第20回(H24年)柔道整復師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96.中足指節関節脱臼で誤っているのはどれか。

1.第1足指に好発する。
2.Z字型変形がみられる。
3.開放創は足底側に多い。
4.末梢牽引で整復する。

解答

解説
1.〇 正しい。第1足指に好発する。なぜなら、サッカーや陸上などでつま先を地面に強く突いたときに多く見られるため。これは、他の趾に比べて構造的に可動域が広く、強い荷重と衝撃を受けやすい。

2.〇 正しい。Z字型変形がみられる。なぜなら、基節骨が背側に転位し、中足骨頭が足底側に突出するため。
・Z字型変形とは、文字通り視覚的には趾がZ字型に見える変形のことである。足の第1MP関節脱臼は、大抵の場合、外力により発生する。関節脱臼により、関節を固定する靭帯が引き伸ばされることが原因で起こる。

3.〇 正しい。開放創は、足底側に多い。なぜなら、サッカーや陸上などでつま先を地面に強く突いたときに多く見られるため(指が「反り返る」力で発生)。したがって、骨頭が直接皮膚を内側から突き破るような力が働く。

4.× 末梢牽引で整復する操作は、禁忌である。なぜなら、遠位牽引を行うと、関節包内で種子骨や靭帯構造が引っかかり、かえって整復困難になるため。また、関節内に軟部組織が介在するリスクが高まる。

 

 

 

 

 

問題97.正しい組合せはどれか。

1.バンカート損傷:大結節部の圧痛
2.示指ロッキングフィンガー:MP関節の伸展障害
3.梨状筋症候群:大腿前面部の感覚障害
4.アキレス腱断裂:患側の爪先立ち可能

解答

解説
1.× バンカート損傷は、「大結節部の圧痛」ではなく関節唇の損傷である。
・バンカート損傷とは、肩が脱臼した際に関節窩の周りにある関節唇が損傷するものをいう。自然には修復されず、さらに靭帯が緩んでしまうと脱臼を繰り返す。これを反復性脱臼という。

2.〇 正しい。示指ロッキングフィンガー:MP関節の伸展障害
・ロッキングフィンガーとは、骨に靭帯が引っかかり、指が伸ばせない状態である。すべての手指に起こりえる。中手指節関節(MP関節)で発生することが多く発生し、2〜5指では中手骨骨頭の掌橈側にできた骨棘に副靭帯が引っ掛かり発生することが多いとされている。また、20〜40歳代の女性の右手に好発するともいわれている。

3.× 梨状筋症候群は、「大腿前面部」ではなく主に大腿後面部の感覚障害である。なぜなら、梨状筋症候群は、坐骨神経支配領域(大腿後面・下腿後外側・足底)の感覚障害が生じるため。
・梨状筋症候群とは、坐骨神経が大坐骨切痕と梨状筋との間で圧迫を受ける絞扼性神経障害で、大腿後面のしびれを生じる。代表的な症状は坐骨神経痛、梨状筋部の痛みや圧痛、足首・足指が動きにくくなるなどである。

4.× アキレス腱断裂は、患側の爪先立ち「可能」ではなく不可能である。なぜなら、アキレス腱は、下腿三頭筋と踵骨をつなぐ腱であるため(足関節底屈に作用する)。
・下腿三頭筋とは、下腿の強大な筋の総称で、膨隆する2頭をもつ浅側の①腓腹筋と、深側にある平たい②ヒラメ筋とからなる。①腓腹筋:【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経である。②ヒラメ筋:【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】足関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経である。

 

 

 

 

 

問題98.痛みの出現により陽性と判断するテストはどれか。

1.リフトオフ
2.フィンケルスタイン
3.ラックマン
4.トンプソン

解答

解説
1.× リフトオフは、筋力低下で陽性と判断する。
・Lift Off Test(リフトオフ)は、肩関節の障害部位を予測して不安定さを評価するテストである。主に、肩甲下筋の機能を評価する検査である。肩関節伸展内旋し、⼿背を背中に接した状態から⼿を後⽅へ持ち上げ、この際の筋⼒を検査する。

2.〇 正しい。フィンケルスタインは、痛みの出現により陽性と判断するテストである。
・Finkelsteinテスト(フィンケルスタインテスト)の陽性は、長母指外転筋と短母指伸筋の狭窄性腱鞘炎を疑う。患側手の母指を4指に握らせて、さらに手関節を尺屈させる。橈骨茎状突起部に鋭い痛みが出現すれば陽性と判断する。

