)が不足・活性低下する病気のことである。

【概念】
伴性劣性遺伝(男児に多い):生まれつき発症することがほとんどであるため、幼少期から①些細なことで出血する、②出血が止まりにくいといった症状が繰り返される。
血友病A:第Ⅷ凝固因子の活性低下
血友病B:第Ⅸ凝固因子の活性低下

【症状】関節内出血を繰り返し、疼痛、安静により関節拘縮を起こす。(筋肉内出血・血尿も引き起こす)肘・膝・足関節に多い。鼻出血、消化管出血、皮下出血等も起こす。

【治療】凝固因子製剤の投与、関節拘縮・筋力低下に対するリハビリテーション

(※参考:「血友病」Medical Note様HP)

 

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