3.× ラックマンは、前方移動の大きさで陽性と判断する。
・ラックマンテストとは、膝関節前十字靱帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

4.× トンプソンは、足関節の動きの有無で陽性と判断する。
・トンプソンテストとは、アキレス腱断裂を診るテストである。患者さんに立て膝をついてもらい、膝を90度曲げ、ふくらはぎを握る。足首より下の部分が動かなければ、陽性となる。

 

 

 

 

問題99.Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられないのはどれか。

1.限局性圧痛
2.関節部の腫脹
3.軸圧痛
4.側方動揺性

解答

解説

靱帯損傷の程度(グレード)

グレードⅠ:靭帯が引き延ばされた状態
グレードⅡ:靭帯が部分断裂した状態
グレードⅢ:靭帯が完全断裂した状態
グレードⅢの「靭帯の完全断裂」の場合にはもっとも重傷で、外くるぶしが腫れて血腫が溜まり、痛みが強くなるので歩行は困難となる。

1.〇 限局性圧痛は、Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられる
・限局性圧痛とは、指で痛めた箇所を軽く押すと骨折部位に限局して圧迫痛を感じることである。

2.〇 関節部の腫脹は、Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられる。なぜなら、Ⅱ度損傷では靭帯線維の一部断裂と周囲血管の損傷が起こり、局所的な出血と炎症反応(腫脹など)が生じるため。

3.× 軸圧痛は、Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられない。なぜなら、軸圧痛は骨折の所見であるため。
・軸圧痛とは、介達痛ともいい、骨折の患部から離れた場所を刺激した際、患部に生じる痛みのことである。骨折が疑われる骨の長軸に沿って末梢部から圧力をかけると、骨折部の断端が刺激され、患部に痛みを感じる。

4.〇 側方動揺性は、Ⅱ度の膝側副靭帯損傷でみられる。なぜなら、膝側副靭帯は、膝関節の外反または内反方向の動揺を抑制するため。側副靭帯の役割として、膝の外・内側からのストレスに抵抗することで、関節の外・内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割をもつ。

 

 

 

 

 

問題100.図に示す部位に圧痛があるのはどれか。

1.足根洞症候群
2.足根管症候群
3.有痛性外脛骨障害
4.有痛性三角骨障害

解答

解説
1.〇 正しい。足根洞症候群は、図に示す部位(足根洞)に圧痛がある。
足根洞とは、外果のやや前方にあるへこみの奥の部分である。足根洞には浅腓骨神経から分岐する中間足背皮神経の枝と、腓腹神経から分かれる距骨下関節枝の枝が分布し、脂肪組幟や骨間距踵靱帯には固有知覚を司ると思われる神経終末器官や神経自由終末が存在し、後足部の運動制御や知覚に重要な役割を果たしている。原因は、明確ではないが、距骨下関節嚢や骨間距盤戦帯とその周囲軟部組織の損傷による慢性滑膜炎を中心とした炎症と損傷部での修復機転による線維組織と神経終末の侵入、癒痕化による骨間距腫靭帯の機 能不全などがあげられている。

2.× 足根管症候群とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。

3.× 有痛性外脛骨障害とは、外脛骨が痛みを起こしてしまった状態をいう。外脛骨とは、足の舟状骨の内側に位置する骨をいう。正常な人の15%程度にみられる足の内側にある余分な骨である。スポーツ活動や捻挫などの外傷をきっかけに痛みを起こすことがあり、小児、特に女性での発症が多く、成長期を終えると痛みが治まることが多い。主な症状として、①疼痛(圧痛、運動時痛)、②腫脹(うちくるぶしの下方の腫れ)があげられる。他にも、炎症が強い場合には、熱感も引き起こすことがある。治療として、①薬物療法(鎮痛)、②運動療法、③物理療法(温熱や電気刺激による鎮痛)、④装具療法などがあげられる。

4.× 有痛性三角骨障害とは、外くるぶしの後方、アキレス腱前方に痛みがあり、足関節を底屈すると強い痛みを感じるものをさす。クラシックバレエやサッカーなど足関節を底屈するスポーツで多く見られ、繰り返す微小外傷により徐々に症状が出現する事が多い。三角骨は距骨後突起の後方に位置する過剰骨のひとつである。健常者での出現率は約10%で、約2/3が片側性である。

 

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